駅伝365:箱根駅伝経験なし、創価大の新主将が掲げる令和のリーダー像
毎日新聞 2025/5/4 08:00(最終更新 5/4 08:00) 有料記事 3000文字
黙々とトレーニングに励む創価大の主将の三坂佳賞選手(手前)。けがが続いているが、「焦ってはいけない」と自身に言い聞かせる=東京都八王子市で2025年4月16日、黒詰拓也撮影
今年正月の箱根駅伝でシード権を6年連続で守った創価大学は、今季の新主将に、故障で苦しみ、箱根駅伝を含む大学3大駅伝の出場経験のない三坂佳賞(よしたか)選手(4年)を起用した。
脚の疲労骨折などを繰り返し、入学以降の3年間で、しっかりと練習できた期間は合わせても10カ月程度だ。
実直な性格の苦労人をリーダーに抜てきした背景には、ファンの印象に残る4年前のあの駅伝があった。【黒詰拓也】
相次ぐ故障「自分に腹が立った」
4月中旬、東京都八王子市にある創価大駅伝部の寮の中庭で、三坂選手は黙々と筋力トレーニングに励んでいた。
歯を食いしばり、一つ一つの動作を地道にこなす。昨春に左太もも裏の筋肉を痛め、1年ほど全力で走れない日々が続いている。
トレーニングの合間、チームメートたちが外へ走りに出かけていくと、一人一人に声を掛けて見送った。
「焦ってはいけない。夏合宿までに完全復帰する」
そう自らに言い聞かせ、一人で自分の体と向き合っていた。
地元・鹿児島の樟南高時代は、3年時に全国高校総体の男子1500メートルに出場した程度で、全国高校駅伝には一度も出られなかった。
しかし、脚の回転の速いフォームを評価され、創価大の榎木和貴監督(50)に早い時期から勧誘されていた。
「創価大が最初に声を掛けてくれた。練習を見学すると、指導者とコミュニケーションを取りながらやっていて、自分が強くなれると思った」
その後、他の大学からも誘われたが、律義な三坂選手は、そのまま創価大へ入学し、箱根駅伝の出場を目指した。
しかし、苦しい時期が続いた。
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