エヌビディア、中国向け新AI半導体開発 「H20」上回る=関係筋

 8月19日、半導体大手エヌビディアが新型人工知能(AI)半導体「ブラックウェル」の設計技術を基に、中国市場向けの新たなAI半導体を開発していることが関係者2人の話で明らかになった。写真は同社のロゴ。台北で2017年5月撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu)

[北京/シンガポール 19日 ロイター] - 半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabが新型人工知能(AI)半導体「ブラックウェル」の設計技術を基に、中国市場向けの新たなAI半導体を開発していることが関係者2人の話で明らかになった。現在中国で販売が認められている「H20」よりも高性能なものになる見込み。

トランプ米大統領は先週、エヌビディアのより高性能な半導体が中国で販売される可能性に言及した。しかし関係筋によると、中国に対し米国のAI技術へのアクセスを過度に認めることへの懸念が根強く、米規制当局の承認が得られるかは不透明だという。

関係筋によると、「B30A」と仮称される新半導体は、1つのチップに主要な機能部分をまとめたシングルダイ設計を採用している。エヌビディアの主力製品「B300」アクセラレーターカードが採用する、2つのチップを組み合わせたデュアルダイ設計と比べ、計算能力は半分程度になる。

新半導体の詳しい性能は固まっていないものの、エヌビディアは来月にも中国の顧客に試作品を送ってテストしてもらうことを検討している。

エヌビディアは声明で、「各国の政府が許可する範囲内での競争に備え、さまざまな製品を評価している」と述べた。「当社が提供する全ての製品は関係当局の完全な承認を得ており、有益な商業的使用のみを目的として設計されている」とした。

H20は2023年の対中半導体輸出規制に対応するために中国向けに作られた。今年4月に規制対象に加えられたが、7月に出荷再開が認められた。

別の2人の関係者によると、エヌビディアはブラックウェル設計技術を用いて主にAIの推論作業向けに作られた、中国専用の新たな半導体「RTX6000D」の提供を開始する準備も進めている。

RTX6000Dは、米政府が定めた基準値を下回るように設計されている。従来のGDDRメモリーを使用し、1秒間に1398ギガバイトのデータ転送能力がある。これは4月に導入された1秒当たり1.4テラ(テラは1兆)バイトという基準値をわずかに下回る。

ある関係者は、エヌビディアが9月に中国の顧客向けにRTX6000Dの少量出荷を開始する予定だと話した。

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