米テキサス州洪水、キャンプ場の建物が洪水マップから削除されていた 米メディア報道
画像提供, Reuters
大雨による壊滅的な鉄砲水で多数の死傷者が出た米テキサス州中部のキャンプ場「キャンプ・ミスティック」の多くの建物が、十数年前に作られた洪水リスクを示す地図から削除されていたと、米メディアが13日報じた。キャンプ場側の訴えを、規制当局が認めたとされる。4日未明に発生した洪水では、同キャンプ場でこれまでに子供27人の死亡が確認されている。
米紙ニューヨーク・タイムズとAP通信が、公的記録を引用して報じたところによると、米連邦緊急事態管理局(FEMA)は2011年、洪水の高リスク地域の地図の作成に当たり、今回氾濫(はんらん)したグアダルーペ川沿いの低地に位置する「キャンプ・ミスティック」を当初は含めていた。
しかし、キャンプ場側がこの指定に異議を申し立て、覆すことに成功したとされる。
BBCはFEMAとキャンプ・ミスティックにコメントを求めている。共に現時点で、この件について公に発表はしていない。
FEMAは洪水リスク地図について、「地域社会が、どの地域が最も洪水のリスクが高いかを把握するためのツール」だと説明している。
FEMAの洪水地図を研究してきた米シラキュース大学のサラ・プラール准教授は、川沿いにあるキャンプ・ミスティックが地図から除外されたことを「不可解」だと感じたと述べた。
プラール准教授はニューヨーク・タイムズに対し、「そこが子ども向けのキャンプだという点が極めて深刻だと思う」と語り、「洪水対策においては、最低限の基準を満たすだけでなく、より慎重な対応が求められるはずだ」と指摘した。
ニューヨーク・タイムズによると、FEMAの公式な洪水地図では、キャンプ・ミスティックの一部のキャビンは、特に危険な洪水の流路と想定される「フラッドウェイ」区域内にあったという。
また、その他のキャビンも、100年に一度の割合で発生する規模の洪水の区域内にあったという。
こうした指定はキャンプ場側に対し、洪水保険の加入義務や、建設プロジェクトでの厳格な規制を課すことになる。
同紙はさらに、FEMAのこれらの地図は、キャンプ・ミスティックから提出された書面による異議申し立てを反映していないとも伝えている。
人気の女子サマーキャンプ場だったキャンプ・ミスティックでは、4日未明に洪水が施設を襲い、少なくとも27人の少女が死亡した。
テキサス州全体では、洪水で少なくとも129人が死亡し、多数の行方不明者が出ている。
ドナルド・トランプ大統領は11日に被災地を訪れ、家や財産を失った人々に対して政府が復興支援を行うと約束した。
トランプ氏は「こんな光景は見たことがない」と述べた。
また、住民への警告が遅すぎたのではないかと遺族から声が出ているがそれにはどう答えるかと質問した記者に対し、「そんな質問をするのは悪人だけだ」と述べ、取り合わなかった。
今回の甚大な悲劇を受けて、適切な警報が出されていたのか、またなぜキャンプ場にいた人たちが事前に避難しなかったのかについて、疑問の声が上がっている。
複数の専門家は、鉄砲水の発生時間が夜明け前だったこと、被害に遭った一部の住宅の立地、携帯電話の不安定な通信状況、洪水の速度や激しさなど、複数の要因が重なり、甚大な被害につながったと指摘している。