【分析】トランプ氏、イランで何が起こっているかさえ知らなかった?(CNN.co.jp)
(CNN) トランプ米大統領は7日、戦争初期にイランの小学校を攻撃し、多数の子どもを死亡させたのはイランだと主張した。 【映像】米軍、イラン艦船を魚雷で撃沈 9日になってトランプ氏は、その発言当時、話している内容についてほとんど知らなかったことを認めたうえで、その学校に命中したとみられる巡航ミサイル「トマホーク」はイランを含む他国も使っていると示唆した。イランはトマホークを保有していない。 なぜ政権内の他の人々はイランに責任があるという同様の主張をせず、調査中だとしているのかと記者会見で追及されると、トランプ氏は「私はその件についてよく知らないからだ」と述べた。 トランプ氏は、調査結果を尊重すると付け加えた。 要点を明確にしよう。トランプ氏は、状況をほとんど知らなかったようであるにもかかわらずこの主張を展開し、この戦争でおそらく最も物議を醸している攻撃についてあまり知らないと言っているのだ。 この攻撃は、トランプ氏が言及した時点ですでに世界中で大々的に報じられており、米国に過失があったとすれば戦争遂行に重大な打撃を与えかねないと一部の共和党議員でさえ懸念するものだった(CNNと専門家による証拠分析と新たに浮上した映像によれば、米軍に責任があった可能性が高い)。 だが、トランプ氏は蚊帳の外だったようだ。 大統領がイランの現地で何が起きているのかを大まかにしか理解していないように見えるケースはこれだけにとどまらない。 トランプ氏は以前から真実と複雑な関係にあることが多かったが、それが戦争という文脈でも表れているのは注目に値する。 9日の記者会見でそれを示したのは学校への攻撃だけではなかった。 冒頭の別の場面でトランプ氏は、イランの近隣諸国が米・イスラエルとともに対イラン戦に参戦したと主張したように見えた。 トランプ氏は「周辺国は大半が中立だった。少なくとも関与するつもりはなかった。なのに攻撃を受けた」と述べ、「それは逆効果になった。近隣諸国はわれわれの側に立ち、イランを攻撃し始めた。しかも実際かなり成功している。サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールなどだ」と語った。 これは現実に即していない。 確かにイランは、米・イスラエルへの報復として、湾岸近隣諸国にある米国資産を攻撃したが、その結果として近隣諸国が参戦したというのは事実ではない。 CNNが10日に伝えたとおり、UAEはイランから最も激しい攻撃を受けている。だが、長い取引関係のあるイランを攻撃してはおらず、別の形で圧力をかけようとしているようだ。 ロイター通信によると、サウジアラビアは、攻撃を続けるなら報復するとイランに警告しているが戦争には加わっていない。 カタール外務省の報道官は、「カタールはイランを標的にした作戦に参加していない」と述べている。さらにムハンマド首相は9日、英スカイニュースに対し「緊張緩和を引き続き模索している」と語った。 これら湾岸諸国が戦闘に加わっていないことに、グラム上院議員(共和党・サウスカロライナ州選出)は怒りの矛先を向けた。同氏はトランプ氏の発言があってからわずか数時間後の9日夜、FOXニュースで「サウジアラビアへ。われわれの大使館がリヤドで攻撃された」と述べたうえで「われわれと共に戦いに加わる義務はないのか」と訴えた。 グラム氏は、UAEの判断についても「とても失望させられる」と批判している。 トランプ氏は同じ記者会見で、イラン南部沖のホルムズ海峡の停滞についても、「われわれにはあまり影響はない」との見方を示した。米国は今や自前で大量の石油を生産しているからだという。 湾岸の石油への依存度は他国、特にアジア諸国のほうが高い。だが、世界経済は相互につながっているため、米国も当然、悪影響を受けている。石油価格に関してはなおさらだ。 もちろん、イランの能力に関する主張や、そもそもの開戦を正当化する言い分もある。 トランプ氏は再三、イランは「近く」大陸間弾道ミサイルで米国を攻撃できるようになるはずだった、米国に先制攻撃を仕掛ける計画だった、さらに最近では、中東全域を掌握する計画だったと主張してきた。 だが、これらの何一つ、既知の情報機関によって裏付けられているものはない。そして、今でこそ軟化させたものの自国の学校をイランが攻撃したというトランプ氏の主張と同様に、こうした言葉を語る人物は同氏を除いてほぼ皆無だ。 トランプ氏はしばしば、精巧に作り上げられた別の現実の中にいるように見える。 だが、国内政策の場合と、極めて激化しやすい地域で戦争を遂行しているさなかにこれほど現実から切り離されているように見えるのとでは、話が違う。 それでもそれが現状のようで、トランプ氏の意思決定が近々、現実に根ざしたものになる兆しは見えない。 ◇ 本稿はCNNのアーロン・ブレイク記者による分析記事です。