イーロン・マスクが後押しする「ネットフリックス解約」キャンペーンの経緯(Forbes JAPAN)
X(エックス)のオーナーであるイーロン・マスクは米国時間10月1日、ネットフリックスの加入者に対し解約を繰り返し呼びかけた。発端は、同社で打ち切られたアニメシリーズの監督ハミッシュ・スティールが、銃撃により殺害された保守系活動家チャーリー・カークについて述べたコメントにある。マスクは同時にネットフリックス自身のLGBTQ関連番組や多様性への取り組みも批判した。 ■イーロン・マスク、ネットフリックス解約を呼びかけ マスクは米国時間10月1日午後、Xへの投稿で「Cancel Netflix」(ネットフリックスを解約しよう)と記し、右派アカウントのLibs of TikTokの投稿を引用した。同アカウントは、ネットフリックスが自社番組における非白人の監督や主演俳優の数を増やしたとする社内報告書のスクリーンショットを共有していた。 これに先立つ米国時間9月30日、マスクは別のユーザーの投稿を再共有した。そのユーザーは、ネットフリックスが「チャーリー・カークの殺害を祝った人物を雇い、子どもにトランス擁護の内容を押しつけるコンテンツを作っている」ために解約すると述べたもので、マスクは「私もだ」と書いていた。 解約の呼びかけは、英国のキア・スターマー首相によるカークの死を悼むツイートを、スティールが批判したとみられる投稿に端を発しているようだ。 Libs of TikTokがXで共有したスティールの投稿とされるスクリーンショットによれば、同監督は「なぜお前がこんなことにコメントしているんだ、バカ野郎……ただのナチが撃たれただけで公式声明を出すのか」と書いたとされている。 Libs of TikTokは以前から、スティールのアニメ『デッドエンド:ようこそオカルト遊園地へ』(Dead End: Paranormal Park、2023年1月に打ち切り、まだ視聴はできる)のクリップを共有し、同作が「子どもにトランスジェンダー擁護を押しつけている」と主張していた。 マスクはこのアニメ番組を攻撃する投稿をリシェアし、「これは許されない」と書き込んだ。その後、ネットフリックスが「トランスジェンダーのウォーク(woke、覚醒主義)アジェンダ」を推進していると攻撃する別の投稿を取り上げ、「あなたの子どもの健康のためにネットフリックスを解約せよ」と述べた。 米国時間10月1日午後時点で、ネットフリックス株は2.2%安の1173.12ドル(約17万2600円)となっている。 ■このアニメ番組について分かっていること 『デッドエンド:ようこそオカルト遊園地へ』(Dead End: Paranormal Park)は、2022年6月から10月までネットフリックスで2シーズン配信されたアニメ・コメディである。番組ページの説明文には「不気味だが甘いシリーズで、復讐心を抱く霊、おしゃべりなパグ、そしてLGBTQ+の恋も登場する、呪われたテーマパークで働く多様な従業員の物語」と記されている。シーズン1は取り上げた媒体は少数だったが好意的な評価を受け、レビュー数は9件にとどまるもののRotten Tomatoesでスコア100%を得ている。 2022年のレビューでMashableは「『デッドエンド』は有意義なLGBTQの表現を届けている」と称賛した。2023年1月、スティールはネットフリックスが番組を打ち切ったと発表し、「登場人物たちにふさわしい結末を与える計画は用意していました。しかし残念ながら、権限を持つ人々はこれ以上を望んでいません」と述べた。ただし声明はネットフリックスを称え、「この番組を発注し、この物語を語る自由を与えてくれたネットフリックスへの感謝を強調したいと思います」とも記していた。