米国財閥の男性と結婚した芸妓「モルガンお雪」、ゆかりの白バラいまも京都に…海外社交界の花

 明治時代に米国モルガン財閥の男性と国際結婚した祇園の 芸妓(げいこ) で、「モルガンお雪」の呼び名で知られるモルガン・ユキ(1881~1963年)をしのぶ法要が命日にあたる18日、墓のある東福寺 塔頭(たっちゅう) ・ 同聚(どうじゅ) 院(京都市東山区)で営まれた。

お雪の写真が飾られた本堂で、「黒髪」を舞う柚子葉さん(京都市東山区で)=川崎公太撮影

 お雪は1904年、来日したジョージ・デニソン・モルガン氏に見初められ結婚。米、仏に渡り、社交界の花形になるが、夫と死別し、晩年は京都で暮らした。伝説の芸妓として語り継がれる人生はミュージカル「モルガンお雪」にもなった。

モルガン・ユキさんをしのんで行われた法要

 同聚院では毎年、命日の5月18日頃に法要を実施。境内にはお雪の三回忌に仏から献花された白バラの品種「ユキサン」が植えられており、見頃を迎えている。

お雪の墓の前で手を合わせる舞妓

 この日は、お雪の親族と祇園甲部の芸舞妓が墓参後、一般の参列者も加わって本堂で法要が営まれた。

境内で咲き誇るモルガンお雪にちなんだ品種の白バラ「ユキサン」

 今月芸妓になる舞妓・ 柚子葉(ゆずは) さんは、芸妓になる直前に舞う演目「黒髪」を披露。演奏を担う 地方(じかた) のます穂さんが、お雪も得意としていた 胡弓(こきゅう) を奏でた。

襟かえを前に、先笄(さっこう)とお歯黒姿となった舞妓の柚子葉さん

 法要後、柚子葉さんは「お雪さんのように、後々まで名前を覚えていてもらえる芸妓さんになっていきとおす」と話した。

 同聚院の岡本弦親住職(50)は「日本の女性が海外に出ることが珍しかった時代、お雪さんは悩みや困難を乗りこえ、世界の社交界で活躍した。自由な心や芯の強さを知ってほしい」と語った。

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