「蔑まされてきた人間」が子どもたちの人気者に――ぐんぴぃ、『占拠』シリーズがもたらした人生の変化
インタビュー
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日本テレビ系ドラマ『放送局占拠』(毎週土曜21:00~)で、警視庁刑事部BCCT情報分析官・志摩蓮司役を演じる、お笑いコンビ・春とヒコーキのぐんぴぃ。素朴な疑問や例え話を持ち出しては、周囲に無視されてしまうキャラクターに、「蔑(さげす)まされてきた人間」という点で強く共感しているという。
それでも、櫻井翔という大スターと並び、『占拠』シリーズ全3作に出演する欠かせない存在となり、今や子どもたちにも人気に。偶然の街頭インタビューをきっかけに生まれてしまった「バキ童」からの脱却を目指し、芸人や俳優業をはじめマルチな活動への意欲を語る――。
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『放送局占拠』に出演する春とヒコーキ・ぐんぴぃ
ドッキリを疑って怒られる
――芸人さんが連ドラにレギュラー出演するというのは、ある程度売れっ子になってから演技が評価されて起用されるというのが定石ですが、失礼ながら、ぐんぴぃさんの場合は逆パターンではないかと思います。『占拠』シリーズ第1弾の『大病院占拠』は、どういう経緯でオファーを受けたのですか?
プロデューサーの方が、僕がYouTube(『バキ童チャンネル』)をやっているのを知っていたんです。そんな中で舞台に出させてもらったら、そのプロデューサーの方がご覧になっていて、「YouTubeのあの人、演技もやるんだな」と気づいてくれたらしく、「志摩蓮司の役にどうだろう」となったと伺いましたね。
――最初にこの話を聞いた時は、いかがでしたか?
本当にドッキリだと思ってましたよ。だから、最初のうちは「セリフとか覚えなくてもいいですかね」って急にかましてみたりしたら、「それは覚えてください!」って怒られたりして。
――ドッキリの経験も、まだない頃ですよね。
もちろんそうです。でも、衣装合わせの時にとんでもない人数がいたんで、これはドッキリじゃないなと思いましたね。
――その上、土曜のゴールデン・プライムタイムという多くの人が見る時間帯です。
それまで『ネタパレ』(フジテレビ)とか『にちようチャップリン』(テレビ東京)とか深夜のお笑い番組のオーディション受けて出演することはあったんですけど、こんないい時間は初めてでしたからね。『ぽかぽか』(フジテレビ)に出て、ひんしゅく買ったこともありましたから。(所属事務所・タイタンの)太田光代社長と一緒に出たら、「この人ね、童貞なんですよ。皆さん知ってますか? 知ってますか? 童貞って」とか聞き始めちゃって、大変な目にあいました(笑)
防犯ブザーを鳴らされない喜び
――『占拠』シリーズに出演されての反響はいかがですか?
それまでは考えられなかった人が見てくれてるんです。こないだ小学校の近くを歩いてたら、子どもたちがワーッと近づいてきて、「ドラマ見たよ!」って言ってくれるんですね。こんなのドラマ前だったら親に止められるだろうし、不審者を知らせる防犯ブザーを鳴らされてたと思います。でも「ブザー鳴らさないんだ」と思って。主婦の方も「息子が大好きでね」って言ってくれて。
――「バキ童」より「志摩蓮司」のほうが、知名度も上がりましたか?
もう完全に志摩蓮司ですよ。「バキ童」はどんどん隠していきたい。主婦層とかに「志摩さーん」なんて言われて、街で振り返りたいもんですね。
――この人気で、相方さんに嫉妬されることはないですか?
相方は全然ドラマ好きじゃないらしいので、いいみたいです。『新空港占拠』にちょっと出たんですけど、ボタンを押すだけの演技で8回ミスって、ちょっとドラマには向いてないかもしれないですね(笑)
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――お調子者で私語が多いという役柄の志摩蓮司ですが、共感されるところはありますか?
自分もお調子者だと思うので、近い存在だと思います。当て書きされてるところもあるんじゃないかと思って、セリフも言いやすいですね。
――3作目にして進化している点はありますか?
疑問に思ったことや例え話をしても無視され、怒られてきた志摩蓮司が、2つの事件を解決してきてちょっと一目置かれる存在になっちゃってるんです。所属する組織が変わって、ちょっと偉くなって、志摩もちょっと戸惑ってます(笑)。本当に蔑(さげす)まされてきた人間なんで、こいつがこれから調子に乗るのか、ちゃんとやれるのか、というところを見てほしいですね。
それと恋模様も見てほしいです。まだ後半まで台本を見れてないですが、幸せになるんじゃないかなあ。
――蔑まされてきたというところにも、共感はありますか?
めちゃめちゃありますよ。学生時代も冗談言ってスルーされるとかありましたからね。
――それが今や人気シリーズのレギュラーに定着されて、当時の同級生を見返した感じでしょうか。
そうですね。全員ざまあみろと思ってます(笑)
――しかも大スターの櫻井翔さんと並んで、まさにシンデレラストーリーですね。
いやいや、復讐のストーリーです。全員許してないですから(笑)
団長・櫻井翔が作り出す空気感
――そんな櫻井さんの印象はいかがですか?
大スターで年上なのに、フランクに「おお、ぐんぴぃ!」みたいな感じで接していただけるんです。僕が『怪獣ヤロウ!』って映画に出て、その舞台が岐阜なんですけど、櫻井さんが岐阜に行かれて「ポスター貼ってたの見たよ」と言ってくれたり、いろいろ気にかけてくださってるんです。本当にうれしくて、夢のような話です。
――櫻井さんはバラエティだけでなく、音楽特番や選挙特番などドラマ以外のお仕事もたくさんある中で主演を張っているわけですが、“二足のわらじ”的なところでぐんぴぃさんと共通しているのではないかと思います。見習うところは多いですか?
僕、ドラマって一言一言でカットが違うから、一言だけ覚えればいいんだと思ってたんですけど、このドラマは5分とか10分とか一気にガーッと撮るので、ミスるとそこで止まっちゃうんですよ。櫻井さんはマジで一番忙しいはずなのに、一番長い膨大なセリフ量を一番間違えなくて、本当にすごいんですよね。
――しかもぐんぴぃさんは座りながらのシーンが多いですが、櫻井さんはアクションをしながらですもんね。
もう本当に団長って感じです。あれ、団長で合ってます?
――座長ですかね(笑)
座長ですね、すいません(笑)。だから、座長がああやって率いてくれると、みんなミスれないし、いい緊張がある一方で、本当にいろんな人と和気あいあいと話される方なので、めちゃめちゃ空気がいいんですよ。
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