後輩・鵤誠司は比江島慎に“苦言”!?…スタンス貫き自身2度目の栄冠「終わりよければ全てよし」
5時間前
ファイナルGAME3でも存在感を示した宇都宮の鵤誠司 [写真]=B.LEAGUE
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Toggle豪快なブロックショットと同時に、宇都宮ブレックスのリーグ優勝が決まった。
選手、スタッフたちがコート上でもみくちゃになり、歓喜の輪が広がる。ウイニングボールをキャッチした背番号18は喜びをほどほどに抑え、ボールを持ったまま琉球ゴールデンキングスのメンバーと挨拶を交わした。それを終えると、チームメイトの渡邉裕規と勢いよく抱き合った。
チームとしてはBリーグ最多となる3度目の栄冠。鵤誠司にとっては2020−21シーズン以来2回目の優勝を成し遂げた。前回の優勝時は不動の先発ポイントガードとして主軸を担い、「日本生命ファイナル賞」を受賞。今回の3試合に及ぶ「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2024-25」でのプレータイムは、平均にすると5分程度にとどまった。だが、頂点に立った快感は何ものにも代えがたい。
落ち着いたプレーでチームをけん引 [写真]=B.LEAGUE
5月27日に行われたGAME3は、73-71で歴史の残る死闘を制した。最終盤、劇的な逆転3ポイントシュートを決めたのは比江島慎。前半は無得点だったエースがラスト10分に覚醒するという、ドラマのような展開となった。しかし、宇都宮はこの影響もあり、前半終了時点で12点ビハインドと劣勢を強いられた。
「コーチが計算している活躍が前半できていないわけですよ。だからその計算しているくらいの活躍はしてもらわないと。それじゃ勝てないよっていう話ですよ」
比江島に対し、鵤は容赦なく苦言を呈した。年齢は比江島の3つ下だが、同郷で大学時代からのチームメートでもある後輩は、追い打ちをかけるように吐き捨てた。
「最初からやれよ」
■冷静沈着なプレーで優勝に貢献
宇都宮の強さを語るうえで、カルチャーを築きあげてきた田臥勇太、渡邉裕規といった大ベテランの存在は欠かせない。今シーズンは、そこに若い力が台頭したことで王座奪還を果たした。
そんな中、現在31歳の鵤もチームの強さを支える1人だ。2017-18シーズンから在籍する司令塔は、ベテランと若手の間に位置する“中間管理職”、あるいはどっしりと構える“門番”のような存在。「僕はまだ真ん中より下ですから」という言葉からは、まだベテランではないという周囲への主張が垣間見えた。
22歳の小川敦也は「あんな見た目」と切りだし、同じポジションの鵤の頼もしさを語った。
「誠司さんは、あんな見た目ですけどめちゃくちゃ優しくて、自分は頼りまくってますね。口数は少ないですけど、要所要所で自分にアドバイスをくれますし、『お前ならできるぞ』ってずっと言い続けてくれました。本当にどんな状況でも冷静ですし、常に最適なプレーを選択できるバスケIQもすごいと思います」
GAME3では、第1クォーターから鵤に出番が回ってきた。第2クォーターでは前線でボールを奪って得点をマーク。比江島と2人でプレッシャーをかけ、相手をポンプフェイクでかわしてシュートを決めた一連の流れは見事だった。
昨シーズンからはベンチからの出場が多くなった。プレータイムが減ったとしても「やるべきことをやる」という鵤のスタンスは変わらない。
「自分が生きるより、周りを生かしたいっていうスタンスなので。限られた時間かもしれないですけど、チームを落ち着かせる役割だったり、求められていることをやる。今回もそういったことを意識してプレーしました」
試合後、笑顔を見せた鵤 [写真]=B.LEAGUE
「終わりよければ全てよしっていう言葉があるので、最後に優勝できて本当にいいシーズンでした」
文=小沼克年