「Nintendo Direct」発表後、ネットがざわめき、驚異の再生回数に……最強のダークホース『ほの暮しの庭』はなぜ話題になったのか?

ニンテンドースイッチや最新機器のスイッチ2で遊べる、新作ゲームの発表や続報が「Nintendo Direct ソフトメーカーラインナップ 2025.7.31」で明らかになりました。 【画像】予告映像の再生回数が凄い!ダークホースとなった『ほの暮しの庭』。 タイトルにもある通り、7月31日に行われた今回の「Nintendo Direct」では、『ワンス・アポン・ア・塊魂』や『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』、『オクトパストラベラー0』に『冒険家エリオットの千年物語』など、様々な新作が飛び出しました。 また、いずれも注目度の高い『ドラゴンクエストI&II』と『ゼルダ無双 封印戦記』の続報が綴られ、こちらも大きな話題に。さらに、定番の人気シリーズ『桃太郎電鉄2 ~あなたの町も きっとある~ 東日本編+西日本編』(以下、桃太郎電鉄2)も発表され、多くのユーザーから熱い視線を集めます。 ■「Nintendo Direct」で突然現れた、日本一ソフトウェアの新たな“刺客”!? しかし、今回注目を集めたタイトルの多くは、シリーズものの最新作がほとんどでした。先ほど取り上げた中では、『冒険家エリオットの千年物語』以外は全てシリーズ作です。 人気シリーズを育てていくのは、ソフトメーカーにとって大事な戦略のひとつ。完全新作の新規IPは知名度の点で不利は否めず、なかなか手が出しづらいのもやむを得ない話です。 そうした厳しい状況の中、実はもうひとつ発表されたある新規IPの完全新作が、予想を超えるほどの注目度を集めていました。そのタイトルとは、日本一ソフトウェアが放つ『ほの暮しの庭』です。 ■発表直後に、公式サイトへのアクセス集中 『ほの暮しの庭』が注目を集めた背景やどんなゲームなのか、詳しい紹介は後ほどに回し、まずは反響の大きさに迫ります。 7月31日の22時に「Nintendo Direct ソフトメーカーラインナップ 2025.7.31」が始まり、その中で『ほの暮しの庭』が発表されました。 それからほどなくして、『ほの暮しの庭』の公式サイトが公開されたものの、23時過ぎの時点で「アクセス集中につき、『ほの暮しの庭』公式サイトが見辛い状態となっております」といったコメントが日本一ソフトウェアの公式Xに掲載されます。 気になったゲームの公式サイトを見に行きたくなるのは当然ですが、アクセスに難が出るほど集中する人気ぶりは、驚くほかありません。安定したファン層が確立されているシリーズ作なら分かりますが、新規IPでこの注目度は相当なものです。 ■PV再生回数が、人気のシリーズ作と肩を並べる勢いに 反響の大きさは、アクセスの集中だけではありません。「Nintendo Direct」終了後、任天堂の公式YouTubeチャンネルにて、各作品ごとの映像が公開されました。 いくつかの話題作の再生回数を確認したところ、8月1日14時頃の時点で、再生回数はおおむね以下のような数字でした。 【任天堂公式YouTubeチャンネル 各タイトルの再生回数:8月1日14時頃】 ・『ドラゴンクエストI&II』:14万回 ・『ゼルダ無双 封印戦記』:12万回 ・『桃太郎電鉄2』:15万回 ・『ほの暮しの庭』:15万回 8月1日の昼過ぎの段階で、『ほの暮しの庭』の再生回数は『ドラゴンクエストI&II』や『ゼルダ無双 封印戦記』を抜き、『桃太郎電鉄2』と肩を並べています。 『ドラゴンクエストI&II』と『ゼルダ無双 封印戦記』は最新情報の公開なので、新発表だった『ほの暮しの庭』とは違い、インパクトがやや弱くなっても無理はありません。とはいえ、平均的な新作ゲームの発表よりも、人気作の続報の方が話題になるという側面もあります。 新規IPが、人気作の続報以上の再生回数を記録するというのは、かなりの功績と見てもいいでしょう。また、この時点では新発表の『桃太郎電鉄2』と並んでいるのも流石です。 そして翌8月2日の15時頃には、驚きの再生回数を叩き出します。 【任天堂公式YouTubeチャンネル 各タイトルの再生回数:8月2日15時頃】 ・『ドラゴンクエストI&II』:21万回 ・『ゼルダ無双 封印戦記』:19万回 ・『桃太郎電鉄2』:25万回 ・『ほの暮しの庭』:26万回 いずれも7万~10万ほど再生回数を伸ばしていますが、『ほの暮しの庭』は11万回を上乗せし、この時点では『桃太郎電鉄2』をも上回っています。 しばらく日を置き、最後に8月5日の午前1時頃の再生回数を見てみましょう。 【任天堂公式YouTubeチャンネル 各タイトルの再生回数:8月5日午前1時頃】 ・『ドラゴンクエストI&II』:28万回 ・『ゼルダ無双 封印戦記』:26万回 ・『桃太郎電鉄2』:38万回 ・『ほの暮しの庭』:35万回 時間の経過と共に広い層に知られたのか、一般的なタイトルなら伸び悩んでおかしくないタイミングでも、各作品が順調に再生回数を伸ばしました。特に『桃太郎電鉄2』の伸びは素晴らしく、13万もの数字を重ねました。 『ほの暮しの庭』の伸びは9万回ほどなので、合計数では『桃太郎電鉄2』に抜かされてしまいます。とはいえ、新規IPの映像再生回数が、メジャーシリーズの最新作に近しいレベルというのは、驚嘆するほかありません。 もちろん、再生回数はあくまでデータのひとつ。これだけで全てが決まるわけではないものの、初報で大躍進したのも事実です。果たしてなぜ、『ほの暮しの庭』にこれほどの注目が集まったのでしょうか。 ■『ほの暮しの庭』にチラつく、『夜廻』で得た絶対的信頼感 『ほの暮しの庭』が新規IPなのは確かですが、一定のゲームファンから既にある程度の信頼を獲得しており、興味を後押しする背景があったのです。 この『ほの暮しの庭』は、日本一ソフトウェアが手がけた『夜廻』シリーズのスタッフが開発に当たっています。それは情報としても明示されていますし、なにより『ほの暮しの庭』のキャラクターデザインやビジュアルは、『夜廻』シリーズを知る者にとって一目瞭然でした。 ただし、『夜廻』シリーズのジャンルはホラーアクション。寂しい夜の街に潜む「なにか」を避けながら、主人公はそれぞれの目的を達成するため、恐る恐る闇の中に足を踏み入れます。この独特の緊張感と忘れがたい物語が、プレイしたユーザーを虜としました。 そのため、「Nintendo Direct」で『ほの暮しの庭』が発表されるや否や、「『夜廻』の最新作か!?」といったコメントがXなどに湧き上がりますが、明るい日差しの中で会話を交わす登場人物たちのやりとりや、哀愁を漂わせながらも落ち着きのあるBGMなど、『夜廻』とは明らかに異なる空気を放っています。 また、主人公が畑を耕したり、釣りに励むなど、のどかな田舎で過ごす日々が描かれると、「これはスローライフを楽しむ生活シミュレーションゲームで、やはり『夜廻』とは違う」といった意見に落ち着いていきました。 しかし、時間が経過して日が暮れると、ナレーションの声もなぜか低くなっていき……主人公の背後には、人ならぬモノの影が! そんな展開を見せた直後に「『ほの暮しの庭』は、2026年7月30日発売」と告知して映像終了。油断しきったところに背中を斬りつけられたような、強烈な不意打ちで締めくくられたのです。 この一連の流れを見た視聴者は、「ほのぼのライフだと思ったら、後半で本性を表した」「ほのぼのじゃなくて、ほの暗いの“ほの”か!?」「これ、『仄暗"死"の庭』になる?」など、突然湧き上がった不穏な気配に戦々恐々とするばかり。 また、「安心と信頼の日本一の夜廻チームなら、絶対にほのぼのでは終わらない」「安心と信頼の、子供と動物に厳しい日本一ソフトウェア」といった、信頼感ゆえの“絶対恐ろしことになる”予感を覚える人も。「今回は犬は大丈夫?」と心配する気持ちも、『夜廻』ファンなら誰もが気になるところでしょう。 ほのぼの路線からの急転直下や、『夜廻』スタッフへの絶対的な信頼感から、一気に注目を集めた『ほの暮しの庭』。「Nintendo Direct ソフトメーカーラインナップ 2025.7.31」における、最強のダークホースだったと言っても過言ではないほどです。 後に公開された『ほの暮しの庭』の情報を確認すると、本作のジャンルは生活シミュレーション。ホラーの文字はまったく入っていませんが……日本一ソフトウェアが、そして『夜廻』スタッフが、最初の雰囲気のまま終わらせるとは全く思えません。 個人的にも、“夜の恐ろしさ”が絶対に盛り込まれていると確信して止まない『ほの暮しの庭』は、発表と同時に今後注目すべき作品のひとつとなりました。本作でも、企画・ゲームデザインの溝上侑氏の発想や表現に、何度も胸をえぐられそうです……。

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