「ディープシークショック」続く、日米テック株が再び下落
[ロンドン/シンガポール 28日 ロイター] - 中国の新興企業ディープシークが低コストの人工知能(AI)モデルを公表したことによる世界的な市場の混乱「ディープシークショック」は28日のアジア・欧州市場でも続いている。投資家の間では「米中AI競争」が焦点になりつつある。
ニューバーガーバーマンのポートフォリオマネジャー、岡村慧氏は昨年8月の日経平均をはじめとする世界的株安を挙げて、明らかに売りが先で講釈は後というアプローチだと指摘した。
<米ハイテク大手の巨額AI投資に脚光>
今回の株価急落で、投資先の集中と、米ハイテク大手がAI能力の開発に注ぎ込んでいる巨額の投資、そしてこれらの銘柄の一部の極めて高いバリュエーションが意識された。
バーンセン・グループのデービッド・バーンセン最高投資責任者(CIO)は、27日にテクノロジー株が急落したのは、株価が非常に高かったことが一因と指摘。
「これらのテック株は多くの投資家のポートフォリオで過大なウエートを占め、株価指数でも大きな比重を占めていた。これは重大なリスクにもかかわらず、過小評価されていた」と述べた。
割高な株を買うために多額の借り入れをしている投資家もいる。MFSインターナショナルのグローバル投資ストラテジスト、ロブ・アルメイダ氏は、27日は損失の穴埋めのために他のアセットも売られ、アルゴリズム取引も活発化し、下げが加速したと指摘する。
折しも今週はアップル、マイクロソフトなどの米巨大テックの決算発表がある。経営陣は設備投資を巡る懸念払拭を図るとみられる。
A line chart titled "The Magnificent Seven versus the market" that compares the performance of the seven largest stocks versus the rest of the S&P 500.IGの市場ストラテジスト、ジュン・ロン・ヤップ氏は、ディープシークが最終的に米国のAI事情を一変させるゲームチェンジャーになるかどうかで意見が分かれていると述べ、「先に売って後で考える」思考が働いている可能性があるとの見方を示した。
サクソのチーフ投資ストラテジスト、チャルー・チャナナ氏はディープシークのAIについて、世界のAI分野における競争が激化しており、エヌビディアが永遠にポールポジションにいるとは限らないことを示すものだと述べた。
「ディープシークは、性能は劣るがコスト効率の高いハードウェアを使用して最先端のAIモデルを開発した。米テック企業が高額なAIインフラに多額の投資を行っている状況に挑戦するものだ」と語った。
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