世界同時多発的少子化は「全部スマホのせい?」失われたリアルな物語 #エキスパートトピ
少子化はスマホの普及のせい?
以前からあった論説だが、再びX上で大きな話題となった。きっかけは、フィナンシャルタイムズに掲載された記事内のグラフを、海外の多くの大学教授らがポストしたためだ。
そのグラフは、米英豪など世界の主要諸国で、スマホが普及した年(主に2007年頃)を起点として出生率(TFR)の減少が加速していることを示したもの(以下を参照)。
日本でもこの話題が拡散し、「少子化は、若者の価値観変化でも経済的理由でもなくスマホの普及のせいだ」という投稿がバズっている。
納得してしまう人も多いだろう
ココがポイント
Martin Rapetti@mgrapetti
研究者らは、スマートフォンが若者の交流の仕方を変え、対面での交流が大幅に減ったことが出生率の低下につながったと主張出典:GIGAZINE 2026/5/18(月)
オンラインエンターテインメントの質が劇的に向上し(中略)出会いの形成や、婚姻内での子どもを持ちたいという意欲にも悪影響出典:ライブドアニュース 2026/4/3(金)
20代の74%が「結婚につながらない交際は無駄」(中略)友達付き合いに対しても、コスパを求め、交友関係を「損切り」する出典:荒川和久 2026/3/28(土)
エキスパートの補足・見解
確かに、スマホの普及は人々の情報・生活環境を大きく変えた。若者の時間と関心をスマホが奪い、それまで恋愛などに向けられていた熱量を吸い取った面もある。
が、同時期には、経済的不確実性の増加や教育・雇用分野での構造変化も著しい。スマホだけのせいとは言い切れない。
とはいえ、スマホは少子化の加速装置だった。
スマホ登場以前から進んでいた「社会の個人化」をスマホが推進したのも確か。急速に発達した情報化の中で、人と人とのリアルなつながりの希薄化をもたらした。不幸にも、コロナ禍がそれに拍車をかけた。
そうした希薄化した環境の中で若者は益々スマホ関与が増え、便利だが不要な情報量に飲まこまれていく。すると、客観的な判断基準としての数字に依存するようになる。結果、結婚や家族、友達でさえ「コスパ・タイパ」など「効率の数字」を基準にするようになった。婚活では、人間はまるでスペックを書いた商品と化した。
アナログで曖昧で人の温もりがある「物語世界」から、ドライで白黒が明確な冷たい「数字世界」への転換がそこにはある。
若者の経済的不確実性は今も同じだが、数字が突きつけられることで、かつての曖昧な希望のある物語が失われてしまったのではないか。