「主役機なのに惨敗…」 “ガンダムを食う”ほどの活躍を見せた格下メカ3選
「ガンダム」シリーズでは時として、量産機や旧型機が最新鋭の主役機を凌駕する驚きの戦いを見せることがあります。その決定的な要因となるのが、搭乗するパイロットの卓越した技術です。今回は機体性能では到底勝ち目がないはずなのに、操縦者の腕前だけで奇跡的な戦果を挙げた3機の活躍を振り返ります。
「ガンダム」シリーズでは、最新鋭の主役機が圧倒的な性能を誇る一方で、時として旧型機や量産機が予想外の健闘を見せることがあります。その鍵を握るのは、搭乗するパイロットの技量でしょう。
機体性能だけなら到底勝ち目がないはずなのに、操縦者の卓越した技術によって驚異的な戦果を叩き出した3機を紹介します。
●ギャプラン(『機動戦士Ζガンダム』)
まず取り上げるのは、『機動戦士Ζガンダム』に登場するティターンズの可変モビルアーマー「ギャプラン」です。変形機構を持つことから機動性に優れていることが特徴です。
初登場時は強化人間のロザミア・バダムが搭乗し、クワトロの百式を苦戦させる場面もありましたが、最終的にはカミーユ・ビダンのリック・ディアスに敗北。「そこそこ強い敵機」程度の印象でした。
ところが、この機体の真価が発揮されるのは、伝説のパイロット、ヤザン・ゲーブルが乗り込んでからです。しかも注目すべきは、ヤザンが使用したギャプランが一般兵仕様に調整されていたということ。さらに全天周囲モニターの不具合まで抱えていました。
そんな条件の悪さにもかかわらず、ヤザンはカミーユのΖガンダムやエマのガンダムMk-IIを相手に互角の戦いを展開。特に印象深いのが、本来は苦手分野であるはずの接近戦でも堂々と渡り合った点です。
この活躍により、「オールドタイプ最強パイロット」論争では必ずヤザンの名前が候補に挙がるほど。機体の限界を軽々と超越する操縦技術は、まさに圧巻の一言でした。
●AEUイナクト(『機動戦士ガンダム00』)
続いて紹介するのは、『機動戦士ガンダム00』第1話から姿を現したAEU軍の量産型MS「AEUイナクト」。ユニオン軍の可変MS「ユニオンフラッグ」を参考に設計された機体です。
第1話でエースパイロットのパトリック・コーラサワーが搭乗したものの、ガンダムエクシアに完膚なきまでに敗北。「やっぱり量産機じゃガンダムには歯が立たない」という認識を視聴者に植え付けました。
しかし、状況は一変します。改良型の「AEUイナクトカスタム」にアリー・アル・サーシェスが搭乗すると、この機体は見違えるような戦闘力を発揮したのです。
サーシェス機の恐るべき点は、刹那のガンダムエクシアを格闘戦で圧倒したこと。エクシアといえば近接戦闘を得意とする機体として知られており、その土俵で優位に立つなど通常では考えられません。カスタム仕様とはいえ、基本設計は量産機であることに変わりはないのです。
この戦いを通して、サーシェスがイナクトの隠されたポテンシャルを完全に引き出していることが明らかになりました。機体の性能差を操縦技術で埋める、まさに職人芸といえる戦いぶりでした。
●リーオー(『新機動戦記ガンダムW』)
最後に挙げるのは、『新機動戦記ガンダムW』の代表的な量産機「リーオー」です。汎用性と操縦性に優れた機体として設計されましたが、作品内では初期型の量産機という位置づけでした。
記念すべき第1話で、この機体がシリーズに残る大金星を挙げます。搭乗者はゼクス・マーキス。相手は、主人公ヒイロ・ユイの駆るウイングガンダムでした。
戦闘序盤、ヒイロのバスターライフルが2機のエアリーズを一撃で葬り去る圧倒的な火力を見せつけます。この光景を目の当たりにした普通のパイロットなら、戦意を喪失してもおかしくありません。
ところがゼクスは違いました。リーオーの機動性を活かして巧妙に間合いを詰め、ウイングガンダムに組み付きます。そしてそのまま海中へと落下させ、自身はパラシュートで脱出するという離れ業を披露。結果として、量産機で最新鋭ガンダムを戦闘不能にさせるという大成果をあげました。
興味深いのは、リーオーがその後もメインキャラクターが搭乗する際には必ずといっていいほど活躍を見せること。ヒイロやトレーズが乗った時の戦闘力向上ぶりは、謎のパイロット補正として多くのファンに愛され続けています。
これらの戦いに共通するのは、機体の性能差を操縦者の技術で覆したということです。最新鋭機vs量産機という構図でありながら、パイロットの腕前次第で結果が大きく左右される。この意外性も「ガンダム」シリーズの魅力といえるでしょう。
(マグミクス編集部)