マイクロソフト、無料の「広告付きクラウドゲーミング」準備中か Xboxゲームパス大幅値上げ直後に
マイクロソフトはゲームサブスクリプション「Xbox Game Pass」を値上げし、とくに最上位プランのUltimateでは、米国で約50%、日本では約90%もの大幅値上げとなりました。その影響でキャンセルページにアクセスが殺到し、一時的にダウンする騒ぎにまで発展しました。
こうした爆上げ方針を和らげるためか、まもなくクラウドゲーミングサービス「Xbox Cloud Gaming」の広告付き無料プランを開始すると、テックメディアThe Vergeが報じています。
Xbox Cloud Gamingは、マイクロソフトのサーバー上でゲームを処理し、その映像をユーザーの端末へストリーミングする仕組みです。そのため利用する機器側の性能は高くなくてもよく、映像再生と入力送信が可能であれば十分です。スマートフォンやタブレットはもちろん、Amazon Fire TV Stickといった安いデバイスでもXboxゲームを遊ぶことができます。
マイクロソフト社内の情報筋によると、すでに従業員向けに広告付きゲームストリーミングのテストが始まっており、有料Game Passへの加入なしで一部のタイトルを無料プレイできるとのことです。
無料プランでは、ユーザーがすでに所有している対応ゲームに加え、「Free Play Days」で配布される期間限定タイトルや「Xbox Retro Classics」も遊べるとされています。
Xbox Retro Classicsは80〜90年代の米Activisionゲームを50本以上収録したコレクションで、クラウドセーブや実績機能にも対応。『戦場の狼』や『ピットフォールII 失われた洞窟』といった日本でも知られるタイトルも含まれています。
プレイ前には約2分間の広告が流れる仕様とされ、ゲーム途中に挿入されたり、画面に被ったりすることはないようです。現在のテストでは1セッション最大1時間、月合計5時間まで利用可能であるものの、正式サービス開始時には変更される可能性があるとのことです。
広告付きクラウドゲーミングはPC、Xbox本体、携帯端末、ウェブ経由で提供される予定です。マイクロソフトは近く無料のパブリックベータを開始し、今後数ヶ月以内に本格展開する計画だと伝えられています。
現在、有料のGame Pass全プランでXbox Cloud Gamingが利用できますが、条件はプランごとに異なります。
- Ultimate:1440p解像度、最大30Mbpsビットレート
- Premium/Essential:1080p解像度、最大12Mbpsビットレート
無料プランでは、これらよりも条件が落ちる可能性があります。
なお、Ultimateの正規価格は大幅に引き上げられましたが、日本のAmazonでは1か月1,450円のオンラインコードが販売されています。さらに米国の大手小売GameStopは「まだ月額19.99ドル(値上げ前価格)で購入可能」と宣伝し、マイクロソフトを煽っているようです。
京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、マグミクスで記事を執筆中。