ロシア、ウクライナ首都をミサイルとドローンで攻撃 ハルキウなどでも爆発
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ウクライナの首都キーウで24日にかけて、ロシアのミサイルやドローン(無人機)による夜間攻撃があり、少なくとも9人が死亡、子供6人を含む77人が負傷した。ウクライナ当局が発表した。第2の都市ハルキウなど、他の地域でも攻撃があった。
キーウのヴィタリー・クリチコ市長によると、負傷者のうち31人は病院で手当てを受けている。建物は12棟が被害を受けたという。
落下したドローンの残骸で多数の火災が発生したほか、破壊された集合住宅のがれきの下に大勢が閉じ込められた恐れがあるという。
キーウへの攻撃としては、昨年7月8日の攻撃以降、最も被害が大きい。同日の攻撃では、小児病院が大きな被害を受けるなどし、34人が死亡、121人が負傷した。
北東部ハルキウも攻撃を受け、複数の爆発が報告された。イホル・テレホフ市長によると、ドローン攻撃が14回、ミサイル攻撃が10回あった。少なくとも2人が負傷したという。
攻撃の一つは「人口密集地域」に対するもので、高層ビル数棟の窓が割れるなどした。ホテル、学校、インフラ施設も被害を受けたという。
北東部スーミや西部ジトーミルなどの地域も攻撃を受けたと、イホル・クリメンコ内相は説明した。
南アフリカを訪問中のウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、同国のシリル・ラマポーザ大統領と会談した後は予定の一部をキャンセルし、帰国するとXに投稿。
ロシアによる攻撃については、弾道ミサイルを含むミサイル約70発と、攻撃用ドローン約150機が使われたとした(ウクライナ空軍は、弾道ミサイル11発、巡行ミサイル55発、滑空爆弾4発、ドローン145機が使用されたとした)。
ゼレンスキー氏はさらに、「攻撃を即刻、無条件でやめさせる必要がある」とし、ウクライナに味方する世界中の人々に感謝していると書き込んだ。
ゼレンスキー氏は空爆の数時間前、戦争の和平交渉を阻害していると、アメリカのドナルド・トランプ大統領から批判された。
ウクライナはこれまで、2014年にロシアが不法に併合したクリミア半島の領有権を放棄する和平案を繰り返し拒否している。
空爆の後には、ウクライナのアンドリー・シビハ外相が、「この残忍な攻撃は、和平の妨げとなっているのがウクライナではなく、ロシアであることを示している」とXに書き込んだ。
ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始。現在、ウクライナ領土の約20%を掌握している。
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24日未明のロシアによるキーウへの夜間攻撃の負傷者には、子供6人と妊婦1人が含まれていると、クリチコ市長はソーシャルメディアに投稿した。
市長はまた、首都の「6カ所で火災が発生した」とし、破壊された集合住宅の「がれきの下に人が取り残されている」と付け加えた。
クリメンコ内相は、「残骸の中で電話が鳴っているのが聞こえる」と述べた。
現場では、救助隊が捜索犬をつれて、がれきをかき分けながら生存者を捜している様子が目撃されている。
最も大きな被害を受けたのは、キーウ西部のスヴャトシンスキ地区だと、クリチコ市長は述べた。
ソーシャルメディア上には、ミサイルがキーウを直撃している場面だとする動画が浮上した。この攻撃が、大規模な火災を引き起こしたとされる。
一方、ロシア国境から約40キロメートルに位置するハルキウでは、2人が負傷した。ハルキウのイホル・テレホフ市長が明らかにした。
ロシアのミサイルとドローンによる夜間攻撃で「複数の民家」が被害を受けたと、テレホフ市長は述べた。
ウクライナ空軍は、同国では事実上全ての地域が空爆の脅威にさらされていると警告した。
報告されている攻撃について、ロシア軍はこれまでのところコメントしていない。
ロシア国防省は、夜間にロシアの複数地域の上空に飛来した、ウクライナのドローン87機を破壊あるいは迎撃したと、ソーシャルメディアに投稿した。このうち2機はモスクワ州上空、45機はクリミア上空で迎撃したとしている。
ウクライナの隣国ポーランドの軍作戦司令部は、ロシアによるウクライナ西部への攻撃を受け、ポーランド領空を確保するために戦闘機を緊急発進(スクランブル)させたと発表した。
「ロシア連邦がウクライナ西部の標的への空爆を実施し、長距離飛行活動を行っていることから、ポーランドと同盟国の航空機がポーランド領空での活動を開始した」と、同司令部はソーシャルメディアに投稿した。
ポーランド軍作戦司令部は、ロシアがウクライナ西部を標的にした際に、こうした声明を出している。