米住宅着工件数、5月以来の低水準-在庫過剰で生産意欲鈍る
8月の米住宅着工件数は前月比で減少し、5月以来の低水準となった。過剰な住宅在庫が業者の建築意欲を鈍らせた。
キーポイント- 住宅着工件数は前月比8.5%減の年率換算130万7000戸
- ブルームバーグ調査の予想中央値は136万5000戸
- 前月は142万9000戸(速報値142万8000戸)に上方修正
- 住宅着工許可件数は3.7%減の131万2000戸
一戸建て住宅の着工件数は7%減の89万戸と、約1年ぶりの低水準を記録。ここ数カ月、全体の建設を下支えしていた集合住宅の建設も減少し、前月比で12%近く落ち込み、3カ月ぶりの低水準となった。
新築物件の供給が2000年代半ば~後半以来の高水準にあり、住宅建設はここ数年で鈍化している。借り入れコストは最近やや低下し、住宅購入者にとっては追い風となる可能性もあるが、多くのエコノミストは住宅の供給過剰が今後も建設活動を抑制するとの見方を示している。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのチーフ米国エコノミスト、スティーブン・スタンリー氏はリポートで、「在庫を抑制するために、建設業者が着工件数を減らす覚悟を決めるべき時期はとうに過ぎている」と指摘。「8月の統計は、ようやく業者がその対応に乗り出した可能性を示唆している」と述べた。
短期金融市場では連邦準備制度理事会(FRB)が年内に複数回の利下げに踏み切るとの観測が広がっている。同日発表の別の統計では、住宅ローン金利が先週、ほぼ1年ぶりの低水準まで下がり、それに伴って借り換えが急増したことが示された。
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アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」では、第3四半期の国内総生産(GDP)に対し住宅投資は小幅なマイナス寄与になると見込まれた。
将来の建設動向を示す着工許可件数は、約5年ぶりの低水準を記録した。そのうち一戸建て住宅の許可件数は、2023年3月以来の低水準に落ち込んだ。
ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール氏は「在庫の積み上がりや販売ペースの鈍化を受けて、着工件数の減少は予想していたものの、建築許可件数の持続的な減少を見る限り、FRBによる利下げ再開の見通しが建設業者の意欲を刺激しているようには見えない」と指摘した。
建設中の一戸建て住宅件数も引き続き減少し、年率換算で61万1000戸と、2021年初頭以来の低水準となった。
地域別では、住宅建設が最も盛んな南部で着工件数が21%減少し、約1年ぶりの低水準となった。中西部でも減少した一方、西部と北東部では増加した。
住宅の新規建設に関するデータは変動が大きく、今回の統計でも、月間の変化率については19.2%減から2.2%増加の範囲に収まる可能性が90%あると示された。
24日には8月の新築住宅販売件数が発表される。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Housing Starts Fall to Lowest Since May in Broad Decline(抜粋)
— 取材協力 Chris Middleton and Augusta Saraiva