「国旗損壊罪は必要ない」 岩屋毅前外相が語る法制化への違和感
国旗尊重の意識は広く共有されている
――日本国旗損壊罪についてどう考えますか。
◆現在、あちこちで日の丸が壊されたり、焼かれたり、破られたりして社会問題化しているわけではありません。つまり、立法の根拠となる「立法事実」がなく、その必要性が高まっているとは思えません。私としては、立法の必要はないと考えています。
――連立合意書では、外国の国旗を損壊した場合などに刑事罰が科される「外国国章損壊罪」のみが存在する矛盾を是正すると書かれています。
◆外国国章損壊罪は刑法92条に定められていますが、これは外交関係に配慮して設けられている規定なので趣旨が異なります。実際に、1958年に長崎で中国の国旗が引きずり下ろされる事件が起き、外交問題に発展したことがありましたが、以降はそういった事案はないと思います。
日の丸が損壊された例は38年前(87年)に沖縄で一度ありましたが、これもそれ以降はしっかり確認されているものはないでしょう。国旗(日の丸)を尊重する意識が幅広く人々に共有されているからだと思います。本来、法律によらずして、そういう状態が保たれているのが望ましい状態です。
国民の行為を規制し、なおかつ罰則を科すに当たっては、その法律を作らねばならない社会現象があってこそ、その必要性が議論されてしかるべきです。その意味では唐突感を覚えざるを得ません。一部の人たちの心情に訴えることを目的とするような立法がなされるべきではないと思います。
――参政党は、日の丸にバツ印をつけて街頭演説に抗議する人たちの存在を主張しています。
◆それは国家を侮辱しているのではなく…