上海でレッドブルを襲った「惨事」の正体、あわやダブルQ2敗退。フェルスタッペン表情険しく/F1中国GPスプリント予選
かつてシーズンを席巻した「最強」の面影は、上海の冷たい風の中でかき消えた。2026年F1第2戦中国GPのスプリント予選で、レッドブル・レーシングは深刻な苦戦に直面した。
マックス・フェルスタッペンは8番手、アイザック・ハジャーは10番手。だが、この順位さえ実態を反映しているとは言い難い。マシンの挙動は終始不安定で、むしろ結果は出来過ぎと言った方が良いのかもしれない。
実際、レッドブルの2台がSQ3に進めたのは幸運に近い。SQ2でのベストラップがわずか0.1秒遅ければ、ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)とエステバン・オコン(ハース)に敗れ、トップ10から完全に姿を消していた可能性があった。
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ピットレーンに停止したアイザック・ハジャーのレッドブルRB22、2026年3月13日(金) F1中国GPスプリント予選(上海インターナショナル・サーキット)
フェルスタッペンが「酷すぎる」と無線で訴えていたように、コース上のRB22の挙動は実に厳しいものだった。ラップ序盤にわずかに現れるアンダーステアが、ラップを進めるごとに悪化していく。
特にターン11〜12の切り返しからターン13に向かう区間では、フロントがまったく応答しない。ターン14のヘアピンでも同様に弱さを露呈した。
フリー走行の段階から違和感はあった。フェルスタッペンは担当レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼに、無線でこう訴えている。
「フロントタイヤがターン3以降で完全に終わっている。クルマが壊れているみたいだ」
ドライバーのステアリング入力に対してフロントが反応しない、典型的なアンダーステアだ。
「全く曲がらない」王者の嘆きと、消えた0.5秒の謎
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インタビューに応じる8番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2026年3月13日(金) F1中国GPスプリント予選(上海インターナショナル・サーキット)
セッション後、フェルスタッペンは珍しく険しい表情を崩さないままインタビューに応じた。
「ペースという意味では、一日中ずっと惨事だった。グリップがない。正直、それが一番の問題だと思う。グリップもないし、バランスもない。コーナーでとんでもないタイムを失っている」
基礎となるべきバランスが崩れると、ブレーキングは不安定になり、立ち上がりは遅れ、エネルギー回生も最適化できないなど、副次的な問題が連鎖的に発生する。
「そうなると、そこから別の小さな問題も連鎖的に出てくる。でも僕らの一番大きな問題は、とにかくコーナリングが完全に崩れていることだ」とフェルスタッペンは付け加えた。
一方、10番手に終わったハジャーも不可解な現象に頭を抱えている。自身のラップには満足していたものの、ストレートだけで0.5秒ものタイムを失っていたという。
車体のみならず、エネルギーマネジメントにも課題を抱えていた可能性がある。
パルクフェルメ解除への一縷の望み
不幸中の幸いなのは、これがRB22のパフォーマンス限界というわけではなく、単に持ち込みのセットアップの方向性を外しただけという可能性がある点だ。
テクニカル・ディレクターを務めるピエール・ワシェは、「セットアップが期待通りに機能しなかった」と認め、スプリントレース終了後にパルクフェルメが一時解除されるタイミングで調整を加える考えを示した。
レッドブルは短い週末の中で体制を立て直すことに定評のあるチームだが、具体的な解決策はいまだ霧の中だ。フェルスタッペンは「現時点で何ができるか分からない」と、悲観的な見方を漏らした。