【立ち食いそば放浪記355】しぶそば最強のそばは「カレーつけ麺」説 / 記録的猛暑でも喉をスルスル通る味
2025年8月5日、群馬県の伊勢崎で41.8度が観測された。これは全国歴代1位の記録で、平たく言えば記録的猛暑というヤツだ。
誰がどう考えても暑い中、池袋を歩いていたところ、駅そばの「しぶそば」がカレーそばをゴリ押ししていた。それは無謀だろ……!!
・攻めるしぶそば
と、一瞬思ったんだけど、看板の写真を見ると、いわゆるアツアツのカレーそばじゃなくて、つゆがカレーのつけそばというスタイルだった。とは言え、看板に書かれた “蕎麦屋の本気” という文字には、「本当にその言葉を使ってしまっていいのか」と疑問を感じずにいられない。
そもそも、カレーそば自体が邪道寄りメニューなのに、さらにカレーつけ麺スタイルなのである。本気の出し方を間違えているような気がしてならない。暑さのせいだろうか。そこで逆に注文してみることにした。
・嬉しいけども
価格は810円。プラス120円で温玉をトッピングしてみた。『カレーつけそば』にはそばとつゆだけじゃなく、ミニライスもついてくる。私(中澤)はカレーそばの残ったつゆにライスを入れて最後カレーおじやで〆るのが好きなので、別注文するまでもなくミニライスがついてくるのはプラスポイントだ。
しかし、そもそも私の趣味嗜好が、様式美よりも親しみやすさに寄っているというのはあると思う。それを踏まえて見てみると、おじや用のミニライスの心遣いが逆に本気度を下げているような気もしなくもない。
・ガチポイント
少しでもやらかしたら即謝罪を求められる世の中で、本当にこれを蕎麦屋の本気と言ってしまっていいのか、しぶそばよ。一瞬しぶそばの社長の顔が頭をよぎる。攻めすぎてやしないか。そんな不安を覚えながらも食べてみたところ……
つけつゆの味はクリーミーなのにスパイシーで、しぶそばのカレーライスともまた違うワンランク上の本格的なカレーの味がする。そのカレー風味には確かにある種の本気が感じられた。
さらに、そばは冷えていて、温かいつゆと絡んだ時のバランスが良い。カレーとしては冷たくても微妙だし、季節的には熱いのも気持ちが萎える。冷たさとスパイシーさの融合がその針の穴を通すようだった。これは猛暑でもノドを通る味。
・とりあえずウマイ
むしろ一気に食べきってしまった。カレーおじやにしてもバランスの良いつゆには計算すら感じられる。しぶそばって駅そばの中ではウマイ方だと思うけど、そのメニューの中でもクオリティーが高い味と言えるのではないだろうか。
食べ終わった後も見方によっては意見が分かれるように感じるしぶそばの『カレーつけそば』。でも、しぶそばの本気だけはビンビンに伝わってきた。その正体は、記録的猛暑でもスルスル喉を通るカレーそば。暑くてバテそうな日にこそオススメしたいカレーそばと言える。
執筆:中澤星児 Photo:Rocketnews24.