米国、戦後のウクライナで駐留欧州軍への防空支援を拒否-関係者

戦争終結後のウクライナで英国とフランスが派遣を計画している平和維持部隊に対し、米国は防空支援を拒んでいると、事情に詳しい関係者が明らかにした。

  英国のスターマー首相は、今後停戦合意が結ばれたとしても、それをロシアが破らないようにするには、いわゆる米国の「バックストップ」が不可欠だと主張している。しかし、欧州の同盟国は米国側との協議を通じて、欧州主導の「有志連合」を支えるうえで、トランプ米大統領から求めていたような確約を得られることはないとの結論に至ったという。非公開の協議内容だとして、関係者が匿名を条件に語った。

  英国政府はコメントを避けた。ホワイトハウスにもコメントを求めたが今のところ返答は得られていない。

  米国の消極的な姿勢は、ロシアによるウクライナ侵攻への対応を巡り、西側同盟国の間で意見が分かれていることを浮き彫りにする。欧州当局者は、ロシアを抑止するには米国の保証だけでなく、支援国の後ろ盾を受けた強力なウクライナ軍が不可欠だと述べる。

  関係者によると、戦後のウクライナに対する米国の支援はそれほど見込めないが、英国とフランスは、米国が引き続きウクライナ・ロシア国境の監視および情報提供を行うことに期待を寄せている。また一部の欧州当局者は、英国やフランスの兵士がウクライナでロシアの攻撃対象になった場合、トランプ大統領が黙っているとは考えていない。ただ、トランプ氏がそのような安全保障の確約を明文化する可能性は低いと、関係者の1人は語った。

  さらに欧州各国の政府は、ロシアを抑止するために何が必要か、評価を見直したという。関係者の1人によると、ウクライナ軍や支援国による訓練、北大西洋条約機構(NATO)東側前線に駐留する欧州各国の部隊や航空機、黒海での哨戒活動といった要素が必要だと見なされている。

  米国のウィタカーNATO大使は4日、ブリュッセルで記者団に対し、「同盟国、特にフランスと英国がドイツや他国と共に有志連合の形成に取り組んでいることを評価する」と述べ、「安全保障の確約を現実すべく、政治的資本の投入や軍事資源の貢献において、欧州の全ての同盟国が引き続き主導的な役割を果たしてくれることを期待している」と語った。

原題:US Said to Deny Air Cover to Europe Force in Postwar Ukraine (1)

(抜粋)

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