子ども向けサイトにも"エロ広告"、実態調査の男性が警告「放置すればネットが壊れる」

性的な広告、いわゆる「エロ広告」がインターネットで蔓延している。

ゲームの攻略サイトなどでも表示されるため、子どもへの悪影響を懸念する声もあり、今国会でも質問する議員がいる一方で、対策が進んでいないのが実情だ。

そんな中、育児関連の活動をおこなう市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」の有志が実態調査に乗り出した。

その結果、6割以上が広告ブロックツールの導入や、エロ広告が出たサイトを見ないようにするなど、何らかの対策をおこなっていると回答した。

調査の中心を担ったメンバーで、東京都中央区議の穗積勇起さんは、結果について「広告業界やインターネット文化の発展に影響しかねない」と警鐘を鳴らす。

そのうえで、法規制だけでなく、広告業界によるルール整備を早急に進める必要があるとうったえた。(弁護士ドットコムニュース・玉村勇樹)

●きっかけは娘のスマホに表示された「エロ広告」

穗積さんが調査に乗り出したきっかけは、小学4年生の長女がゲームの攻略サイトを見ていたときだった。

「調べていたのは、家族でできるような、ほのぼのとしたゲームの攻略サイトでした。にも関わらず、上半身がほとんど裸のような女性の広告が出てきて…この状況はまずいのでは、と思ったのが最初です」

穗積さんはエロ広告について調べている中で、国による対策の不備を感じたという。

こども家庭庁は2024年9月、「青少年インターネット利用基本整備計画(第6次)」を公表している。

「その中身を見てみると、青少年保護のためにフィルタリングやペアレンタルコントロール(保護者が利用を制限する)などをやりましょう、みたいなことしか書かれていない。それでは解決できない」

団体の中に同じような問題意識を持っている人が多かったこともあり、実態を把握するため調査に踏み切った。

●性的な漫画広告が圧倒的、9割以上が「よく見る」

性的な広告が表示されるWebサイト(みらい子育て全国ネットワーク調べ)

調査はインターネットで、性的な広告を見たことがある18歳以上の成人を対象に2025年3月22日から4月5日の期間で実施。1970人の回答を得た。

性的な広告が表示されるウェブサイトについて、「よく見る」「ときどき見る」の合計が最も多かったのはXやインスタグラム、ラインなどのSNSで81.2%(1599人)。

次いでニュースサイトが77.3%(1523人)。以下、個人のブログが74.0%(1457人)、ゲーム攻略サイト57.1%(1125人)と続いた。

表示される内容を見てみると、ゲームと漫画が多く、漫画に関しては9割以上が「よく見る」と回答するなど、圧倒的だった。

●広告収入によるサイト運営が成立しなくなる恐れも

性的な広告への対策の状況(みらい子育て全国ネットワーク調べ)

調査結果の中で、穗積さんが注目したのは、個人でおこなっている対策の状況だ。性的な広告に対して、何らかの対策をおこなっていると答えた人は64.5%にも上った。

そのうえで、対策の内容を複数回答可で尋ねたところ、最も多かったのが「広告ブロックツール/ブラウザを導入する」で39.7%(784人)。次いで多かったのが「そのWebサイトを見ないようにする」で34.6%(682人)だった。

「結構な割合で対策をしている人がいるというのは、広告業界にはちゃんと認識してほしい部分だと思っています。

サイトを見なかったり、ブロックツールを入れたりするということは広告先にアクセスしなくなるということです。

(そうした人が)さらに増えると広告収入によるサイト運営が成立しなくなる恐れがあります」

●求められるのは国の対策よりも業界によるルール整備

「広告業界にはちゃんと認識してほしい」。穗積さんの思いを裏付けるようなデータもある。

性的な広告への今後あるべき対策を尋ねたところ、最も多かったのは「広告業界による自主規制ルールの設定とその徹底」で88.5%(1744人)。「国による広告の規制」の76.3%(1505人)を上回った。

「同じように広告収入で成り立っているテレビや電車の中吊り広告などは、さまざまな自主規制を設けています。

同じような基準を設けることはできないのか。これだけウェブの広告に忌避感を抱いているのは、中身の問題がやっぱり大きいと思います。

個人のサイトまで取り締まるのは大変だと思いますが、大手のところがきちんと対策をするだけで、ユーザーの体感としてはかなり違うのではないでしょうか」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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