Snow Man渡辺翔太「リスクを考えすぎない」 それでも最も恐怖を感じること
自分よりも誰かを優先する、「やさしい大人」のSnow Man渡辺翔太。映画単独初主演となる「事故物件ゾク 恐い間取り」で演じるヤヒロを通して、自身と重なる部分やその根底にある思いについて明かした。AERA 2025年7月28日号より。
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この2年で、4本の連続ドラマに出演、うち2本で主演を務めた。演技の幅も深みも増している渡辺翔太の、映画単独初主演となる「事故物件ゾク 恐い間取り」がまもなく公開。出演が決まったときの心境を渡辺はこう明かす。
「率直にうれしい気持ちもあるなかで、前作、亀梨(和也)先輩が主演されてかなりヒットしている映画の最新作というところで、けっこう緊張感がありましたね。映画は興行成績も出てしまうので、そのぶんプレッシャーも大きい。でも、先輩が敷いてくれたレールに乗れるのもなかなかないことだし、ホラー映画もそうそう出合えるものでもないので、チャンスという気持ちとプレッシャーと、半々な感じでした」
ホラー映画への挑戦も初となる。過去の番組やYouTubeなどでは恐がりというイメージが強く、本人も「メンバーから『恐がりなお前ができるのか』と言われた」ことを明かしているが、主役を引き受けることに迷いはなかったのだろうか。
「おっしゃるとおり、けっこうビビリだし(笑)、恐いのはあんまり得意じゃないんですけど、そこも加味されて、僕が選ばれたのかな?と。リアルな恐がりが見せられるんじゃないか、と思っています。
あと、劇中で『幽霊はやさしいやつに惹かれる』っていう、引っ掛かりの強いキーワードが出てくるんです。だから、俺ってやさしいのかな?っていう解釈を勝手にしました(笑)。なんで僕なのかという意図は聞いていないし、何も言われてもいないんですけど、『渡辺くんってやさしい人なのかも』と、何かを見てキャスティングしてくれたのかな?という想像を勝手にして、自己肯定で、自分を前向きにしている感じ。そうであってくれっていう(笑)」
ヤヒロはまさに、幽霊にも寄り添うほど「誰にでもやさしすぎる性格」という設定で、渡辺は以前の取材でも、「自分で言うのもなんですけど、僕、けっこう、やさしい大人かな」と語っていた。やさしいという共通点があるヤヒロに、共感した言葉や行動はあったかと問うと、「前も自分で言ってました?」と笑った。
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「幽霊が出る物件から、ほかの人たちはみんな、すぐに引っ越したほうがいい、と言うなかで、僕演じるヤヒロは、『でも、この幽霊さんはこのままでいいんですか?』と、自分も巻き込まれているのに(笑)、幽霊をかばったりする、すごくいいやつなんです。
自分は、巻き込まれても誰かを守る、みたいなことまではできていない気がするから、もっとやさしくなってもいいのかな?って(笑)」
本人はそう笑うものの、渡辺には、誰かを守るためには行動や発言を辞さない覚悟を持っているという印象が強い。例えば昨秋、Netflixの番組「timelesz project-AUDITION-(タイプロ)」にゲスト出演した際の、メンバーを守る大切さに関するコメントも話題を呼んだ。
「あ、その感覚はありますね。自分で言うといやらしいんですけど(笑)、でも、自分はどう思われてもいい。自分がマイナスになることで、誰かにとってプラスに働くんだったら、全然、それはそれでいいかな、っていう感覚はあります。
そういう姿勢を取りつづけていたら、認めてもらえるというか、キャラクターとして捉えてもらえるようにもなる。タイプロもそうですけど、『こいつ、なんか言ってるよ』じゃなくて、僕のキャラクターとして見てもらえるくらいにはなったかなあ、と。渡辺くんっぽい、って思ってもらえたらいいかな、というふうにはね、思っています。
見え方ばかりを気にしない
何にせよ、意見って割れるものだと思うんです。だから、これ言ったらマイナスの声あがるだろうな、ってわかっていても、やっぱり、あえて発することもある。リスクを考えすぎたり、見え方ばっかり気にしたりしていると、無難な言動しかできないから、面白みがない男になっちゃうかな?とも思いますし(笑)」
そう韜晦(とうかい)するのもまた「渡辺っぽさ」を感じさせる。バラエティー番組でも、わざと嫌がる顔をしてみせたり、怒っているふりをしてみせたりして、場を盛り上げている。
「まあ、やっぱり、逆をやったほうが面白いかな?と(笑)。プロの芸人さんじゃないから、お笑いのメカニズムはね、わからずやっていますけど、わりと『あ、たぶん、こっちじゃないほうがいいんだろうな』っていうほうを、あえて選ぶっていう(笑)」
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その言葉は、映画中で、ヤヒロが夢を追うきっかけとなった「みんなが行くほうに行くな」「大変そうな道を行け」というセリフとも重なる。
「ああ、あの言葉にはとても共感しますね。なかなかハードル高いことですけど。発言ひとつとっても、リスクはあるけど笑ってもらえるかもしれない、っていう可能性があるんだったら、僕はそっちを取る。見え方はあんまり気にしていなくて、面白いとか、自分の思うがまま、っていうかを、大事にしています。そのほうが自分も楽だし、っていう感覚ですかね(笑)」
9から1になるとき
リスクを恐れない渡辺が、最も恐怖を感じることは?
「グループ活動をしているから、一人仕事のときはやっぱり恐いですね。9人だと基本的にレギュラー番組があってゲストを迎える側なんですけど、1人で行く現場って、ゲストで迎え入れていただくことのほうが多くなる。1人で『はじめまして』でお邪魔する側になると、どのくらいいっていいのかな?っていう判断が難しい。だからやっぱり、9から1になるときが、いちばん恐いかもしれない。それはもう、バラエティーでもドラマの現場でも、こういう映画の現場でも。
でも、いろいろ、慣れるよりは、緊張して地に足着いているほうが、まだいいのかな、とは思っていますけどね」
この映画を引き受けたときもプレッシャーを感じたと語っていたが、そういうプレッシャーや恐怖とは、どう闘っているのか。そう問うと、きっぱりと、「いや、プレッシャーがあっても、決めたことはもう、やるしかないので」と返ってきた。
「とにかく、監督や製作のみなさんが求めるものに全力で応えていく、誠実に言われたことに向き合う、ということを、一生懸命やるしかない。
あとはやっぱり、自分でグループに曲を持ってこられたというのは、ひとつ、とても大きなことなので。やりがいを感じながら、グループに何か還元できればいいな、っていう思いで乗り切った、っていう感じですね」
(編集部・伏見美雪)
※AERA 2025年7月28日号より抜粋
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