絶滅したカモノハシガエル、「クローン復活」なるか。40年前の冷凍標本を使った試み
オーストラリアには、かつて、口から赤ちゃんを産むカエルがいました。
その名は、カモノハシガエル。
1973年に発見されたこのカエルは、メスが卵を産むと自分で卵を飲み込んでしまいます。
飲み込まれた卵は胃の中で成長し、カエルになると、母ガエルの口から出てきます。
こんな子育てをする動物は、ほかに知られておらず、かなり珍しい存在です。
ところが、このカエルは1981年には野生で絶滅。最後まで飼育されていた個体も1983年に死んでしまいました。
絶滅の大きな原因と考えられているのが、両生類に感染するツボカビ。
そして今、科学者たちは、このカエルをもう一度よみがえらせようとしているんです。
IFLSが、復活大作戦の進捗を伝えました。
40年間冷凍庫で眠っていたカエル
「絶滅したカエルを復活させよう」という計画は、「ラザロ・プロジェクト」と呼ばれています。「ラザロ」とは、聖書に登場する、死からよみがえった人物の名前です。
で、肝心の復活方法ですが、40年以上前から冷凍保存されているカエルの標本を使います。
研究チームは、この標本から細胞の核を取り出し、近縁種のカエルの卵細胞に移しました。
これは体細胞核移植(SCNT)と呼ばれる技術で、かつてクローン羊「ドリー」を作ったのと同じタイプの手法です。
「復活」までの道のりは遠い
では、40年前に冷凍されたカエルから、もう一度カエルを作ることはできたのでしょうか?
結論から言うと、まだできていません。
研究チームは何百回もの体細胞核移植を行いましたが、絶滅したカエルをオタマジャクシや成体まで成長させることには成功していないんです。
しかし、まったく成果がなかったわけではありません。
実は研究チームは、ごく初期段階の胚を作ることには成功しました。しかも、その胚を調べると、絶滅したカモノハシカエルの核DNAが含まれていることが確認されました。
つまり、40年以上前に死んだカエルの細胞核を使って、少なくとも生命のごく初期段階まで発生を進めることはできたのです。
でも、それ以上は進まない。
この結果に対して、40年間冷凍されていた細胞だからうまくいかないのかな、と思う人もいるでしょう。
でも、どうやらそれだけが問題ではないようです。
この研究チームは、新鮮なカエルの細胞核を使った実験も行いました。
ところが、こちらの方法でも生きた個体まで成長する胚を作ることができなかったのです。
つまり、問題は単純に「40年前のDNAが古すぎる」ことではなく、体細胞核移植そのものに、まだ乗り越えなければならない技術的な壁があるということなんです。
技術そのものを見直して挑戦中
そこで研究チームは、まずクローンを作る技術そのものを改良しました。
その結果、最近では別のオーストラリア産カエルを使い、クローンをオタマジャクシの段階まで成長させることに成功しています。
次はいよいよ、この改良した技術をカモノハシカエルに使ってみる段階です。
もし成功すれば、いつかまた、母ガエルの口から小さなカエルがひょこっと出てくる姿を見られるかもしれません。
カエルの辞典で見たあのカモノハシカエルが復活するかも、と思うと個人的にはかなりワクワクします。
Source: IFLS