ispace、月面着陸また失敗 減速しきれず衝突か
発表によると、6日午前3時13分、着陸作業の実行を指示するコマンドを送信。着陸船は高度約100キロから約20キロまで惰性で降下した後、主エンジンを噴射して減速を開始した。着陸船の姿勢がほぼ垂直になったことは確認したが、その後に通信が途絶し、着陸予定時刻を過ぎても着陸を示すデータの受信に至らなかった。
月面との距離を測るファインダーで計測値の取得が遅れ、月面着陸に必要な速度まで十分に減速できていなかったことが確認されているという。
ispaceによる月面着陸の挑戦は、2023年4月以来2回目。前回は着陸船が高度測定を誤ったことなどが原因で、月面に落下したとみられている。ispaceはその後、期待通りに動作しなかったソフトウエアの改修などを行っていた。
今回は「ミッション2」との位置づけで、月面着陸と着陸後の安定状態の確立までを想定していた。27年以降に「ミッション3」としてより大型化し、輸送量を増やした打ち上げを計画している。野崎順平・最高財務責任者(CFO)記者会見で「8万人以上の株主に支えていただいており、ご心配をかけて非常に胸が痛い」と語る一方「失敗の要因をしっかり分析して次につなげる思いを強く持っている」とした。
野崎CFOは「先頭集団から離脱していると判断をするのもまだ早計なのかなと思っている。月面に荷物を運びたいお客様は非常に長いスパンで見ているので、しっかりと実績を見せて信用をしっかり得ていく段階だ」とも語った。
26年3月期の連結業績を直ちに修正する規模の影響はないとしている。野崎CFOは「急速に財務状況が悪化して会社が難しくなるような状況ではないと考えている」と語った。
着陸失敗を受け、6日の東京株式市場で同社株はストップ安売り気配となった。
石破茂首相は6日、Xへの投稿で失敗は残念としつつ「この挑戦が持つ価値は一時的にできるものではない。ispaceに対する期待が揺らぐことはない」と指摘。「すぐに課題を検証し、次なる飛躍につなげていただきたいと願っている」とした。
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