スイスで氷河が崩落し大規模な土砂崩れ、集落の90%のみ込まれ1人不明 湖氾濫の危機も

スイス南部バレー州で氷河が崩落して大規模な土砂崩れが発生した=29日(Jean―Christophe Bott/Keystone提供、AP=共同)

スイス南部バレー州で28日、氷河が崩落して大規模な土砂崩れが発生した。地元メディアによると、麓の集落の90%が岩や砂にのみ込まれ、64歳の男性が行方不明となった。州の災害当局は29日、氷河や土砂が河川をせき止め、形成されたダム湖があふれて下流地域に洪水が起きる恐れがあると注意喚起した。

地元メディアは、バレー州ブラッテンにある谷間の集落で、地滑りとともに大量の土煙が上がる空撮映像を放映。崩れた氷河や土砂は約300万立方メートルとみられる。近くのホテル従業員の男性は「大きな爆発音が聞こえた」と証言した。

集落の住民約300人の多くは地元当局の警告により、19日に既に避難していた。地滑りの後、長さ約2キロ、幅50~200メートルのダムができあがり、河川が流入するダム湖が徐々に大きくなっている。災害当局の担当者は29日に記者会見し「30日早朝に氾濫すると想定している」と述べた。

スイス南部バレー州で氷河が崩落、大規模な土砂崩れが発生した=28日(提供動画から・ロイター)

バレー州はイタリアと国境を接し、マッターホルンなどの山々で知られる。近年の地球温暖化により、アルプスの氷河は急激な後退が指摘されている。(共同)

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