“あばら骨がクッキリ浮き出た日本兵”、防毒マスクを被って走り出す子どもたち…カラー化した写真で振り返る“戦時下日本人のリアル”(文春オンライン)

――文春オンラインの過去の記事でも、「終戦直後にマーシャル諸島で撮影された、あばら骨が浮き出た日本兵たち」のカラー写真が非常に大きな反響を呼びました。編集作業を通じて、ご自身が最も衝撃を受けた写真はどれでしょうか。 担当編集者の髙橋氏(以下、髙橋) やはり、あばら骨が浮き出た日本兵の方々の写真は、私自身も非常に印象深いです。極限の飢餓状態がカラーになることで生々しく伝わってきます。  この方たちがなんとか生き残れたこと、そして、ここには写っていないけれど、もっと酷い目にあって亡くなった人が大勢いたことなど、写真を見つめながら色々なことを考えてしまいます。 ――モノクロがカラーになることで、戦争というものの見え方はどう変わったと感じますか?

髙橋 本書には戦前の広島や沖縄の穏やかな日常写真も多く収録されており、それはカラー化によって「とても良いもの」「豊かな暮らし」として鮮やかに映し出されます。 ――しかし、その平和な風景が戦争によって破壊されてもいきます。 髙橋 はい。特に書籍の中盤では、十数カ所の空襲写真を見開きにまとめて掲載しています。空爆によって燃え上がる「火」の色。そのインパクトは、作業を終えた今でも脳裏に鮮明に焼き付いています。  当然ながら、東京や大阪といった大都市だけでなく、全国各地の都市がこれほどまでに酷く爆撃され、焼き尽くされたのだという事実は、決して忘れてはならないと強く思わされました。


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――AIによる自動着色だけでなく、庭田さんや渡邉教授による手作業での補正や、戦争体験者へのヒアリングを通じた色の修正が行われています。制作過程での裏話があれば教えてください。 髙橋 このカラー化の作業には、実は明確なゴールが存在しないんです。 ――「これで完全に完成した」と言い切るのが非常に難しいということでしょうか。 髙橋 そのとおりです。それにもかかわらず、著者のお二人は本当に妥協を許さず、指定された〆切の直前……というか、正直に言えば〆切を若干超えてしまうギリギリのタイミングまで、「もう少しこの色を調整したい」「ここの解像度を上げたい」と粘り続けて取り組んでいただきました。

――本書が出版された2020年夏といえば、まさに新型コロナウイルスの感染拡大の真っ只中でした。制作に影響はありましたか? 髙橋 おっしゃる通り、コロナ禍の真っ最中だったため、対面での作業はほとんどできず、すべてデジタル上でのリモート作業で進めざるを得ませんでした。しかも、写真1枚1枚の高解像度データは非常にサイズが大きく、メールに添付して送れるようなものではありません。  そこで大活躍したのが、Google ドライブやギガファイル便などのオンラインストレージサービスでした。膨大な量の重いデータを高速でやり取りし、変更点をリアルタイムで共有する。お互いが離れた場所にいても、最新のテクノロジーがあったからこそ、あの過密なスケジュールの中で本を完成させることができたんです。  AIという最新技術を使って過去の写真を蘇らせるプロジェクト自体がテクノロジーの賜物ですが、それを書籍という形にまとめ上げる制作環境においても、テクノロジーの恩恵を強く感じた一冊でした。

「文春オンライン」編集部

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