トランプ氏、ウクライナ防衛で動かずとプーチン氏確信-関係者

ロシアのプーチン大統領は、軍事的なエスカレーションこそがロシアに有利な条件でウクライナを交渉の場に引き出す最善策であり、トランプ米大統領がウクライナの防衛強化に大きく動く可能性は低いと結論付けている。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  プーチン氏が米アラスカ州アンカレッジでトランプ氏と先月会談した後、ロシア軍はウクライナの軍事・民間施設への攻撃を強化。

  プーチン氏は、ウクライナ東部のさらなる領土放棄を求めたが、ゼレンスキー大統領はこうした要求を拒否している。そのため、プーチン氏は今後もキーウのエネルギー網やその他インフラを標的にする構えだ。センシティブな情報だとして複数の関係者が匿名を条件に語った。

  関係者によれば、アラスカでの会談を経て、プーチン氏はトランプ氏にはこの紛争に介入する意欲はないと確信したという。

  ロシアの攻勢が強まる中、トランプ氏はプーチン氏の姿勢にいら立ちを示し、ロシアとその同盟国に対する制裁強化を検討している。狙いはロシアの石油収入を断つことだが、同時に米国が動く前にウクライナの欧州同盟国が厳しい措置を取るべきだと主張している。

  米国の自制的な姿勢がロシアを勢いづけており、プーチン氏は消耗戦を続けることでウクライナに譲歩を迫るとともに、将来的な交渉の地ならしを図っている。ロシア当局者はそうした戦略に手応えを感じているという。

  ロンドンのコンサルティング会社ゲートハウス・アドバイザリー・パートナーズのロシア専門家、ヴィタ・スピヴァク氏は「プーチン氏にとって重要なのは、事態をエスカレートさせる余力があるとトランプや欧州に示すことだ。プーチンは、ウクライナに関する次回交渉に向け影響力を高めようとしている」と述べた。

  プーチン氏はアンカレッジでの会談でウクライナが東部2州でロシアが未制圧の領土を割譲するなら、戦闘停止と南部での戦線凍結に応じると提案した。これまでもウクライナに対し、軍の規模縮小や北大西洋条約機構(NATO)加盟断念を要求している。

  ウクライナはこれらの条件を拒否しており、プーチン氏はそれが攻撃のエスカレーションを正当化すると考えていると関係者は指摘した。 

原題:Putin Decides He Can Step Up Attacks on Kyiv and Trump Won’t Act (抜粋)

— 取材協力 Ben Sills, Aliaksandr Kudrytski and Tom Hall

関連記事: