マレーシア首相、全成人に現金支給へ 生活費高騰受け新対策発表

 7月23日、マレーシアのアンワル首相(写真)は生活費の高騰に対する国民の不満の高まりに対応するため、成人国民全員への現金支給や燃料価格引き下げなど、新たな対策を発表した。写真は9日、クアラルンプールで撮影(2025年 ロイター/Hasnoor Hussain)

[クアラルンプール 23日 ロイター] - マレーシアのアンワル首相は23日、生活費の高騰に対する国民の不満の高まりに対応するため、成人国民全員への現金支給や燃料価格引き下げなど、新たな対策を発表した。

26日には首都クアラルンプールで、物価の高騰や改革未履行などを理由にアンワル氏の退陣を求めるデモが予定されている。デモは野党が主催するもので、警察は1万─1万5000人の参加を見込んでいる。

発表によると、18歳以上の全てのマレーシア人に対し、8月31日から100リンギ(約23.67ドル)の一時的な現金支援を行う。

政府は今年、現金支援に総額150億リンギ(35億5000万ドル)を支出する。当初の予算は130億リンギだった。

アンワル氏は「これまでさまざまな対策を打ち出してきたが、国民が不満を感じていることは認識しており、生活費が依然として対処すべき課題であることも認める」と述べた。

また、貧困に苦しむ人々を支援するためのさらなる取り組みを24日に発表する予定だとした。

アンワル氏は、多くの国民が利用するガソリン「RON95」に対する一律補助金の調整について、詳細を9月末までに発表すると表明。国民向けの価格は現在の1リットル当たり2.05リンギから1.99リンギに下がると述べた。

外国人は補助金が適用されない市場価格で購入することになる。補助金の調整は当初、今年半ばに予定されていた。富裕層への補助金廃止も目指している。アナリストは、補助金の見直しが財政健全化計画に影響する可能性があると指摘している。

ケナンガ・インベストメント・バンクのエコノミスト、ムハマド・サイフディン・サプアン氏は、世界的な不確実性が続く中、内需喚起に向けた現金給付と補助金は必要だとした上で「だが、費用がかかる。政府はどのように資金を調達するのか。財政目標に圧力がかかる可能性が高い」と述べた。

フィッチ・レーティングスのソブリンチームのキャスリーン・チェン氏は、補助金の合理化が遅れたり、進展が不十分な場合、2028年までに財政赤字を国内総生産(GDP)比3%に削減する政府目標の達成が危うくなる恐れがあると述べた。

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