イスラエルとレバノンが33年ぶりに直接の外交協議、ヒズボラとの停戦めぐり
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バーント・デブスマン・ジュニア記者、ナダ・タウフィーク記者
レバノンとイスラエルは14日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルとの戦闘終結に向けた協議を行った。両国による直接の外交協議は33年ぶり。
協議は米首都ワシントンで行われた。仲介に当たったアメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、ヒズボラの影響力を無くすための「歴史的な機会」だと述べた。
アメリカ政府の声明によると、レバノンとイスラエルは今後、日時と場所を決定したうえで、直接交渉を開始することで合意した。この日の協議では、イスラエルは、すべての非国家テロ組織を武装解除したい考えを示した。これはヒズボラを指している。
一方、レバノンは、停戦と、自国が直面する人道的危機に対処する措置を求めた。
両国は外交関係を持っておらず、最後に高官級の直接協議が行われたのは1993年だった。
イスラエルは2月28日にアメリカと共にイランを攻撃。3月2日にはレバノンでもヒズボラに対する軍事作戦を開始した。イランはヒズボラの最大の支援国。
この作戦が始まってから、レバノンでは2000人以上が殺害され、約100万人が家を追われている。
イスラエルは、レバノンでの軍事作戦はヒズボラを武装解除し解体するためだとしている。イスラエルは2023年と2024年にも、パレスチナ・ガザ地区での戦争が激化するなかでヒズボラと衝突している。
米国務省のトミー・ピゴット報道官は、協議後に発表した声明で、イスラエルとレバノン双方が、ヒズボラの影響力低下に向けて取り組むことで一致したと述べた。
また、レバノン側が同国における「停戦と、深刻な人道的危機に対処し緩和するための具体的な措置」を求めたとも付け加えた。
一方で、アメリカは、ヒズボラの攻撃に対する「イスラエルの自衛権」を支持する姿勢を示したと、同報道官は述べた。
ルビオ国務長官は協議の前に記者団に対し、この会合は「一つのプロセスだ」と語った。
「時間はかかるだろうが、この取り組みは価値があると考えている」と同長官は述べ、「将来につなげたい歴史的な会合だ」と付け加えた。
レバノンのジョセフ・アウン大統領も声明を発表し、この協議が「レバノン国民全体、特に南部の人々の苦しみの終わりの始まりとなる」ことを期待すると述べた。
また、紛争の「唯一の解決策」は、レバノン軍が「この地域の安全を単独で担うこと」だと語った。
しかし、レバノン政府がヒズボラに対処する能力には限界がある。
協議に先立ち、ヒズボラの幹部の1人はAP通信に対し、ワシントンで合意されたいかなる和解にも従わないと語った。
ヒズボラの政治評議会のワフィク・サファ氏は、「我々は、彼らが合意した内容に拘束されない」と述べた。
ヒズボラは14日、イスラエルおよびレバノンに展開するイスラエル軍に対し、少なくとも24回の攻撃を行ったと主張した。レバノンと国境を接するイスラエル北部ではこの日、ドローンやロケット弾に対する警報が鳴り続けた。
1982年に設立されたヒズボラは、多くの武器をもつ高度に組織化された民兵組織で、イスラム教シーア派が多数を占めるレバノン南部や、首都ベイルート南郊で強大な影響力を持っている。
また、現在のレバノン政府には、ヒズボラと関係のある閣僚級の政治家が2人いる。
米・イスラエルとイランの戦争にヒズボラが参戦して以降、ヒズボラとレバノン政府の間で緊張が高まっている。
米国務省の当局者はBBCに対し、イスラエルとレバノンの協議は、イスラマバードでの協議が決まる前の、約1カ月前に計画されたものだと語った。