「仮面女子」猪狩ともかさん「再生医療の明るいニュースに希望」…小林陵侑らチャリティーラン

 脊髄損傷治療の研究支援を目的としたチャリティーランニングイベント「Wings For Life World Run」が4日、行われた。

チャリティーランを走るスキージャンプの小林(左)らランナー(4日午後8時、東京都新宿区で)=古和康行撮影

 イベントは、専用アプリを通じて世界で同時開催された。ランナーが支払う参加費は全額、脊髄損傷治療の研究資金として寄付される。12回目となる今回は、170か国から31万719人が参加した。

 この日の日本会場は、午後8時にイベントがスタート。東京都新宿区の明治神宮外苑で行われた東京会場では、700人以上が参加した。車いすのランナーも健常者と一緒に走る姿も見られ、DJの流す音楽を背にランナーは、夜の明治神宮外苑を駆けた。

 イベントには、ノルディックスキー・ジャンプ男子の小林陵侑(チームROY)らのトップアスリートも参加し、会場を盛り上げた。

チャリティーランに参加した猪狩さん(中央左)と渋谷さん(中央右)(4日午後7時50分、東京都新宿区で)=古和康行撮影

 イベントにアンバサダーとして参加した、ともに脊髄損傷の当事者で、アイドルグループ「仮面女子」の猪狩ともかさんと車いすYouTuberとして活動する渋谷真子さんが、読売新聞の取材に応じた。

 イベントで4・3キロを走ったという渋谷さんは「車いすランナーも増えてうれしかった。車いすで参加できるイベントはそう多くないので楽しかった」と話し、猪狩さんは「チャリティーイベントはかしこまったものが多いが、このイベントはポップな雰囲気で楽しい。イベントを通じて脊髄損傷についても理解が深まるのでは」と話した。

チャリティーランに参加した猪狩さん(左)と渋谷さん(4日午後9時4分、東京都新宿区で)=古和康行撮影

 一方で、車いすユーザーとしての苦労も語り、渋谷さんは「バリアフリーの環境は整いつつあるが、都市部や観光地の一部だけにとどまっている。障害者と健常者が交わる機会があってもいい」と話し、猪狩さんも「地方のライブなどでは車いすのファンが来られないことなどもある。もっとソフト面で社会が変わっていってもいい」と話した。

 また、集まった寄付金について、渋谷さんは「研究費に充てられるのは良いこと。だけど、『いつか歩ける』という日々を待つだけの人生はつらい。健常者と障害者が同じ環境で楽しめるイベントが広く、継続的に開かれてほしい」と語り、猪狩さんは「再生医療の明るいニュースが出るたびに希望が持てる。研究にチャリティーが役立つとうれしい」と語った。(デジタル編集部 古和康行)

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