”交代発言”の真意は?ハミルトン「舞台裏では色々と良くないことが…」意味深コメント、一方でバスール代表は擁護姿勢
2025年F1第14戦ハンガリーGPで12位に終わったルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、予選後に自身を「役立たず」と表現し、「フェラーリは自身を交代させるべきだ」とした衝撃的な発言について、レース後に意味深なコメントを残した。
英衛星チャンネル『Sky Sports』によると、この発言について問われたハミルトンは、多くを語ろうとせず、「感じたことを言ったまで」とし、「舞台裏ではあまり良くないことが色々と起きているんだ」とだけ述べ、詳細な説明を避けた。
同じくクルマに乗るチームメイトのシャルル・ルクレールがポールポジションを獲得した一方、ハミルトンは予選Q2敗退を喫した。決勝では1ストップ戦略に賭けたが、ポジションをひとつも上げることができず、スタート時と同じ12位に終わった。ルクレールは4位でフィニッシュした。
7度のF1ワールドチャンピオンがポイント圏外でハンガリーGPを完走したのは2007年のデビュー以来、これが初めてだった。なお、2010年にも無得点だったが、このときはリタイアによるものだった。
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
決勝レースに向けてグリッドに向かうルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2025年8月3日(日) F1ハンガリーGP(ハンガロリンク)
発言の波紋を受け、フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、ハミルトンはレースへの意欲を失ってはおらず、あくまでフラストレーションによるものだと擁護した。
「彼を鼓舞する必要はない。確かに彼は落胆しているが、モチベーションを失っているわけじゃないからね」とバスールは語った。
「確かに彼は要求が厳しい。だが、それこそが彼が7度のワールドチャンピオンになれた理由でもある。彼はチーム、クルマ、エンジニア、メカニック、そして私にも厳しい要求をする」
「大いに落胆したレースの直後や予選の直後というのは、反応が過激になることもある。試合後のサッカー選手にマイクを向けたとしても、同じようなことが起こるだろう」
さらに、「もし私がそういう立場で何か聞かれたとすれば、スチュワードに召喚される事態になるだろうね」と、冗談まじりにコメントした。
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ガレージ内でチーム代表のフレデリック・バスールと話をするルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2025年F1マイアミGP
今季のF1は、フィールド全体が極めて拮抗しているのが特徴であり、角田裕毅(レッドブル)がハンガリーGP予選でそうであったように、チームメイトとのタイム差がわずかでも、一方はQ1敗退、もう一方はQ3進出というように、最終的なリザルトに大きな差が生まれるケースが頻発している。
バスールは、今週末のハミルトンの走りは実態以上に悪く映っているだけだとし、「ルイスはQ2でシャルルに対して0.2秒遅かっただけだ。ただ、結果としてはシャルルがポールを取った。たったそれだけで、これだけの差が生まれたんだ」と指摘した。
一方で、“交代発言”の真意は依然として明かされていないが、ハミルトンはレースへの情熱を失ってはいないと強調し、8月29~31日に開催される次戦オランダGPについて「戻ってくるのを楽しみにしてる。できれば戻りたい」と前向きな姿勢を見せた。
2025年F1第14戦ハンガリーGPでは、3番グリッドからスタートしたランド・ノリス(マクラーレン)が今季5勝目を達成。2位にチームメイトのオスカー・ピアストリ、3位表彰台にジョージ・ラッセル(メルセデス)が続く結果となった。
F1サーカスはこの後、サマーブレイクを迎える。ザントフォールト・サーキットを舞台とする次戦オランダGPは、8月29日のフリー走行1で幕を開ける。