長風呂でできる指シワシワのナゾ、解明されました
試してみたいけど、うちにはバスタブがないんだった…。
長風呂後の指シワシワの謎
プールやお風呂に長くつかると、指や足の指がシワシワにふやけますよね。これって誰もが経験することだと思うんですけど、その科学的な理由は最近までよくわかっていませんでした。
そして2023年、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の生物医学工学者であるGuy German氏率いる研究チームがこの謎の解明に乗り出しました。彼らの発見によると、水のなかに長くいると、指先の血管が収縮するためにシワシワになるんだそうです。
で、シワはいつも同じなの?
で、この続きがおもしろくて、ある学生の素朴な疑問をきっかけに、さらに新たな研究が始まっちゃったのだとか。
German氏はそのやり取りについて大学の声明のなかでこう振り返っています。
学生のひとりに、『そうなんですね。でも、毎回同じようなシワができるんですか?』と質問されました。私は、『まったく見当がつかない』と思いました。それがきっかけで研究が始まったんです。
German氏と、研究論文の共著者で同大学のBiological Soft Matter Mechanics Laboratoryに大学院研究員として所属していたRachel Laytin氏によると、その疑問に対する答えは、「イエス」なんですって。
ちょっと信じられないかもですけど、指のシワはほぼ毎回同じパターンになるそうです。研究結果は、学術誌Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materialsに掲載されています。
Image: Guy German研究では、まず被験者の指を水に30分間浸してから写真を撮りました。その後、24時間以上たってから同じ手順をもう一度行なって、再び写真を撮影。そして、この2枚の画像を詳しく見比べたところ、指にできたシワの形や隆起などのパターンがそっくりだったのだとか(上の画像を参照してびっくりしてください)。
シワが同じになる理由は、指を走る血管の位置
German氏はその理由について、声明で次のように説明しています。
(手足の指にある)血管はあまり位置を変えません。多少動いたとしても、他の血管との位置関係はほぼ固定されています。ということは、シワも毎回同じようにできるはずで、私たちはそれを証明しました。
この研究はまた、正中神経(手の動きや感覚を調整する主要な神経)に損傷がある人は、指を水に長時間浸してもシワができないという以前から知られていた事実も裏づけています。
これは、正中神経に損傷があると教えてくれた学生に試してもらったところ、本当にシワが現れなかったことで確認できたそうです。
犯罪の科学捜査に役立つ可能性
学生の素朴な疑問に答えるために始まった研究による新たな発見は、科学捜査や法医学、特に犯罪現場や水中で発見された遺体の指紋識別などにおいて、重要な役割を果たす可能性があるといいます。
German氏によると、イギリスで警察官をしていた同氏の父親は、現場でこうした問題に直面した経験があったそう。そのため、German氏は「生体認証や指紋は私の頭の中に刷り込まれています。こういうことってとても興味深いので、つい考えずにはいられないんです」と話しています。
もしかすると、「ふやけた指紋」が警察の生体認証データベースに登録される時代がきちゃうかもしれませんね。
Reference: The Conversation