セントルイス連銀総裁、追加利下げ余地は限定的-インフレ警戒

米セントルイス連銀のムサレム総裁は22日、労働市場の軟化に備える保険として、連邦公開市場委員会(FOMC)による先週の利下げ決定を自身が支持したと述べた。一方、インフレが高止まりする中で追加利下げを行う余地は限られているとの認識を示した。

  ムサレム総裁は現行の金利水準について「やや景気抑制的な水準と中立的な水準との間」にあると分析。労働市場が一段と悪化した場合は追加利下げを支持するだろうとした上で、長期的なインフレ期待を安定的に維持することの重要性を強調した。

  「私は先週のFOMC会合での25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げを支持した。労働市場が完全雇用を維持することを支え、さらなる軟化を防ぐことを意図した予防的な措置だ」と説明。

  「しかし、政策が過度に緩和的なものにならないようにするには、追加緩和の余地は限られていると考える」と述べた。ブルッキングス研究所が主催したワシントンでのイベントで講演を行った。講演内容は事前原稿に基づく。

  ムサレム総裁は、雇用の下振れリスクが高まっていることを最近のデータが示していると指摘。一方で、インフレは連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%を上回り続ける可能性があると自身はなお考えていると付け加えた。株式相場の活況と低いクレジットスプレッドが引き続き経済を支えているとの見方も示した。

  総裁は、こうした状況下では金融政策当局は慎重に行動すべきだと発言。政策金利はインフレ調整後で見ると、景気を刺激も冷やしもしない中立金利に近いためだと述べた。

  また、関税措置が物価に及ぼす影響はこれまでのところ想定より小さいが、目標を上回るインフレには他の要因が寄与しているようだと指摘。

  「関税の影響、労働供給の伸び鈍化、あるいは他の理由によるものであれ、目標を上回るインフレが続く場合、金融政策はそれに対抗し続けるべきだ」と語った。

  講演後の質疑応答でムサレム総裁は、関税が物価に与える影響は向こう2-3四半期で薄れていくとの見通しをあらためて示した。その上で、二時的な影響やインフレが持続する脅威に対し、当局は警戒を続ける必要があると述べた。今後の金融政策については会合ごとに判断する姿勢を示した。同総裁は今年のFOMCで投票権を持つ。

  これとは別に、アトランタ連銀のボスティック総裁はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が22日に公表したインタビューで、先週の利下げに違和感はないが、年内追加利下げの必要性はほとんど感じないと述べた。

  ボスティック総裁は自身の経済予測で、今年1回のみの利下げを見込んでいたとし、それは6月時点の予想と一致していると説明した。

  「インフレが長期にわたってあまりに高い水準にあることを懸念している」とし、追加緩和について「現時点で動くことや、それを支持することはないだろう。状況を見極めていく」と話した。ボスティック氏は今年のFOMCで投票権を持たない。

原題:Fed’s Musalem Says There Is Limited Room for More Rate Cuts (1)(抜粋)

(第5段落以降にムサレム総裁の他の発言を、最終3段落にボスティック総裁の発言を追加して更新します)

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