トランプ氏との対立、マスク氏には「大惨事」-懸念強める市場関係者

電気自動車(EV)メーカー、米テスラの株主は数カ月にわたり、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がトランプ政権で果たす役割に頭を悩ませてきた。マスク氏が先週、政権を正式に離脱すると一時的に安堵(あんど)が広がったものの、同氏が元上司であるトランプ氏との舌戦を繰り広げると、一転して不安へと変わった。

  トランプ氏とマスク氏の決裂が鮮明になると、テスラの株価は5日に14%急落した。S3パートナーズのデータによると、今回の大幅下落で、テスラの時価総額は1日として過去最大の1530億ドル(約22兆円)失われた。一方で、同社株のショートポジションは40億ドルの利益をもたらした。

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  6日の取引開始前の時間外取引では、テスラ株は反発の兆しも見せ、ニューヨーク時間午前4時1分時点では4.7%高を付けていた。テスラの株主は激しい値動きに慣れているものの、5日の大幅安はマスク氏が自社株に与える影響の大きさを浮き彫りにした。今回の急落はやがて買いの好機になる可能性もあるが、落ちるナイフをつかもうとするのは危険すぎると警戒する声もある。

  50パーク・インベストメンツのアダム・サーハン最高経営責任者(CEO)は「マスク氏とトランプ氏がもはや足並みをそろえていないのは明らかだ。これがどのような影響を及ぼすかは分からず、だからこそ投資家は売りに走った。こうした問題は完全に決着するということはないだろう」と述べ、「仮に事態がエスカレートすれば、テスラの収益に深刻な打撃を与える恐れがあるだろう。株価への影響は予測できない。テスラ株の急落で魅力は増しているかもしれないが、割安とは言いがたい」と語った。

  また、ガーバー・カワサキ・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントのロス・ガーバーCEOはブルームバーグTVに対し、「これはマスク氏にとって大惨事だ。良識あるビジネスマンの言動として、これは限度を超えている。前向きな受け止め方は思いつかない」と厳しい見方を示し、「取締役会は何もしないだろうし、テスラ株主を守ってくれる者もいないだろう。自分を守る方法は株を売ることしかない。実際、私はテスラ株を一部売却した。これからもテスラ株を売り続けるつもりだ」と述べた。

原題:Wall Street Calls Trump-Musk Spat ‘Disaster’ for Embattled Tesla

(抜粋)

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