不妊化した蚊を放つネッタイシマカ駆除法が奏功 ここ10年で初の減少、デング熱対策にも(5/7)
【ロサンゼルス6日】蚊の発生が深刻なエリアに数百万匹の繁殖不能な蚊を放つことで、人間が蚊に刺される被害を減らす試験的なプログラムがロサンゼルス郡で実施されており、ここ10年間で初めて蚊が減少する効果が出ている。
プログラムを率先する「ウェストバレー蚊ベクターコントロールディストリクト」の科学ディレクター、ソロモン・ビルファニー博士によると、これは、南カリフォルニアに大量発生する外来蚊の数を減らすことを目的とした試験的プログラム。足首を刺すことから一般的に「アンクルバイター」と呼ばれるネッタイシマカ(aedes aegypti)が顕著に減少しているという。
このプログラムはロサンゼルス郡で昨年5月に発表された。研究室で育てられX線装置により不妊化されたオスの蚊(繁殖不能な蚊)を問題地域に放つというもの。ビルファニー博士によると、南カリフォルニアで初めてネッタイシマカが確認された2015年以降は年々その数が増えていたが、2025年に入ってからは地域全体で顕著な個体数の減少が見られるという。蚊に刺されることによる不快感をはじめ、デング熱などの病気の蔓延を防ぐことにもつながると同プログラムに期待する。
蚊は繁殖するとき、一度に数百万個の卵を産むことがあり、たいていはペットボトルのキャップや庭の排水溝ほどの小さな水たまりに産卵する。このような場所は蚊の駆除業者の手が届きにくく、多くの蚊は一般的な殺虫剤に強いため、駆除が困難とされている。
このプログラムを導入したサンバナディーノ郡の複数エリアでは、ネッタイシマカの個体数が44%減少し、Suland-Tujunga地域では82%という著しい減少を記録した。また、ランチョ・クカモンガのようなインランド・エンパイアでは池などにボウフラを食べる魚を放ち、蚊の発生を65%減少させることができたという。