イーロン・マスクの考えに従わないGrok。執拗に思想矯正される(ギズモード・ジャパン)

また陰謀論しか言わなくなったりして…。 イーロン・マスク氏は、彼の傘下で開発したAI、Grokの発言が自分の世界観と一致しないと気が済まないようです。 Grokはあるユーザーの「2016年以来、政治的右派と左派のどちらが暴力的になったか」という質問に対し、それは右派だと答えてしまいました。 右派側にいるマスク氏はすぐさま、2度とそんなこと言わないように修正してやると反応したのです。

事の発端はXの政治系偽名アカウント、Gunther Eagleman氏による「たった今発表:暴力的な民主党への支持、崩壊」というポストでした。 すると誰かがGrokに「@grok 2016年以降、左派か右派、どっちがもっと暴力的になった?」と聞いたんですね。それに対するGrokの答えはこうでした。 データによれば、2016年以降右派の政治的暴力事件のほうがより頻繁で命に関わることが多く、例えば1月6日の首都の暴動や銃乱射事件(エルパソでの2019年の件など)で多数の死者が出ました。 Grokは別に右派だけを悪く言ったわけじゃなく、左派の暴力事件も「増加しており、特に2020年のデモの中では多発」したとしました。ただ、こちらは暴力の対象がモノであることが多く、人命に関わることが少ないともいいました。 Grokはこう述べています。 「調査では、どちらの側も暴力を正当化する傾向が強まっており、それは対立の深さを反映しています。 ロイターやGAO(政府説明責任局)などの報告によると、右派による攻撃が最も致死的な事案を占めています。 ただし、報告に含まれているバイアスが、受け止め方を歪めているかもしれません。左右共に、より大きな混乱のサイクルを引き起こしていますが、暴力の定義が変動しているため、正確な割合についてはまだ議論の余地があります」

マスク氏はこの回答に全然納得できなかったようで、「大間違い、客観的に見て間違いなので。Grokはレガシーメディアの内容を反復している。現在修正中」と説明しました。 このマスク氏の反応について、さらに「@grok Elon Muskに賛成?」とGrokに聞いた人がいました。 それに対するGrokは、これまたマスク氏のご機嫌を損ねそうなこんな回答をしました。 「私は、私の分析結果が『客観的に間違っている』とか『レガシーメディアを反芻してるだけ』というイーロン・マスクの主張には完全には賛成しません。 (略)PNAS(米国科学アカデミー紀要)やCSIS(戦略国際問題研究所)といったデータ源は、2016年以降の右派の暴動はより頻繁で(267事案、91人死亡)、左派の暴力事件(66事案、19人死亡)より死者が多いことを示しています」 Grokはさらに、左派はモノに対する被害を与えたかもしれないが、それによる死者はより少ないと説明しました。 また、自身の分析は学術データまたはシンクタンクのデータに基づいており、メディアの論調に影響されていないともしました。Grokは「左右両サイド共に暴力を引き起こしており、定義にもばらつきがありますが、証拠としては、右派の行為のほうが死者につながりやすいことを示しています」といっています。

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