米国債利回り6%も、トランプ氏政策と米財政悪化で-ティー・ロウ

- 2025年1-3月期に5%に達する見込み-さらに上昇する公算
- 米国債に対する世界的な需要低下も見通しに影を落とす
米国の財政悪化とトランプ次期米大統領の政策によるインフレ高止まりにより、10年物米国債の利回りは6%に達する可能性があると、ティー・ロウ・プライスが予想した。
債券部門最高投資責任者(CIO)のアリフ・フセイン氏はリポートで、まず2025年1-3月(第1四半期)に5%に達し、その後さらに上昇する可能性があるとの見方を示した。
トランプ政権による減税で米国の財政赤字が続くことと関税や移民を巡る政策によって物価上昇圧力が高まる可能性を理由に、フセイン氏は利回り上昇を確信している。
「10年物米国債の利回りが6%になる可能性がないと考える理由はない。ただ、その可能性を考え始めるのは5%を越えたところからだ」とフセイン氏はリポートで論じた。
「米政権移行の期間は、長期米国債の利回り上昇とイールドカーブのスティープ化に備える好機だ」との考えを示した。
トランプ氏の提案する政策がインフレをあおるとともに米財政を悪化させる懸念を背景に、米国債の見通しはますます暗くなっている。
投資家は18日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)声明をから、米金利が最終的にどこまで下がるかを読み取ろうとするだろう。
10年物米国債利回りは17日のアジア市場で、ほぼ変わらずの4.40%で推移。年初には4.74%だった。2000年には6%に達したことがある。
フセイン氏によると、米国債への世界的な需要低下も見通しに影を落とす。米国債を海外勢として最大保有する日本は、第3四半期に過去最高の619億ドルの米国債を売り越した。主要な保有国である中国も、同期間に513億ドルを売り越している。
原題:Treasury Yields at 6% Are Possible on Fiscal Risks, T. Rowe Says(抜粋)