高校進学時大争奪戦の末に広島入り、高いレベルを求め続けるGK大迫敬介「海外に行きたいという話はしています」

116インチの大画面テレビの前で構えるGK大迫敬介

 サンフレッチェ広島に所属するGK大迫敬介が24日、中国の総合家電メーカー「ハイセンス」が受注販売を開始した日本国内では最大となる116インチの大画面液晶テレビの公開イベントに出席した。  116インチのモニターは身長188cmの大迫が両手を広げても両端に届かないほどの大画面。日本代表GKは「画質もですし、音もいいなと思った。ロシアワールドカップの時はアンダー世代の代表活動で現地に行っていたので知っているのですが、現地で観ているような感覚でした」と最新機器に素直な驚きを語っていた。

 連戦の疲れを感じさせないハイパフォーマンスを続けている。スコアレスドローに終わった前日の柏戦では、後半43分にMF杉岡大暉に許したミドルや、同アディショナルタイムにエリア内から打たれたMF馬場晴也のシュートなど、弾いてもおかしくないボールをしっかりとキャッチして失点を防いでいた。

 大迫自身も納得の表情で振り返る。「(杉岡のシュートは)もっと近かったらシンプルに弾けばいいんですけど、打たれてから僕のところに到達するまで時間もありましたし、垣田選手が詰めてきているのも見えていた。たぶんこぼしたら詰められたと思うので、キャッチでもいけるのが自分のいいところだと思います」。  今月上旬に日本代表が行ったアメリカ遠征は、来年北中米で行われるワールドカップ本番よりもあえて厳しく設けられた長距離移動や時差対応のシミュレーションにポイントが置かれていた。「多少時差の影響はありましたし、僕は1試合目は出ていないけど、両方出るとなると疲労感もあるだろうし、タフだなと思いました」。貴重な経験値を上げた。  さらにはアメリカ遠征から帰国後、中1日でJ1第29節の京都戦に出場。そこから中3日で今度はオーストラリアのメルボルンに移動して、ACLEの初戦となったメルボルン・C戦にフル出場した。「さすがにきつかったですけど」と苦笑いを浮かべるも、「出るとなった以上はもう(やるしかなかった)。ずっと広島に残って準備してきたゴールキーパーもいたので、自分が出るんだったら疲れを言い訳にしたくなかった」と気持ちを強くして戦っていたという。  鹿児島県出水市出身の大迫は中学生の時から全国区の存在で、高校進学の際はJクラブアカデミーのほとんどが獲得に乗り出す大争奪戦になった。当時は円形脱毛症になるくらいに悩んだという進路だが、最終的に絞った広島、神戸、浦和の3チームの中から「条件面ではいいオファーがほかにもあったんですけど、一番サッカーに集中できて、一番自分に向いているなと思った」と広島入りを決めた。  そんなハイレベルな環境に身を置くことを常に求めてきた大迫にとっても、先日のアメリカ戦の衝撃は相当なものがあったようだ。アウェーゲームということもあったが、0-2という結果以上に、スピード感やインテンシティの高さに差を感じさせられたという。「本当に強くて、僕が出た中では一番というくらい強かった。やっぱりもっとレベルの高い環境に身を置かないと成長できないなとすごく感じました」。  ただ海外に出ればいいという単純な話でもないことも理解している。GKをいう特殊なポジション。「キーパーは代表に入るためには試合に出ていないとなかなか呼ばれない。海外に行くことは代表を考えるとリスクでもある。オリンピックのころは正直、オリンピックに出るか、海外に行って勝負するかで悩みました」。  しかし壁を打ち破らないといけないタイミングが来るのではないかとも気づいている。それはGK鈴木彩艶(パルマ)の成長をみても思うところがある様子で、大迫も「(海外には)行きたいですという話はしています」と潔く話す。「でもそんなに甘い世界でもない。まずはチームで活躍してもっと評価されることでレベルの高い環境に行けるように努力したい」。26歳が真価を問われるのはまだまだこれからだ。 (取材・文 児玉幸洋)●2026ワールドカップ(W杯)北中米大会特集●2025シーズンJリーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

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