日本代表ららアリ2連戦でアピールした選手3選…主力コンビに加え期待の成長株も

6時間前

デンマークとの2連戦に招集された日本代表メンバー14名[写真]=伊藤大允

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 7月19日と20日に行われた『SoftBank CUP 2025(千葉大会)』にて、男子日本代表(FIBAランキング21位)はデンマーク代表(同59位)との2連戦を69-64、69-63で勝利。7月5日からスタートした強化試合を終え、8月5日に開幕する「FIBAアジアカップ2025」へ出場する12名がいよいよ決定する。ここでは、千葉大会で印象的なパフォーマンスを見せた3選手をピックアップしてして紹介する。

文=小沼克年

男子日本代表吉井裕鷹[写真]=野口岳彦

 まずはこの男に触れないわけにはいかない。吉井裕鷹三遠ネオフェニックス)は7月5日に行われたオランダ代表との強化試合で右足首を負傷。しかし、今大会の初戦から先発に名を連ねて復帰を果たすと、リーダーとして自覚と責任を背負ったプレーで日本代表をけん引した。

 状態については「ぼちぼち」と語っていたものの、第1戦では約25分間プレー。攻撃では「外し続けても打ち続ける」ことに重点を置き、感覚を取り戻すように計10本のシュートを放った。復帰初戦で感覚をつかんだ吉井は、第2戦で15得点をマーク。当たり負けしない力強いペイントアタックからスコアを伸ばし、第4クォーター終盤には相手をものともせずに強烈なダンクシュートを叩きこんだ。

「彼は本当に頭がいいです。ディフェンスもオフェンスも判断がいいので、やっぱり吉井がいると安心します」。トム・ホーバスヘッドコーチも心強い存在の復帰に笑みをこぼした。

 今回の日本代表活動においての吉井は、まだまだ経験が浅い若手に日の丸を背負う覚悟を浸透させる役目も担っている。

「楽しくバスケをやりたいという気持ちはわかりますけど、まだそのレベルに達していない。仕事として、目の前の相手を倒すという気持ちがまだまだ足りない」などとコート内外で戦う姿勢を伝え続け、日本の精神的支柱はアジア制覇へ向け自分のできることに全力を注ぐ。

■シュート不発も万能性を示す

男子日本代表西田優大[写真]=野口岳彦

 吉井と同世代の西田優大シーホース三河)も、ホーバスジャパンを熟知する頼りになる存在である。

 デンマーク戦では、代名詞の3ポイントシュートは2試合で9分の0。オランダ戦と韓国戦を含めても本来のシュート力を発揮できなかった。だが、デンマーク戦を振り返っても強引に3ポイントを放った場面はほぼなく、大半がチームで連動した流れ、動きから打っていた。

 たとえアウトサイドシュートに当たりがこなくても、チームに貢献できる点が西田の強みだ。オフェンスでは鋭いドライブからの得点、ハンドラーとして起点になることもできる。日本代表でポイントガードを務めた経験もあり、今大会で先発ポインガードを担ったテーブス海アルバルク東京)は西田の存在についてこう話した。

「めちゃくちゃ大きいですね。やっぱり今のメンバーだと、優大ももう1人のクリエイターにならないといけないという話もしましたし、優大はそれができる選手です。シューターの役割もあると思いますけど、コートに立った時はもう1人のガードとして一緒にやっていこうとも話していて、本当に助かっています」

 西田はディフェンスでも他のウイング陣との違いを証明。「2試合を通してオフェンスは思うような形が作れませんでしたけど、ディフェンスは我慢できたと思います」と振り返り、強度の高い守備で会場を沸かす場面もあった。

「オフェンスでも自分の役割を発揮できれば」と悔しさをにじませたが、西田の万能性を改めて感じた2試合であった。

■先輩も期待を寄せる成長株

男子日本代表山﨑一渉[写真]=古川剛伊

 今回の日本代表の中で、どの若手がアジアカップ行きをかけたトライアウトを勝ち抜くのかも興味深い。オランダ戦で代表デビューを飾った山﨑一渉(ノーザン・コロラド大学)は、最終選考のふるいにかけられている1人だと言える。

 200センチ100キロでスモールフォワード登録されている21歳は、高確率のアウトサイドシュートが最大の武器。「トムさんからは(1試合で)6〜8本打てと言われているので、まだまだ本数が足りない」と話す一方で、強化試合を重ねるごとに他のプレーに対する意識にも変化があらわれた。

 デンマーク戦を終え、「少し空回りしてしまった」と山﨑は自身のプレーを振り返った。しかし、シュートを決めること以外にも「ディフェンスとリバウンドの部分でもアグレッシブなプレーを続けていこうと思いました」ともコメント。その姿勢はチームメートにも伝わっており、第1戦後の取材エリアで山﨑について言及したのが吉井だった。

「一渉はディフェンスでも体をぶつけてプレッシャーをかけることをしっかりやっていましたし、あいつはもっとできます」

「自分のやるべきことはやっぱりシュート」。自身の役目を強調する山﨑には、シューターとしてのプライドもあるだろう。ただ、今はメンバー生き残りと更なる進化を目指して日々努力を積み重ねている。

「先輩たちと比べると経験が少ないので、何事も一生懸命やらないと始まらない。ディフェンスとリバウンドももっともっとできるようになりたいです」

 この夏の貴重な経験は、アジアカップを経て、さらに大きな飛躍へとつながっていくはずだ。

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