「優秀な人ほど先生にならない」教師を目指した真面目な女子大生→夢を捨てて“金髪ギャル”に大変身…東大院卒ギャル(26)が大学で気づいた“教育の残酷な真実”(文春オンライン)
由女さん(以降、由女) (会議室に貼ってあるカレンダーの絵を見て)あれも日本画ですよ。 ――そうなんですか。全然それっぽく見えないです。 由女 村上裕二さんの作品ですね。村上隆さんの弟です。 ――全然知りませんでした。 由女 この人は今No.1日本画家であり、日本美術院展の顔みたいな人です。ウルトラマンとかゴジラも描いてるんですけど、まあ、知らんがなって思うじゃないですか(笑)。 「日本画」って、「日本」の名を冠しているにもかかわらず、まったく普及してないんですよ。 ――由女さんは東京学芸大学に入ってから日本画を専攻されていたんですよね。 由女 学部2年生から日本画研究室に入ったんですけど、自分なりに突き詰めて考えた時に、「閉じてる」と思ったんですね。4月に入って10月にそう思ったんですけど(笑)、今でもその思いは変わってなくて。 日本画をすばらしいものだとは思っているんだけれど、世間とめちゃくちゃギャップがあるんで、それを埋めたり、良くないところを直したりしたいなと思って、東大大学院の研究生になりました。
――もともとは美術の先生を目指していた中、早々にバーンアウトしてしまったそうですね。 由女 それもあって東大の研究生になったんですけど、子どものために何ができるのか、どういう先生であるべきなのかとか、学校というのはこういう場所であるべきだとか、「べき」でむちゃくちゃ考えて、考え過ぎて専攻首席で卒業するんですけど(笑)、学部2年生ぐらいで早々にバーンアウトしちゃったんですね。 ――理想と現実にギャップがあった? 由女 私みたいな理想に燃えてた人が先生にならないんですよ。成績優秀者ほど先生になっていない現実がありましたね。
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――それは由々しき事態だと思いますが、原因はなんだと思いますか。 由女 能力や労力に見合った給与体系になっていないことが一番ですね。教師の世界は年功序列ですし、残業代も出ない。子どものためにむちゃくちゃ頑張っても給与には絶対反映されないし、土日の休みもない。つまり、仕組み的に、やる気を出すほど待遇が悪くなるんですよ。 でも学芸大は親切で、学部1、2年の時に「何%の人がうつ病になって、何%の人が退職して、何%の人が過労死ラインを超えて残業してます」と、教職の現実を丁寧に教えてくれるわけです。 ――そうなると、構造自体を変えたい人も出てきそうですね。 由女 それは実際考えましたね。文科省に行くしかないのかなと思ったけど、結局仕組みを変えるには政治家にならないと意味ないじゃないですか。すると、「何で学芸大出て政治家になるんだ?」みたいになって、ああ、じゃあ、どうしようもねえわって。 なので、優秀な人たちは学校の先生にはならないし、意識の低い人はほんとに低いので民間企業にも受からず、人手不足の教育現場に行ってしまうという。 とはいえ、同期で心がどこまでも清らかな子は学校の先生になりましたけど、そういう人は一握りな気がしますね。
――学芸大と東大の研究生の二足のわらじを経て、東大の大学院に進もうと思ったきっかけは? 由女 学校の先生にならないんだったら民間に就職するかと思ってたんですけど、東大の研究生の時はコロナの時期だったこともあり、思っていたほど日本画の活動ができなかったんですね。 その時ロボット教室でバイトしてたのもあって、研究生の時にロボットで日本画が描けるようにしたいと思ってたんです。 ――ロボットに日本画を描かせる発想はどこから思いついたんですか。 由女 ロボット教室で働いていて、日本画を描いてたから(笑)。 ――そのハイブリッドで日本画ができるんじゃないかと。 由女 というのもあるし、日本画って細密画がもてはやされる世界線なんですけど、細密画って人間がやることじゃないくらいしんどいんですよ。 ――由女さんが描かれていた東京タワーの画も緻密ですごいですよね。 由女 ものすごく手がかかるから、いつも泣きながら描いてて。 草とか森とかを描く人が多いんですけど、とにかく大変なんでロボットに描かせたい気持ちがあり、それを東大で面白がってくれたこともあって、研究生として入ることができたんです。