【K-1】-70kg世界最強決定トーナメントでKOで木村ミノル、アカピャン、ラジジ、KOでカマラ、サルシチャ勝ち上がり。金子晃大が2度ダウンを奪い池田にリベンジ、松谷綺が判定...
K-1 WORLD MAX 2025~-70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦~2025年9月7日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館
▼第17試合 K-1 WORLD MAX 2025 -70㎏世界最強決定トーナメント開幕戦 3分3R延長1R〇オウヤン・フェン(中国/天津阿福ファイトクラブ/CFP)判定2-0 ※30-29×2、30-30×カスペル・ムシンスキ(ポーランド/Armia Polkowice)※フェンが準々決勝へ進出。
フェンは、武林風-70kg級世界王者で中国70kg最強の呼び声が高い強豪ファイター。23年12月にK-1初参戦し、和島大海の持つK-1 WORLD GPスーパー・ウェルター級タイトルに挑戦し、2RKOを収めて第5代王者となった。昨年3月のK-1 WORLD MAX最強決定トーナメント開幕戦では、パスカル・シュロスを判定で下すも決勝ラウンドは怪我で欠場に。今回は、その悔しさを晴らすために頂点を狙う。これまでK-1では和島大海、パスカル・シュロス、ダリル・フェルドンクに勝利して無敗の戦績が光る。
ムシンスキは、K-1出場を待ち望んでいた“執念のラストマン”と呼ばれるポーランドの強豪で、24年3月のK-1 WORLD MAX最強決定トーナメント開幕戦へ初出場すると優勝候補のストーヤン・コプリヴレンスキーからダウンを奪い勝利。準々決勝はゾーラ・アカピャンから勝利するも、準決勝は怪我で欠場に。仕切り直しの再チャレンジとなる。K-1ではストーヤン・コプリヴレンスキー、ゾーラ・アカピャン、バレンティン・マヴロディン、チェン・ヨンホイに勝利し、こちらも無敗だ。
1R、フェンは左インロー、ムシンスキは左ミドルと右ロー。その右ローにフェンは右ストレートを合わせに行く。ムシンスキの右ストレートにもすぐワンツーを返すフェン。ムシンスキは前蹴り、両者とも接近するとコンパクトなフックを回転させる。細かいパンチを交換する両者は、ハイキックも蹴り合う。
2R、左右フックの打ち合いはムシンスキが仕掛ける。ムシンスキの右フックが入るとフェンはすぐに左フックを返す。フェンが左ボディ、右フックからの左ロー。下がらないムシンスキは近い距離でショートのパンチを打ち合う。フェンの右ローにムシンスキは左インロー。この左インローにフェンの足が跳ね上がる。どんどん前に出るムシンスキがヒザ、右カーフに右ストレートを返す。ムシンスキの手数とヒットがやや優ったか。
3R、ムシンスキがジャブから左ボディ、フェンは右ロー。どんどん前に出るムシンスキにフェンがハイを放つ。細かいショートの連打をするフェンは右ローも蹴っていく。手数が増えてきたフェンが、当てて回り込むアウトボクシングに。右ローを蹴り、ショートのパンチをまとめるフェン。足払いでムシンスキを転倒させる。距離が縮められないムシンスキにジャブを当てるフェン。このラウンドはほぼフェンが触らせずに終えた。
判定は2-0でフェンが勝利。ムシンスキはさっとリングを後にした。 フェンはマイクを持つと「K-1MAXの1回戦を勝ち残って嬉しいです。MAXトーナメント出場は2回目ですが、今回我々のチームが支えてくれたことが勝利につながったと思います。ムシンスキ選手強かったです。これから決勝戦へ向けて頑張っていきます。決勝戦進出したわけですが、相手は誰でも構いません。でも勝ち残った8人は世界トップレベルだと思います。これからしっかり練習してきます。日本のファンの皆さん、ありがとうございました」と語った。
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▼第16試合 K-1 WORLD MAX 2025 -70㎏世界最強決定トーナメント開幕戦 3分3R延長1R〇ストーヤン・コプリヴレンスキー(ブルガリア/Mike's Gym)判定3-0 ※30-29×3×デニス・タプ(モルドバ/MSGYM FIGHT CLUB)※コプリヴレンスキーが準々決勝へ進出。
コプリヴレンスキーは、昨年のK-1 WORLD MAXで優勝した後、10月に小田尋久と対戦もダウンの奪い合いの激闘となりあわやというシーンが飛び出した(コプリヴレンスキーの延長判定勝ち)。そして12月の和島大海戦では再びダウンを喫しての判定負けとなり、牙城が崩れ落ちてしまった。だが地元のブルガリアで今年5月にアブドゥライエ・ディアロから判定勝ち、7月はクビライ・タルハンを飛びヒザ蹴りでKOし勢いを取り戻しての今回となる。
タプは、グレコローマンレスリングをバックボーンに持つパワー系の選手で、15歳からムエタイを始めるとモルドバやイタリアのタイトルを総ナメにしている。計量時にハンバーガーを持参して食べたことから、“ハンバーガーキング”と呼ばれている。
1R、コプリヴレンスキーは前蹴りから飛びヒザ蹴り、すぐにハイキック。タプはコプリヴレンスキーのジャブに左ハイを合わせようとする。コプリヴレンスキーのワンツーには右ストレート。コプリヴレンスキーのバックハンドブローに右フック。思い切ったワンツーを打つタプだが空振り、逆にコプリヴレンスキーは右ストレートを当てる。
2R、ジャブで前に出るコプリヴレンスキーは、タプが前に出てくると左ミドル、前蹴り、ヒザを突き上げる。コプリヴレンスキーの右ローに右ストレートを合わせるタプは強い右ローを蹴る。コプリヴレンスキーは右ミドル。
随所でジャブを上手く使うコプリヴレンスキー、タプは右カーフ。左ボディと右フックを連打するタプにコプリヴレンスキーはワンツー。右ローを連打するタプにはコプリヴレンスキーがバックハンドブロー。
3R、タプは左右の足を上げてフェイント、左右フックを放つがコプリヴレンスキーはかわしてジャブを打つ。コプリヴレンスキーのワンツー、左ハイ。タプは左右フックから左ハイを蹴るが、なかなかコプリヴレンスキーを捉えることが出来ない。逆にコプリヴレンスキーはジャブ、左右ロー、前蹴りを当てていく。コプリヴレンスキーは前蹴り。攻撃を交換するような一進一退の攻防が続くが、ディフェンスはコプリヴレンスキーの方が上でヒット数も多い。
コプリヴレンスキーが判定3-0で連覇へ向けてのスタートを切った。
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▼第15試合 K-1 WORLD MAX 2025 -70㎏世界最強決定トーナメント開幕戦 3分3R延長1R〇ダリル・フェルドンク(オランダ/Fight Team Ringer)KO 1R 2分18秒 ※3ノックダウン×ヌルティレク・ザリンベコフ(キルギス/Al Munar Team)※フェルドンクが準々決勝へ進出。
フェルドンクは、“美しき人狼”と呼ばれているオランダの強豪ファイター。24年3月のK-1初参戦ではK-1 WORLD MAX最強決定トーナメント開幕戦で、和島大海をKOしてサプライズを起こした。続く7月の準々決勝はデング・シルバに判定負けも、今年5月にオウヤン・フェンとダウンの奪い合いの激闘を見せた。
“遊牧の戦士”ザリンベコフは、MMAとキックボクシング(=アマチュア※プロデビューは今回初)の試合をする二刀流ファイター。MMAの戦績は16戦12勝(7KO/2SUB)4敗で、Open FC、EFCライト級&フェザー級王座などを獲得している。MMAではパンチ主体に振り回すスタイルを見せているためK-1ルールに合っている印象。本人はハイキックが得意と主張しているが、初のK-1参戦で番狂わせを起こす可能性は高そうだ。
1R、ザリンベコフは後ろ蹴りから左右フック、パワフルなフックを繰り出す。フェルドンクは右ローを蹴っていくが、左インローがローブローになってしまう。再開後、ザリンベコフは強い右ローから左フック、さらに後ろ蹴る。ガードを固めて前に出るフェルドンクはザリンベコフの左フックに左フックを合わせに行く。
右ヒザを突き刺したフェルドンクは、ザリンベコフの右アッパーをかわして右フックでダウンを奪う。前に出るフェルドンクが右フックでダウンを追加。最後は右クロスでダウンを奪い、フェルドンクがKOで圧勝した。
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▼第14試合 K-1 WORLD MAX 2025 -70㎏世界最強決定トーナメント開幕戦 3分3R延長1R〇木村“フィリップ”ミノル(ブラジル/Battle-Box)KO 1R 1分15秒 ※左フック×メイソン・ストロッドマン(アメリカ/WARMAN MUAY THAI)※木村が準々決勝へ進出。
木村は、18年8月に第6代Krushウェルター級王座獲得。19年3月に和島大海をKOすると、20年3月の第3代K-1スーパー・ウェルター級王者決定トーナメントで優勝。12月にアビラル・ヒマラヤン・チーターからTKO勝利を収め、21年12月に“K-1 FINAL”として和島大海とタイトルマッチで対戦も判定負けを喫した。K-1では、この試合がラストマッチとなり、今回のリスタートとなる。
ストロッドマンは、今年3月にアメリカ・オクラホマ州で行われた-70kgの8人トーナメントで3連続KOで優勝を飾った逸材だ。16勝のうち13KOを誇るハードパンチャー。UFCの影響で格闘技を始め、バックボーンはブラジリアン柔術とMMAファイター寄りだが、得意としているのはサウスポーからの前手の右アッパー、そしてヒザ蹴り。起用さと一発を持っているところが特長だ。
1R、サウスポーのストロッドマンは左ミドル、木村はすぐに前へ出て左ボディ。続けて左フック。左ボディから左フック、もう一度左フック。右フックから入ると左フックでストロッドマンはロープの外に飛び出る。さらに距離を付ける木村は左フックからの左ボディでダウンを奪う。
左フックから左右ボディ、最後は左フックを叩き込み、木村が豪快KOでK-1復帰戦を飾った。魔裟斗は木村に「ドーピングはやってないの?」と直接問いかけ、木村は「やってない」と笑顔で答えた。
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▼第13試合 K-1 WORLD MAX 2025 -70㎏世界最強決定トーナメント開幕戦 3分3R延長1R〇ゾーラ・アカピャン(アルメニア/Gridin Gym)判定3-0 ※30-26、30-27、30-28×ジョナサン・アイウル(サモア/Allstyles Gym)※アカピャンが準々決勝へ進出。
アカピャンは、チンギス・アラゾフを育てた名伯楽のアンドレイ・グリディンコーチの指導を受けてテクニックをブラッシュアップしてきた。左右に構えをスイッチするスタイルは、多彩な攻撃を生み出している。アラゾフの後継者として期待がかかっていたアカピャンは、昨年のMAX -70kg世界最強決定トーナメントでは開幕戦のタラス・ナチュックから勝利をあげたものの、決勝トーナメント準々決勝ではカスペル・ムシンスキに完封負け。汚名返上のために組まれたダリル・フェルドンク戦では延長判定負け。今年7月の璃久戦では、見違えるほどの強さを発揮してKO勝ち。
一方のアイウルはオーストラリア出身のサモア系ファイターで、ラグビーをやっていたためか、フィジカル能力が高い。22年にはK-1参戦経験のあるクルーズ・ブリッグスに勝利している。ちなみにブリッグスは、19年6月に木村“フィリップ”ミノルと対戦した選手だ。これまでのサモアンファイターと違い蹴りを中心に試合を組み立て、右フックで仕留めるのが得意のKOパターン。今年5月には佐藤嘉洋の日本チームに加わり『武林風』で戦い、勝利している。
1R、アイウルが強い右フック、アカピャンは左ミドルを蹴る。アカピャンの右カーフにはアイウルが右ミドル。アイウルは力強くシャープなパンチのコンビネーションに加えて、蹴りも丁寧に蹴る。ローの蹴り合いからアイウルが左右フック、アカピャンが右ストレートを出すとアイウルは右ミドルを合わせる。アカピャンの右カーフに大きくバランスを崩すアイウル。
2R、ブロックを固めて右カーフを蹴るアカピャン。アイウルは前に出て右ボディから左右フック。アイウルの右ボディストレートにはアカピャンが左フック。
3R、いきなりアカピャンをコーナーへ追い込むアイウル。しかしアカピャンも左フック、右ローで応戦する。アカピャンの右カーフに転倒するアイウルは、またカーフを蹴られると足を上げる。アカピャンは後ろ蹴り、左右フックからの右カーフ。アイウルはカーフを蹴られながらも前に出てフックを放つが空振り。残り10秒、狙いすましたアカピャンの右カーフでついにアイウルはダウン。
判定3-0でアカピャンが勝利。魔裟斗と佐藤嘉洋は「優勝候補の一人と言えるのではないですか」と声をそろえた。
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▼第12試合 K-1 WORLD MAX 2025 -70㎏世界最強決定トーナメント開幕戦 3分3R延長1R×アビラル・ヒマラヤン・チーター(ネパール/志村道場)判定0-3 ※29-30、28-29×2〇アイメリック・ラジジ(フランス/MARSEILLE BOXE PIEDS POINGS)※ラジジが準々決勝へ進出。
アビラルは、K-1に参戦経験があるデーブ・クマール・ギミーレを父に持ち、2016年にネパールから来日。志村道場でキックボクシングを始め、2020年1月にHEATミドル級王座を獲得。同年12月にK-1初参戦で木村“フィリップ”ミノルからダウンを奪うも、出血によるTKO負け。その後もK-1へ定期参戦して今年2月に白須康仁、5月にKrushで小田尋久を連続TKO勝ちしている。5月にはKrushスーパー・ウェルター級王者となった。
ラジジは、WAKOとNDC王者で身長191cmの“マルセイユの巨塔”。この階級で191cmは、今回出場のブラジルのジョナス・サルシチャと並ぶ最長身で、デング・シルバよりも1cm高い。ただ大きいだけではなく、戦績24戦22勝(3KO) 1敗1分と好成績を残している。しかも1敗は、昨年5月に戦ったK-1レジェンドでGLORYとONE王者にもなったジョルジオ・ペトロシアンと戦った試合のみというからかなりの強豪だ。
1R、ジャブで前に出てくるラジジに、アビラルは左インロー、右ローを蹴っていく。ラジジは前蹴りと左ミドル、右ストレート。アビラルも負けじと右ストレートを返す。ラジジは左ボディから右ロー、アビラルは右クロスを打ち込むと一気にワンツーを連打して前へ出ていく。左フックの相打ちもアビラルが前へ出ていく。ラジジはワンツーから左アッパー、アビラルはワンツーでさらに前へ出て行く。
2R、アビラルは右ローからワンツー、ラジジは左右フックからアッパーを繰り出す。アビラルの右ローに腰を引くラジジ。そこへアビラルが連打で攻め込む。アビラルの右カーフが強烈ヒット。ラジジは前に出てくるアビラルにワンツー、アビラルは右ロー。ラジジのジャブが当たり始め、右ストレートも当たる。意外にもアウトボクシングをするラジジ。
3Rもアビラルは右カーフを蹴っていく。ワンツーで飛び込むアビラルにラジジはジャブからワンツー。アビラルの出鼻をジャブで捉えるラジジ。続く右もヒットさせる。長身にも関わらず、ダッキングでアビラルのフックをかわすラジジは下から突き上げるようなジャブを打つ。
判定は3-0でラジジが勝利。解説の魔裟斗は「地味だけど強いかもしれない。一般受けは多分しないけれど実力はあると思う」と評価した。
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▼第11試合 K-1 WORLD MAX 2025 -70㎏世界最強決定トーナメント開幕戦 3分3R延長1R×アルビオン・モリーナ(ドイツ/Gladiators Gym)TKO 1R 2分03秒 ※レフェリーストップ〇アルフォセヌー・カマラ(セネガル/Emergence Le Havre)※カマラが準々決勝へ進出。
モリーナは身長183cmと長身の19歳。戦績は18勝(11KO)無敗を誇り、WKU欧州ミドル級(-72.5kg)王座、WKUドイツ ミドル級(-72.5kg)王座、GBAドイツ-75kg級王座などのタイトル歴を持つ。
カマラは身長174cmの25歳で、戦績は33勝(18KO)5敗。サバット世界選手権-75kg優勝、サバット欧州選手権-75kg優勝、サバット・フランス選手権-75kg優勝7回と、フランスの格闘技サバットで数々の優勝歴を持っている。
1R、一発目のジャブでグラつかせたモリーナだったが、すかさずカマラが左右フックを連打して左フックでダウンを奪う。さらに左右フックを連打するカマラにモリーナは右ストレート。両者ともフックをフルスイングし、カマラが右ストレートの大砲で豪快なダウンを奪う。
さらに左右フック、ワンツーを連打してコーナーへ追い込むカマラ。パンチをもらいながらもミドルを蹴るモリーナだが、カマラの左右フックに頭が左右に揺れる。ここでレフェリーがストップした。
山本“KID”徳郁のTシャツを来た山本美憂からトロフィーを受け取り、カマラは笑顔で記念撮影に応じた。
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▼第10試合 K-1 WORLD MAX 2025 -70㎏世界最強決定トーナメント開幕戦 3分3R延長1R〇ジョナス・サルシチャ(ブラジル/TF Team/CT Allan Popeye)判定3-0 ※30-27、29-27×2×サリムカーン・イブラギモフ(ロシア/ARCHANGEL MICHAEL FIGHT CLUB)※サルシチャが準々決勝へ進出。
身長191cmのサルシチャは、今年6月にブラジル・クリチバで開催された『K-1 WORLD MAX 2025 -70kg 南米ラウンド』に出場し優勝をはたした。高身長ながらバックスピンキックなど多彩な蹴り技を放つなど、テクニシャンでもある。元WGP Kickboxingスーパーミドル級(-78.1kg)王者で、“ブラジルの巨神”と恐れられている。
イブラギモフは、WBCムエタイ世界王者で蹴りとパンチのバランスがとれたトータルファイターだ。レスリングや柔術をバックボーンに持ち、アマチュアムエタイの経験も豊富。21年12月にはGLORYライト級8位のブルーノ・ガザーニから判定勝利している。
前日計量でイブラギモフは600グラムオーバー。サルシチャがトーナメント戦での対戦を望んだためトーナメント戦として行われるが、イブラギモフは減点1から試合開始、ファイトマネーから20%没収となる。
1R、サルシチャの右ハイ、左ローからスタート。サウスポーのイブラギモフの左ミドルにはサルシチャが左ボディを返す。左フックの打ち合い。イブラギモフのローでサルシチャは転倒する。イブラギモフの強烈な左右ローからの左右フック、サルシチャは前に出てパンチを打つが、そこへイブラギモフが左インローを蹴る。
2R、左ミドルから左右フックのイブラギモフは強烈な左インロー、これにサルシチャが下がる。サルシチャも左右フックで前へ出るが、イブラギモフはバックハンドブロー。しかし、これはヒジ部分が当たったため注意を受ける。サルシチャが後ろ廻し蹴りの空振りから左右フック、ヒザ蹴りからの左アッパーでダウンを奪う。左ミドルを蹴るイブラギモフへサルシチャは左右のパンチを出しながら前へ出る。
3R、サルシチャが横蹴りでボディを蹴る。つかんでしまうイブラギモフ。離れるとバックハンドブローを放つ。左右フックで前に出るイブラギモフにサルシチャはヒザを突き刺す。このヒザを嫌がるイブラギモフは胴に組み付き警告。サルシチャの横蹴り、イブラギモフのバックハンドブローはブロックされる。前に出るサルシチャは後ろ蹴りを繰り出し、バックハンドブローを出そうと回転したイブラギモフに左右フック。サルシチャが胴廻し回転蹴りを放つと、イブラギモフも後ろ廻し蹴りを見せたが両者空振り。
判定は3-0でサルシチャの勝利となった。
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▼第9試合 K-1 WORLD GPスーパー・バンタム級タイトルマッチ 3分3R延長1R〇金子晃大(K-1ジム自由ヶ丘/FROG GYM/王者)判定3-0 ※29-26、29-27×2×池田幸司(ReBORN経堂/挑戦者)※金子が4度目の防衛に成功。
金子は2022年2月にK-1スーパー・バンタム級王座決定トーナメントで黒田勇斗、璃明武、決勝で玖村将史を破りK-1王座戴冠。6月『THE MATCH 2022』ではRISEの鈴木真彦に惜敗も2023年9月に玖村将史との3度目の対戦で判定勝ちを収め、王座防衛に成功。
2024年3月は、RISEのリングに乗り込み鈴木真彦を破り、リベンジを成し遂げた。7月と9月の「K-1 WORLD MAX 2024 -55kg世界最強決定トーナメント」でも優勝。2025年2月にマノリス・カリシスに判定勝ちで12連勝を飾ったが、5月に池田幸司にダウンを奪われ判定負け。戦績は26勝(13KO)3敗 。
池田は幼稚園から始めた空手をバックボーンに持ち、アマチュアでは無敗を誇り、2019年にはK-1カレッジ優勝。同年10月にKrushでプロデビュー。2022年3月に壬生狼一輝を判定で破りKrushバンタム級王座に就いた。同王座は2度の防衛に成功。2023年12月にはRISEに殴り込み松下武蔵を判定で破ったが、2024年3月には花岡竜に敗れた。
スーパー・バンタム級に階級を上げた7月、晃貴を2RでKOして再起したのも束の間、9月永坂吏羅にダウン応酬の末初回KO負け。2025年3月、璃明武が保持するKrushスーパー・バンタム級王座に挑戦も延長戦で判定負け。しかし5月、金子の相手に抜擢されるとダウンを奪っての判定勝利で番狂わせを起こした。戦績は15勝(8KO)7敗。
1R、池田はヒザの裏を蹴るような右ローを集中、金子が前へ出てくると右ローをどんどん蹴る。さらにジャブから右ストレート。金子はじりじりと近付いてジャブも、池田が右ストレートから飛びヒザを放つ。さらに前蹴り。自分のリーチを活かす戦い方をする池田に金子は近付けない展開が続く。ジャブの打ち合いで金子は右カーフを蹴る。
池田は右足を上げてのフェイントからすぐに右フック、これに金子が下がる。ラッシュをかける池田の右ストレートがヒット。金子は右目上をカットして流血し、ドクターチェックを受ける。金子のパンチにジャブ、右ストレートを合わせる池田。金子の傷口を狙うような池田のジャブ。
2R、前に出る金子が右ミドル、池田はジャブと右カーフ。ワンツーで入る金子だが距離が遠い。ジャブで距離をとる池田は右カーフ、左フック。ジャブを打って距離をとる池田に金子がジャブ、右ロー。池田ペースで進む中、両者の右ストレートが交錯、金子が返しの左フックでダウンを奪う。
立ち上がった金子は打ち合いに行き、左フックでダウンを追加。池田は強気にカモンゼスチャーするが、金子が右フックを連打していく。池田は鼻血。
3R、金子が強い右ストレートを打ち込む。ジャブの突き合い、右カーフの蹴り合い。金子の左フックに池田が左フックを返すが、すぐに金子が強い右ストレート。池田は右ローを蹴り、右ストレートからの左フックを狙う。金子は右ストレートから右ヒザ。ジャブを打つ金子に池田は右カーフ。金子はボディを叩く。左フックからのヒザも。池田は前に出て打ち合いに行くが、近付きすぎてクリンチに。
判定は3-0で2度のダウンを奪った金子が勝利。4度目の防衛とリベンジを果たした。解説を務めていたK-1創始者の石井和義館長は「これがK-1ですよ」と両者の熱闘を称えた。
金子はマイクを向けられると「今日勝てたのは俺の力は全然なくて、城戸さん、ウィラサクレック会長、島田さん、常に僕のことを支えてくれる皆さん、そして応援に来てくれているファンの皆さんの気持ちを乗せて戦えました。ここ最近、僕の力かなって傲慢になっていて、この前の敗戦で気付かされて。周りの想いを背負うことが出来るのが王者だなって。みんなのおかげで勝てました。これはみんなでつかんだ勝利だと思っているので、本当にありがとうございました。
ベルト自体は普通に物だけれど、このベルトを獲るために僕の想いだけじゃなくてみんなの力が重なっていて、前回の敗戦がなかったら僕は今回負けていたと思う。ピンチの時にみんなの心の声が聞こえて、人って一人じゃ生きていけないなって。勝てたのはみんなのおかげです。僕のファンじゃない方も、今日の試合を見て勇気を与えられていればいいなと思っていて。今日負けていたら僕のキックボクシングを失って戦えない、今日負けたら終わりだと思っていたので、今日勝ててよかったです」と語った。
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▼第8試合【株式会社多摩電 PRESENTS】 K-1 WORLD GP 女子アトム級タイトルマッチ 3分3R延長1R〇松谷 綺(ALONZA ABLAZE/王者)延長R 判定2-1 ※10-9×2、9-10×末松 晄(K.I.K team BLADE/挑戦者)※松谷が初防衛に成功。本戦の判定は30-29、30-30×2。 松谷は2021年8月にKrush初参戦を果たし、2022年6月の「K-1初代女子アトム級王座決定トーナメント」1回戦で菅原美優に判定2-0で敗れ、プロ8戦目にして初黒星もその後は再び連勝し、2023年7月に初代K-1女子アトム級王者のパヤーフォンを延長戦の末に降した。11月には奥脇奈々に勝利し、第4代Krush女子アトム級王者に。2025年2月のK-1 WORLD GP女子アトム級王座決定トーナメントを制し、第3代王座に就いた。戦績は13勝(1KO)1敗2分。 末松は2023年4月にプロ2戦目でKrush初参戦。9戦のキャリアを持つ谷田美穂と対戦し、機動力とスピードを見せつけて勝利、関係者から高く評価された。2025年2月の「K-1 WORLD GP女子アトム級王座決定トーナメント」では松谷綺に敗れ初黒星も準優勝。5月のKrushでは紗依茄をKO、7月には大西日和との再戦を制した。戦績は8勝(2KO)1敗1分。
1R、松谷の右カーフに右ストレートを打つ末松はワンツーの連打で前へ出る。松谷は左インロー、左ミドル。松谷は右カーフを中心に蹴り、末松は長いリーチを活かしたワンツーを打って行く。松谷が高さを変える左ミドル2発。右ストレートを打つ末松に松谷はアッパーを突き上げる。末松は3連打。
2R、松谷は右カーフから右ミドル、さらに左ミドルの連打。末松も負けじとワンツー。右カーフを蹴る松谷に右ストレートを打つ末松に、松谷も右クロスを叩き込む。長いワンツーを打って前へ出る末松だが、松谷の左ミドルが当たる距離。松谷は回り込んで右カーフ、左ミドル。松谷の蹴りが目立った。
3R、左ミドル、前蹴りで前へ出る松谷。末松は左インローを蹴り、ワンツー。松谷は蹴りから左フック、末松をワンツーから右ミドルを返す。左フックをもらった松谷だが左ミドルを返す。末松がワンツーで前へ出て左ミドル、松谷はジャブで対抗。右ローからの右ミドルは松谷。末松は右ボディ。右ストレートのヒットを奪う末松だが、松谷はすぐに前へ出てパンチを打ち返す。最後は両者足を止めての打ち合いとなり、両者ともパンチを当てる。
本戦の判定はドロー。延長戦へ。松谷は右ミドルと前蹴りからワンツー、末松はワンツーと右インロー。前へ出る松谷は右アッパーを突き上げる。末松が左右フックから左ボディ、松谷は前蹴りを放つ。末松がジャブ、右ストレートをヒットさせる。前に出る末松のパンチが目立つが、松谷も顔面前蹴りと左ミドル。末松が入ってくるところへ左ミドルを蹴る松谷、末松は前へ出ての右ストレート。ボディも打つ末松だが、松谷の顔面前蹴りがヒット。松谷の左ミドルに末松が左フックと打ち合って終了。
判定は2-1と割れたが、松谷が初防衛に成功。ベルトを腰に戻して笑顔を浮かべた。
松谷は「末松選手もこれ以上名前を出してくんなよって感じです。今後は海外でも国内でもいいんですけれど、ベルトを持った強豪選手たちと戦ってこのK-1のベルトの価値を高めていきたいと思います。まだまだもっと強くなってまたリングに戻って来るのでよろしくお願いします」と勝利者インタビューに答えた。
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▼第7試合 HERO'Sルール -60kg契約 5分3R×橋本雷汰(ALONZA ABLAZE)一本 1R ※腕十字〇長野将大(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス) 橋本はK-1甲子園2022 -60kg優勝。2022年12月からKrushに参戦し、2024年9月の「第9代Krushフェザー級王座決定トーナメント決勝戦」で石田龍大に延長戦で惜敗するまで6連勝。2025年6月、Krushで初のオープンフィンガーグローブマッチに臨み水本悠我を3RでKOしたサウスポー。戦績は9勝(4KO)1敗2分。 長野は所英男の弟子で、MMA戦績は10勝(1KO/5SUB)6敗。2018年8月に『ZST』でデビューし、2021年12月からは『GRACHAN』を主戦場としているグラップラー。2025年3月、水谷健人にキムラロックで勝利している。
1R、いきなり予告していたバックハンドブローを放つ長野。スライディングするように入る長野に橋本は上に乗るが、長野が胴を抱えてリバーサルしてマウントをとる。パウンドを打つ長野に、胴に抱き着く橋本。長野は橋本の側頭部にパンチ、橋本が離れると強烈なパウンドを打ち込む。橋本は再び胴に抱き着き、ブリッジするが長野は的確にパウンドを打ち込む。
橋本が起き上がろうとしたところへ、待っていましたとばかりに長野は三角絞め。橋本はヒジを張って防いだが、今度は長野が腕十字。橋本は両足で長野の頭を抱えてディフェンスするが、その足も外れて絶体絶命。腕十字を極めに行く長野。ここで橋本のセコンドからタオルが投入されると同時に橋本がタップ。
所の愛弟子・長野がMMAキャリアの差を見せる一本勝ち。かつて『HERO'S』で活躍した秋山成勲からトロフィーを受け取った。
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▼第6試合 HERO'Sルール ヘビー級 5分3Rシナ・カリミアン(イラン/SINA ARMY)結果保留 ※映像で確認のうえ後日発表ブレイク・トループ(アメリカ/EYR Division Blackhouse MMA)
カリミアンはアマチュアムエタイで活躍後、2018年9月の「K-1 WORLD GP初代クルーザー級王座決定トーナメント」に初来日。トーナメントを制して初代王者となった。同王座は2020年12月の3度目の防衛戦でK-Jeeに敗れて手放したが、2021年3月のダイレクトリマッチでK-JeeをKOし、王座を奪還。その後は、反則勝ちも含めて5連勝。2023年9月の「K-1 30周年記念無差別級トーナメント」では1回戦でKO勝利も準決勝でクラウディオ・イストラテに敗れている。
2024年3月、初防衛戦でリュウ・ツァーにKO負けを喫し、王座を手放した。10月にイストラテと再戦したが無効試合、12月14日の木村太地戦も無効試合に。大晦日の『雷神番外地』に参戦し、安保瑠輝也とスタンディングバウト特別ルール(ボクシング)で対戦して話題を呼んだが判定で敗れた。2025年4月には『GLORY』に初参戦し、ヘビー級トーナメントに出場したが1回戦で判定負け。5月の『男祭り』では皇治とスタンディングバウト特別ルールで決着つかずドロー。6月にはRIZINでMMAに初挑戦し、荒東“怪獣キラー”英貴から判定勝利した。立ち技の戦績は16勝(8KO)5敗2無効試合。 トループはアメリカからの推薦を受けての出場となる、9勝(8KO/1SUB)6敗のMMAファイター。LIGHTS OUT XTREME FIGHTINGヘビー級王者。カリミアンの200cmに対して193cmの身長を持つ37歳。 両者は前日会見にて大乱闘を行い、因縁が最高潮に達していた。
1R、トループがいきなりシングルレッグでテイクダウン、カリミアンはフロントチョーク気味に首を抱える。しばらくその体勢が続くがトループが首を抜いてマウントになり、パウンド。打ちながら腕十字を狙うトループ。しかし、トループが腕十字に行ったところでカリミアンが上体を起こして上になり、すかさずパウンドを打ち込む。
抱え込むトループ。カリミアンは抑え込みながら殴るがロープ際でドントムーブ。トループは抱え込みカリミアンのパウンドを封じる。時折パンチや鉄槌を打つカリミアン。
2R、組み付こうとするトループに左右フックを見舞うカリミアンだが捕まってしまいテイクダウンを奪われる。1Rと同じく首を脇に抱え込みハーフガードになるカリミアン。足を抜いてマウントになるトループは反則となるヒジ打ちを落としたように見えたが、カリミアンが顔を押そうとして伸ばした手の指が目に入ってしまった。試合中断。
長いインターバルがとられたが、トループが反則となる顔面へのヒジ、それと同時にカリミアンがアイポーク、そしてトループが回復せず、試合は終了。「なにこれ!」と怒るカリミアンはトループに殴りかかり、セコンド陣が止めに入る。リング上は混乱したが、両陣営が両者を分けた。カリミアンは怒り狂い、中指を立てた。
後日、映像で判断して裁定が発表されることとなった。なお試合後、カリミアンは前日の乱闘で膝を左膝を怪我してドクターストップがかかっていたと打ち明けた。
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▼第5試合 K-1クルーザー級 3分3R延長1R〇マハムード・サッタリ(TEAM大和魂)KO 2R 0分38秒 ※右フック×山口翔大(GENESIS/TEAM3K)
サッタリは2020年10月のKrushに初参戦、2021年7月の第2代Krushクルーザー級王座決定トーナメントを圧倒的な強さで制して王座に就いた。2022年4月の「K-1 WORLD GP 2022 K-1無差別級トーナメント」では最軽量(85.20kg)にも関わらず優勝。無敗の快進撃を続けていたが、2022年12月にステファン・ラテスクにKO負けで初黒星を喫すると、クラウディオ・イストラテ、リュウ・ツァー、ティアン・ターザンに4連敗。戦績は20勝(12KO)4敗。
山口は空手をバックボーンに持ち、白蓮会館の全日本大会で5度優勝。300超の流派・団体が加盟するJFKO全日本大会では、2018年と2019年の重量級を連覇。2019年には新極真会の世界大会の日本代表に選ばれ、世界の強豪と戦った。2022年に白蓮会館を退会し、キックボクシングに挑戦。 2022年9月からKrushに参戦して7勝(3KO)無敗の快進撃を続けていたが、2024年10月のK-1 WORLD GP 2024無差別級アジア予選でエロール・ジマーマンにKO負けで初黒星。12月の敗者復活では1回戦でクラウディオ・イストラテに反則勝ち、準決勝でフェン・ルイに判定で敗れた。2025年5月、谷川聖哉とKrushクルーザー級王座決定戦で対戦も延長戦で判定負け。戦績は8勝(3KO)3敗。
1R開始と同時にブロックを固めた山口は一気に距離を詰めて行く。最初は戸惑った様子のサッタリだったが、左手を伸ばして距離をとると左右フックの連打。被弾した山口は胴廻し回転蹴りで流れを切る。サッタリは飛びヒザ蹴り、左手を伸ばしての右フック。
山口は距離を詰めて右カーフを蹴るが、サッタリはブロックの隙間からアッパーとフックを入れていく。まるで鉄槌を振り下ろすような打撃をみせるサッタリ。左手を伸ばして山口を止め、ガードの隙間へパンチをねじ込む。
2Rが始まってすぐ、サッタリが強烈な右ミドル、ジャンプしての右ミドルを蹴り、山口が前へ出てくるところに右フック。山口がダウンし、立ち上がることが出来ずサッタリの豪快KO勝ちとなった。
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▼第4試合 K-1クルーザー級 3分3R延長1R×谷川聖哉(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)KO 3R〇レダ・ゼイディ(ARJ Trainingen)
谷川は空手で第1回&第3回真正会全日本選手権大会重量級優勝など数多くの実績を残し、2017年5月にキックボクシングでプロデビュー。2020年3月よりK-1 GROUPに参戦すると2021年7月の「第2代Krushクルーザー級王座決定トーナメント」、2022年4月の「K-1無差別級トーナメント」でいずれも準優勝。8月にはK-Jeeとのクルーザー級日本最強決定戦で勝利した。
ミドル級まで階級を下げて臨んだ2024年3月の「初代Krushミドル級王座決定トーナメント」準決勝でブハリ亜輝留に敗れると、8月にはクルーザー級に戻りRUIを初回KO。10月の無差別級アジア予選ではクォン・ジャンウォンに判定で敗れた。12月には実方宏介を初回KOして再起。2025年5月、山口翔大を延長戦で破り第3代Krushクルーザー級王座に就いた。戦績は14勝(6KO)10敗1分。
ゼイディはティアン・ターザンが主戦場にしているオランダのキックボクシング団体Enfusion(エンフュージョン)で活躍。左右に構えを変えるスイッチスタイルで、プレスをかけてアグレッシブに攻撃するファイター。左ボディブローが強烈で、左ハイキックでもダウンを奪ったことがあるなど、テクニックも兼ね備える。やや粗削りだが小型台風のようにパンチの回転力で相手を巻き込み、一気に勝負を決める決定力を持っている“モロッコのハリケーン”だ。
当初、5月大会でサッタリと戦うことが決まっていたが、ターザンの対戦相手の欠場でサッタリが抜擢されたため、来日が延期となっていた。FIGHTSENSEオランダ-90kg王者。戦績は26勝(10KO)6敗。
1R、谷川はパンチで下がらせての右ローを多用、ゼイディは左右ボディから右フック。互いに右カーフを蹴る。ゼイディの左フックをかわしての谷川が左フック。ゼイディは左フックの3連打、さらに飛びヒザ。谷川は徹底して右ロー&右カーフ。ゼイディがバックハンドブローからのワンツーでダウンを奪う。谷川はワンツーで前へ出る。
2R、谷川が左右フックを放つとゼイディは飛びヒザ蹴り。右ローを蹴り合い、ゼイディが右ストレート。谷川は右ローを徹底。ゼイディはバックハンドブローから後ろ廻し蹴りを繰り出すが、谷川はかわす。両者の腕が触れ合う距離でフックとボディを打ち合う中、手数が増えてきたのはゼイディ。
3R、谷川の右カーフが強烈にヒット。左右フックで前に出る谷川に、ゼイディはブロックを固める。クリンチ状態からゼイディが回転し、バックハンドブロー。谷川は左腕でブロックしたがダウンし、立ち上がるもレフェリーがストップ。ゼイディのKO勝ちとなった。
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▼第3試合 K-1ライト級 3分3R延長1R〇里見柚己(team NOVA)延長R 判定2-1 ※10-9×2、9-10×西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)※本戦の判定は29-30、30-30×2。
里見は小学5年生でキックボクシングを始め、高校1年生でプロデビュー。2023年1月に大沢文也の持つKrushライト級王座に挑んだがノーコンテスト、6月のリマッチで判定勝利を収め第8代Krushライト級王座に就いた。同王座は2024年2月の初防衛戦で伊藤健人に奪われたが、その後は外国人3選手を含む4連勝(2KO)をマーク。戦績は23勝(10KO)12敗1分1無効試合。
西京はK-1甲子園2016 -60kgで優勝し、2017年4月にプロデビュー。2019年3月にわずか7戦目・18歳で第8代Krushスーパー・フェザー級王者に君臨。しかし、同年9月の初防衛戦でレオナ・ペタスに敗れて王座を失い、ライト級に階級を上げた。2022年8月の試合を最後にリングから遠ざかったが、24年8月に復帰。2025年2月のKrushライト級ワンデートーナメントでは見事優勝を果たした。戦績は14勝(5KO)5敗。 1R、サウスポーの里見に右インローを蹴る西京へ、里見は左インカーフを返す。徹底して右インローを蹴っていく西京は左カーフも。西京がワンツー、里見はかわして前へ出ようとする。里見が左フックを繰り出すが西京はブロック。
2R、里見は西京の前足に前蹴り、西京は右ローと右インローを蹴って前へ出る。里見はワンツーを繰り出し、左ボディと左ヒザ。徐々に里見が圧をかけにいくが西京もワンツー。ラストに里見が打ち合いに行き、西京も応じるがヒットを奪ったのは里見だった。
3R、互いにワンツーを繰り出す両者。里見が右フックで入り込めば、西京も左右フック。西京が右ストレートから左フック、里見はヒザで迎え撃つ。西京がパンチで前へ出ていき、里見はヒザと前蹴り。西京が飛び込んでの右フック、右ストレート。左の相打ちでフラついたのは里見。しかし、終盤に里見が左右フックで前へ出て印象付けた。
本戦の判定はドロー。延長戦へ突入する。右インローを蹴り続ける西京に里見は左でボディを打つ。右ストレートでヒットを奪うのは西京。里見も左ストレートを打つが、西京の左フックをもらう。互いにパンチを出すが当てるのは西京だ。里見のジャブにはヒザ蹴り。里見が右フックとヒットさせてヒザ蹴り。最後にジャブから左ストレートの連打、西京をロープに詰めて左右フックを見舞った。
判定は2-1で里見が勝利をつかんだ。
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▼第2試合 K-1ライト級 3分3R延長1R〇永澤サムエル聖光(B Make)延長R 判定3-0 ※10-9×3×上野空大(kickboxing gym SHINYUUKI+)※本戦の判定は28-29、28-28、28-27。 永澤は新日本キックボクシング協会で日本ライト級1位まで昇りつめ、トップランカーとして活躍。ジャパンキック旗揚げ後は2020年1月大会で第2代ライト級王座に就き、9月にはWBCムエタイ日本統一バンタム級王座も獲得。2022年7月にWMOインターナショナル王座も獲得して三冠王となった。2024年8月、Krushに初参戦も里見柚己に初回KO負けを喫した。11月、第6代Krushライト級王者の瓦田脩二に判定勝ちで初勝利。2025年2月のKrushライト級トーナメントでは1回戦で古宮晴に判定負け、7月も佐野天馬に判定負けと連敗中。戦績は29勝(12KO)14敗4分。 上野は3歳から空手を始め、フルコンタクト空手では通算70大会で優勝を果たしている“フルコンタクト空手70冠”。K-1アマチュアを経て2023年3月にプロデビューを果たし、2024年9月にゴンナパー・ウィラサクレックの対戦相手に抜擢。体重超過していたゴンナパーに3RでTKOに敗れ、初黒星を喫した。2025年4月29日に児玉兼慎にもKOで敗れたが、2025年6月のRIZIN北海道大会でファーパヤップに勝利した。空手仕込みの多彩な足技を得意とする。戦績は5勝(2KO)2敗。
1R、前に出る永澤をジャブで迎え撃つ上野。永澤は踏み込んでのワンツー、左右フック。この勢いに押される上野だが顔面前蹴りをヒットさせる。変則な軌道のワンツーを打ちながら前へ出てくる永澤に、上野は下がるがヒザや右フック、右ローで対抗。徐々に永澤のパンチに慣れてきたか、上野が後半は多彩な技を出した。
2Rもワンツーで前へ出る永澤。距離を潰しての左右フックとボディ。永澤の手数に押される上野は左インローから左ハイ、左三日月。飛び二段蹴りで永澤を下がらせると右ストレートを打つ。しかし、上野が左右フックで前へ出て左フックでダウンを奪う。上野はコーナーへ詰めてワンツー、飛びヒザ。左右フックとアッパーで前へ出る上野に永澤も左右フック連打で打ち返す。永澤のフック連打をもらう上野。逆転の予感に場内は大いに沸いた。
3R、上野はいきなり左ハイを放つが、永澤は下がらずワンツーを繰り出して前へ出る。接近しての左右フックも。上野は蹴りを出すが永澤に距離を潰され、左右フックを浴びる。前蹴りで止めにかかる上野にワンツーを浴びせる永澤。ここで上野は左ヒザを連続して突き刺す。永澤のフックをかわして右フック、左ハイを放つ上野。それでも永澤は左右連打で突進。場内が大いに沸く。右を叩きつける永澤を上野は前蹴りで突き放す。最後は両者足を止めての左右フックの打ち合い。永澤の根性に場内は熱狂する。
本戦の判定は三者三様でドロー。左右フックとワンツーで前へ出る永澤。左ボディも打つ。上野は右ローと左インローで応戦する。パンチを連打する永澤に上野は前蹴りとロー。左右の前蹴り、飛び二段蹴りの上野にワンツーを見舞う永澤。左右のフックを回転させる永澤に上野は前蹴り。
判定は手数とヒット数で上回った永澤が勝利。若手ホープの上野を降した。
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▼第1試合 K-1スーパー・ウェルター級 3分3R延長1R〇小田尋久(TEAM3K)判定2-0 ※28-27×2、28-28×松本和樹(K-1ジム川口ブルードラゴン) 小田はフルコンタクト空手出身で、2021年11月にプロデビュー。“マッスルタンク”のニックネーム通りのムキムキボディの持ち主で、空手の蹴り技にプラスしてパンチの強打を持つ。Krushには2023年2月から参戦し、2024年5月の第5代Krushスーパー・ウェルター級トーナメント準決勝で森田奈男樹をKO、8月の決勝で璃久を破って同級王座を獲得した。10月にはストーヤン・コプリヴレンスキーに挑み、ダウンを奪う大健闘の末に延長Rで判定2-1の惜敗。2025年2月、デング・シルバにダウンを奪われ追い上げるも判定2-0で惜敗した。5月、地元大阪で初防衛戦に臨んだがアビラル・ヒマラヤン・チーターにKOで敗れ、王座を失っている。戦績は8勝(4KO)4敗。
松本は2022年4月からK-1 GROUPに参戦。デビューから2連続KO勝ちも、赤田功輝と目黒翔大に連敗。その後も連続KOして2023年7月には南雲大輝を判定で破った。前戦は2025年3月、佐野天馬に判定負けを喫している。戦績は6勝(4KO)4敗1分のサウスポー。2試合前は60kg、前戦は62.5kgで戦っており、一気に70kgへ上げての挑戦となった。
1R、サウスポーの松本に小田は右ミドルで先制、松本は左右ローを蹴る。小田は右ミドルを狙い撃ちにし、強い右インローも蹴る。パンチで入って来る松本だが小田のブロックは堅い。打ち合いになったところで松本が思い切り振った左フックがヒットし、小田がダウンを喫する。すぐに立ち上がって左右フックで打ち合いに行く小田に松本は大きなフックを振り回す。松本のバッティングで試合は中断。再開後、すぐに初回終了。
2R、勢いよく左右フックで攻める松本へ小田が右ストレートを放ってダウンを奪い返す。立ち上がった松本は左右フックで突進、小田は松本のフックをダッキングでかわしてのクリンチを繰り返してしまう。思い切り右フックを振る松本に小田はバランスを崩す。小田は離れ際の右フックを狙うも不発に。松本の気迫が目立った。
3R、左右フックでの打ち合いとなるが小田はすぐにクリンチしてしまう。入り際にフックを当てる松本に対し、小田は離れ際を狙う。小田の胴廻し回転蹴りは不発。残り30秒で小田がワンツーの連打でラッシュ。松本も左右フックで迎え撃つが両者クリンチ。超接近戦で小田が左フック、ヒザと最後は攻撃をまとめた。
判定は2-0で小田が勝利。3戦ぶりの白星を得た。
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▼プレリミナリーファイト第3試合 K-1スーパー・フェザー級 3分3R〇伊藤 渚(K-1ジム川口ブルードラゴン/K-1甲子園2022 -65kg王者)※30-27、29-27、30-25×上田咲也(HIGHSPEED GYM)
1R、伊藤がワンツーで前へ出ると上田は左フックからの右ストレート。上田はそれを右カーフで迎え撃つ。ロープを背負う上田にパンチをまとめる伊藤。上田は飛びヒザ、右ストレートから右カーフ。前に出る伊藤に上田は組んでのヒザを放ってしまい注意を受ける。パンチからヒザで攻める上田だがまたもつかんでしまいイエローカード(減点1)。前傾姿勢でパンチを打って来る伊藤に上田はヒザを突き上げるが、伊藤が左フックを当てる。
2Rが始まると同時に伊藤が左右の連打で前へ出る。左フックで迎え撃つ上田へ伊藤が右クロス。ジャブからヒザの上田はまたもつかんでのヒザでイエローカード。パンチで前に出る伊藤のアゴへヒザを突き上げ、右ストレートを打つ上田。伊藤も左フックを返す。前へ出て左右フックで攻める伊藤、上田もワンツーからのヒザで押し返す。両者とも疲労が見える。
3R、前に出る伊藤をヒザで迎え撃つ上田だが、両者ともクリンチが多くなる。上田はつかんでのヒザで警告。両者が接近→クリンチ→ブレイクが続く。最後の10秒は打ち合いとなり、伊藤が判定勝ちした。
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▼プレリミナリーファイト第2試合 K-1ライト級 3分3R〇光弥(POWER OF DREAM)判定3-0 ※29-28×2、29-27×来希(TEAM ONE)
1R、蹴りからパンチで前へ出ていくのは光弥だが、来希も左右フックで前に出るため距離が近くなりすぎてクリンチ→ブレイクに。接近戦を挑む来希に光弥も応戦。
2R、光弥が左ミドルから左右ボディ、来希は超接近してフック&ロー。光弥はヒザで応戦。両者にホールディングの注意。密着するくらいの勢いで接近戦を仕掛ける来希に左右ボディ、左右フック、ヒザ。来希はブロックした腕が相手に当たるくらいの距離で接近戦。
3R、互いにハイキックを飛ばし合い、近距離でフックの打ち合い。来希はバックハンドブローを繰り出す。光弥は来希をプッシュしての右ストレートをクリーンヒット。再びプッシュしてコーナーでワンツー、左右フック。しかし、光弥は組んでのヒザを2発打ってしまいイエローカード(減点1)。最後は打ち合いとなり、判定3-0で光弥の勝利となった。
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▼プレリミナリーファイト第1試合 -63kg契約 3分3R×佐野純平(K-1 GYM横浜infinity)KO 2R 2分32秒 ※右フック〇TOJO(K-1 GYM BLOWS)
1R、TOJOは右カーフを中心に蹴りで行き、ワンツーから左ボディ。佐野は前に出てワンツーから右ロー。徹底的に右カーフを狙うTOJOへ佐野も右ローで対抗。前へ出ながら右ローを蹴り、打ち合いになるとTOJOが右ストレートをヒットさせる。打たれながらも前に出る佐野が右ストレート、右ロー。右ボディからの右ローも。佐野の右ストレートがクリーンヒットし、TOJOは大きく後方へフラつく。そこで佐野がパンチをまとめたところでラウンド終了。
2R、強い右ローを蹴って前に出る佐野へTOJOの右ストレートがヒット、佐野も打ち返す。TOJOが左アッパーから右ストレート、左フック。しかし佐野はすぐに右ストレートで前へ出る。そこへTOJOが左アッパー。佐野が右ローを蹴った直後、TOJOの右フックが佐野のテンプルを捉え、佐野がダウン。TOJOのKO勝ちとなった。
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UFCフライ級で再び頂きを目指す平良達郎はじめ、日本人6選手参戦の「8月決戦」とU-30、上半期ベスト特集。『超RIZIN』も徹底分析! 年末まで続くフライ級GP、クレベル・コイケvs.朝倉未来、ONE王座統一戦の野杁正明も