試合中も試合後も流れていたポジティブな空気。 反撃の狼煙が上がる日は、すぐそこに迫ってきている [J12節 C大阪戦レビュー]
勝利の女神はマリノスに微笑まず
戦前から選手も監督も「アグレッシブにプレーする」と繰り返していた。蓋を開けてみると、たしかにマリノスは攻守に積極的な働きかけを見せていく。
ボール非保持時には、高い位置からプレスを仕掛ける。アンデルソン・ロペスや植中朝日が先陣を切り、サイドハーフの井上健太や遠野大弥がコースを限定し、ダブルボランチや両サイドバックがボール奪取を試みる。マイボールになってからも前の選手を追い越す動きが盛んに見られたように、前方向への姿勢が光った。
しかし相手との力関係や兼ね合いは別の話。現実は、GKから足元でボールをつなぐセレッソ大阪のポゼッションに手を焼いた。「前半の守備のところは用意してきた形の中で、さすがに無理があったと。ハーフタイムに修正できたけど、前半からできたらどうだったのかなと思う」と唇を噛んだのは左サイドバックの永戸勝也。プレスがなかなかハマらず、相手に決定機を作られてしまう。
後半に入ってからは守備のバランスを立て直し、さらにリードしたセレッソが不用意なボールロストを繰り返したことでマリノスのペースに。このパフォーマンスにパトリック・キスノーボ監督も「いい部分だけでなくチャンスもいくつか作れた部分はあった。特に後半は多く支配することができて、いい部分を多く出せた」と納得顔だった。
悔やむとしたら、この日のトリコロールには運が足りなかったこと。67分に永戸のクロスをファーサイドの宮市亮が頭で合わせてゴールネットを揺らすも、その前のプレーがファウルと判断されてVAR判定ののちにゴールが取り消される。さらに84分にはセットプレーの流れから松原健が決定的なシュートを放ったが、無情にも左ポストを叩く。
幻のゴールに終わった宮市は「今日はゴールネットを揺らしたけど運がこっちに流れてこなかった」と悔やみ、松原は「日頃の行いかなと。うまくいっていない時はそういうチャンスが入らないし、メンタル的にもなかなか難しくなる」と首を横に振った。
勝利の女神はマリノスに微笑んでくれなかった。
「オレがこのチームを変えてやろうと思っていた」(飯倉大樹)
それでも宮市はこう続けた。
「空気は間違いなく変わったと思う」
(残り 777文字/全文: 1888文字)
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。