OpenAI、インフラに数兆ドル投資へ-アルトマン氏「遠くない将来」に

対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を手がける米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、AIサービスの開発・運用に必要なインフラ整備に、長期的に数兆ドル規模を投資する構想を明らかにした。そのための資金調達方法を模索している。

  アルトマン氏は14日、記者団と夕食を共にした異例の幅広い意見交換の場で、「オープンAIは『そう遠くない将来』にデータセンターの建設に数兆ドルを費やすだろう」と述べた上で、「エコノミストの多くが『これはどうかしている、無謀だろう』などと批判するだろうが、われわれは『わかっているから任せてほしい』と答えるだけだ」と語った。

  同氏によると、オープンAIは巨額投資の資金を賄う新たな手法を検討している。「世界がまだ導き出していない、資金と計算能力のための新たな金融手段を設計できると考えている」と述べ、「現在、それに取り組んでいる」と続けた。

新たなハイテクバブル

  アルトマン氏はまた、現在のAI投資ブームと1990年代後半のドットコム・バブルとの類似点を指摘。いずれも「賢い人たち」が新技術に過度に期待したものだと語った。そのうえで、過熱の対象はいずれも「実在する」技術であり、最終的にはビジネス界や社会に持続的な影響を与えるものだとも述べた。

  同氏は記者懇談会でのブルームバーグ・ニュースの質問に対し、「投資家全体がAIに過度に反応している段階にあるか。個人的な意見ではイエスだ」と答え、「AIはしばらくぶりに起きた最も重要な出来事か。その答えもイエスだ」と続けた。

  同氏は、AIへの巨額投資を「社会全体」が後悔する可能性は低いとしつつ、一部のスタートアップ企業の価値については「あり得ない」水準で、「妥当性を欠くものだ」と指摘、「誰かが痛い目を見るだろう」と述べた。

上場の可能性

  オープンAIが膨大な開発コストを賄うため、将来的に新規株式公開(IPO)を選択肢に含める可能性は高い。ただ、アルトマン氏は具体的な時期は示さなかった。現在、同社は数カ月前から進めている複雑な組織再編の完了を目指している。

  アルトマン氏は「いずれは上場する必要があるのだろう」と述べた一方、自身は上場企業のCEOとして「適任ではない」とも語った。

  同氏は現在のオープンAIを消費者向けテクノロジー事業、大規模インフラ運営、研究所、そしてハードウェア開発などの「新規事業」という4つの会社に例えた。同社は最近、食料品配達プラットフォームのインスタカートを率いていたフィジ・シモ氏をアプリケーション事業部門のCEOに起用した。

  「4つの会社を運営することはできない」とアルトマン氏は述べ、「1つを運営できるかどうかも分からない」と付け加えた。

原題:Altman Expects OpenAI to Spend ‘Trillions’ on Infrastructure (1)

(抜粋)

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