日本の対外純資産「世界3位」転落。順位より深刻なのはその中身(BUSINESS INSIDER JAPAN)

財務省は5月下旬、「本邦対外資産負債残高(2025年末時点)」を公表した。 日本の対外純資産残高は561兆7504億円と7年連続で過去最大を更新したものの、ドイツ(675兆5374億円)と中国(636兆3391億円)を下回って世界第3位となった【図表1】。 【全画像をみる】日本の対外純資産「世界3位」転落。順位より深刻なのはその中身 昨年この統計(2024年末時点の残高)が公表された際は、ドイツに抜かれて34年ぶりに「世界最大の対外純資産国」のステータスを喪失したことが大きな議論を呼んだものの、筆者はBusiness Insider Japanへの寄稿でこう指摘した。 「世界最大の経常黒字国である中国も日本を猛追しており、2000年代半ば頃から(変動が著しいものの)日本を大きく上回る経常黒字を積み上げ、対外純資産でも遠からず日本を逆転するのが既定路線と言えそうだ」 したがって、筆者としては今回の結果に全く意外感がない。同時に、昨年の寄稿で主張した見方も変わっていない。 「何にしても、順位の変動そのものに大きな意味はない。経常黒字が原因、対外純資産は結果。本当に注目すべきは、原因である経常黒字の構造変化だ」 今回の内訳を見ると、対外資産残高は前年末比8.5%増の1805兆6340億円、対外負債残高は同10.5%増の1243兆8838億円。負債の増加幅が上回ったものの、対外純資産の積み上げは続いている。まずこれは重要なポイントだ。 一方、対外純資産の増加率を他国と比較するとまた違う風景が見える。日本のそれは前年末比4.4%増だったのに対し、ドイツは同18.6%増、中国は同23.3%と日本を数倍上回る伸び幅を記録した。 日本の対外純資産そのものは堅調に増加が続いているものの、諸外国の伸びと比べると劣後するために、世界における順位は後退を続けている。そのように状況整理するのが妥当だろう。

中国はすでに圧倒的な「世界最大の経常黒字国」として君臨している。そして、対外純資産が一義的には経常黒字の累積であることを考えれば、間もなく(早ければ2026年末時点の統計で)世界最大の対外純資産国のステータスを手にして何の不思議もない。 下の【図表2】を見ると分かるように、日本の経常黒字は2011年頃からドイツに大きく劣後するようになった。 その後、ドイツと中国が世界最大の経常黒字国のステータスをめぐってしのぎを削る局面がしばらく続いたものの、ドイツは2018年にピークを打ってから低迷が続いている。 特に、2022年はウクライナ侵攻を契機にロシアからの天然ガス調達が困難になったことに加え、最大の輸出先だった中国との関係が疎遠になったことで、経常黒字は大幅に縮小した。 また、2011年3月に発生した福島第一原発事故の直後にメルケル首相(当時)が打ち出した脱原発政策を段階的に推し進め、2023年4月に系統からの切り離しを完了させたことも(国内エネルギー利用の高コスト化を経由して)経常収支の悪化に大きな影響を及ぼしている。 かたや中国の経常黒字は近年急伸し、2025年に計上した7350億ドルは日本(2140億ドル)やドイツ(2230億ドル)の3倍以上に達している。対外純資産でもドイツを逆転するのは時間の問題だ。 なお、中国のこうした経常黒字や対外純資産の推移からは、米国との貿易戦争による輸出減が必ずしも経済に決定的なダメージをもたらしていない実態が読み取れる。 中国は対米輸出の減少分を補うべく新興国や途上国向け輸出を猛烈な勢いで増やしており、黒字や資産の積み上げは当面堅調が続くと考えていいだろう。

BUSINESS INSIDER JAPAN
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