いまになってフジテレビへのCM再開が相次ぐ理由 #エキスパートトピ
フジテレビへのCM再開の動きがここにきて加速している。
株主総会直後の6月下旬の段階では、サントリー、大和ハウス、大東建託などの大手企業がCM再開を表明したが、その後も完全復帰とは言い難く、多くの大手企業はCM放映を差し控えていた。
7月末になって、トヨタ、日産、明治、花王などの大手企業が相次いでCMを再開したり、再開を表明したりしている。大きなニュースもない状況で、どうしてこのような動きが見られるのだろうか? 今後、CM再開へ向けた動きはさらに加速するのだろうか?
ココがポイント
大手企業 フジテレビへのCM再開の動き広がる トヨタや日産、花王など出典:テレビ朝日系(ANN) 2025/7/29(火)
トヨタがフジテレビでのCM再開 大手スポンサーの動き加速か出典:朝日新聞 2025/7/29(火)
明治がフジテレビでのCMを順次再開へ 8月1日から サントリーやロッテなどに続き出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN 2025/7/28(月)
エキスパートの補足・見解
筆者はフジテレビのCM再開動向を調べているが、上記の記事で挙がっている企業の他、ゲオ、レッドブル、チョーヤ、フジパン、アデランス、再春館などの大手企業がすでにCMを再開している。
株主総会でフジテレビに関する大きなニュースは出尽くした感があり、悪材料も好材料も出ない中、徐々に不祥事に関するニュースは減り、風化が起こりつつある。一方で、積極的にCMを再開するきっかけも見つからない状況の中、少しずつ広告主8スポンサー)が戻っている状況だ。
7月末に入って大手企業のCM再開が加速しているのは、10月の番組改編期を見越してのことだろう。テレビ局は、4月の10月の半期ごとに、大きな番組改編が行われる。それに先駆けて、番組提供のスポンサーも決まってくる。
現在のCM再開の動きは、それを見越しての動きだと考えられる。
現時点でも、フジテレビでCMを流している企業に対する風当たりはさほど大きくないのが実際だ。新たな不祥事でも起きない限り、10月には事態もほぼ沈静化し、CM再開のリスクはほぼなくなっているだろう。
若者を中心とする視聴者テレビ離れは深刻だが、短期的には企業の「テレビCM離れ」の目立った動きは出ていないようだ。
大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書は『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社:共著)など。