イスラエル極右財務相、「パレスチナ国家構想葬る」入植計画承認
[14日 ロイター] - イスラエルの極右派スモトリッチ財務相は、同国が占領する東エルサレムとパレスチナ自治区ヨルダン川西岸を分断するとされる入植計画を承認した。同氏の事務所はこれによりパレスチナ国家樹立構想は葬り去られると主張している。
スモトリッチ氏は14日、エルサレム郊外に位置する入植地マアレ・アドミムで、「世界中で誰がパレスチナ国家を承認しようとも、われわれの答えは文書でも声明でもなく、事実をもって示される」と言明。ネタニヤフ首相とトランプ米大統領が同計画の復活に合意したと主張したものの、両首脳から確認は取れていない。
スモトリッチ氏の報道官は「パレスチナ国家構想を葬り去る」と題した声明で、ヨルダン川西岸の既存入植地とエルサレムの間に3401戸の入植者向け住宅を建設する計画だと述べた。
これは「E1計画」と呼ばれるもので、パレスチナ人や国際社会はヨルダン川西岸地区が分断されると懸念している。米国や欧州など主要国の反対により、イスラエルは2012年以降この地域での入植者住宅の建設を凍結している。
同計画について、パレスチナ政府や同盟国、人権団体はこれを違法だと反発。パレスチナ自治区ガザの最大都市ガザ市の制圧計画の承認などを巡り西側諸国でイスラエルに対する非難が高まる中、今回の動きは同国をさらに孤立化させる可能性がある。
元イスラエル軍兵士らが設立した人権団体「ブレイキング・ザ・サイレンス」は声明で、世界の注目がガザ戦争に集まる中、スモトリッチ氏がヨルダン川西岸の入植活動を奨励していると非難。同計画で「パレスチナ領土がさらに分断されるだけでなく、(パレスチナ人に対する)隔離と差別が強化されることになる」と非難した。
パレスチナ自治政府アッバス議長の報道官は米国に対し、同計画を中止するようイスラエルに圧力をかけるよう求めた。
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