トランプ米大統領、対カナダ交渉を重視せず-関税賦課だけの可能性も
- トランプ大統領「カナダとはあまりうまくいっていない」
- USMCA規定の製品は関税の対象外、カナダ当局は締結を急がず
トランプ米大統領はカナダとの通商交渉について、現時点では政権の優先事項ではないと述べ、交渉を進める代わりに既存の輸入関税を維持する決定を下す可能性があるとの認識を示した。
トランプ大統領は25日朝、記者団に対し、「カナダとはあまりうまくいっていない」と発言。「カナダは交渉ではなく、単に関税を支払うだけになるかもしれない」と続けた。「カナダとは合意に達していない。その点については、これまであまり重点を置いてこなかった」と話した。
カナダ・ドルは、大統領のこれまでと同じような発言に対して、ほとんど反応しなかった。ニューヨーク時間午前10時27分現在、1米ドル=1.3695カナダ・ドルで推移している。
カナダ当局者は前日、ワシントンで共和党上院議員と相次いで会談。ラトニック米商務長官も23日夜、対米交渉を主導するルブラン・カナダ・米国貿易担当相と会談した。
カナダのカーニー首相も最近、8月1日までにトランプ大統領と合意に達する見通しを弱め、カナダは合意のためだけに不利な協定には署名しないと述べた。
トランプ大統領が1期目に締結した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づき出荷される製品の大半は現在、米国の関税対象外となっているため、カナダ側には直ちに通商協定を締結する圧力はさほどかかっていない。
しかし、トランプ大統領はカナダの鉄鋼、アルミニウム、自動車の輸入に大幅な追加関税を課しており、カーニー政権はこれらの関税の撤廃または引き下げに注力している。
米国とカナダの貿易関係は世界でも有数の規模で、米国は昨年、カナダから約4770億ドル(約70兆4600億円)の財・サービスを輸入し、4410億ドルの財・サービスをカナダに輸出した。
原題:Trump Not Focused on Talks With Canada, Says Tariffs Might Stay(抜粋)