中国、原子力潜水艦を史上最速のペースで建造 米海軍の状況は深刻

中国人民解放軍海軍設立70周年のパレードに参加する原子力潜水艦=2019年4月23日/Jason Lee/Reuters

(CNN) 中国は過去5年間で原子力潜水艦の生産を増強し、米国よりも速いペースで進水させている。この動きは、長らく米国が保持してきた海軍力の優位性を覆す脅威となっていると、英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」の新たな報告書が指摘した。

報告書によると、この人民解放軍海軍の増強には、弾道ミサイル原潜と攻撃型原潜の両方が含まれている。

2021年から25年にかけて建造された中国の原潜は、進水数(10隻対7隻)、排水量(7万9000トン対5万5500トン)ともに米国を上回るという。報告書は、造船所の衛星画像を用いて中国の建造量を推定している。

中国政府は艦隊数を公表していない。

IISSは、中国が排水量2万3000トンの原潜3隻を増備したに過ぎなかった16年から20年とは著しい変化だと分析する。米海軍は同時期に5万5500トンを7隻増備した。

これらの数字は、進水した潜水艦を示しているのであって、必ずしも完成しているわけではなく、現役艦隊に追加されたわけでもない。現役艦隊では依然として米国が大きな優位性を維持している。

IISSの「ミリタリー・バランス2025」によると、25年初頭時点で中国は12隻の原潜を運用しており、6隻が弾道ミサイル原潜、6隻が誘導ミサイルまたは攻撃型原潜。米国は合計65隻を保有しており、そのうち14隻が弾道ミサイル原潜だ。

中国は大規模な通常動力潜水艦隊も保有しており、その数は46隻に上る。

一方で米国は通常動力潜水艦を保有していない。通常動力型は定期的な燃料補給が必要となる。

中国政府は原潜艦隊を増強するため、同国北部にある渤海船舶重工の葫芦島造船所を大幅に拡張したという。

これに先立ち、議会調査局(CRS)は先月議会に提出した報告書で、米海軍はバージニア級攻撃型原潜を年間2隻建造するという目標から大きく遅れており、22年以降、米国の造船所は年間1.1~1.2隻しか納入していないと指摘していた。

「海上に潜水艦が多数存在する状況は、(米国や他の西側諸国が)自国の生産量増加に苦慮する中で、ますます大きな課題となっている」とIISSの報告書は述べている。

報告書は、葫芦島の造船所で進水した094型弾道ミサイル原潜(SSBN)2隻を取り上げている。核弾頭搭載弾道ミサイルの発射能力を備えた094型は、拡大する中国の三元戦略核戦力を構成する大陸間弾道ミサイル(ICBM)と爆撃機を強化するものだとIISSは指摘する。

中国はさらに優れた096型SSBNも開発中だという。

一方で報告書は、「中国の設計は、品質の面で米国や欧州の潜水艦にほぼ確実に後れをとっている」とも述べている。

中国の最新鋭潜水艦は米国製ほど静粛性が高くないと見られており、ステルス性という点では米海軍が優位に立っている。

それでも専門家は、海戦では大軍が勝利するのが通例だと指摘する。そして中国はすでに駆逐艦、フリゲート艦、水上戦闘艦からなる世界最大の艦隊を保有している。

フェラン米海軍長官は昨夏、下院の公聴会で、海軍の建造状況は深刻だと述べ、最善の計画でさえ6カ月遅れで予算を57%超過していると証言した。

CRSの報告書は今後5年間の潜水艦数について、老朽化したロサンゼルス級攻撃型原潜の退役に伴い、米国の攻撃型の数は30年に「谷底」の47隻に落ち込むとしている。

今後の潜水艦戦力の「谷」は、「SSN(攻撃型原潜)部隊の運用上の負担が増大し、中国などの潜在的敵対国に対する通常抑止が弱まる時期につながる可能性がある」と報告書は指摘している。

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