米銀行株指数、2日間の下げはコロナ禍初期以降で最大-貿易戦争懸念
4日の米株式市場で大手銀行株が軒並み急落し、2営業日の下げとしては2020年3月以来の大きさを記録した。米トランプ政権の関税に対する報復措置を中国が発表し、貿易戦争のエスカレートが懸念された。
モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループ、シティグループはいずれも終値での下げ率が7%を超えた。KBW銀行株指数は4日までの2日間で約16%下落。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来の大幅な下げとなった。
中国政府は4日、トランプ政権の新たな関税に対する報復措置として、10日から米国からの輸入品全てに34%の関税を課すと発表した。
4日に配当落ちとなったJPモルガン・チェースの時価総額は約510億ドル(約7兆5000億円)減少した。地方銀行も売られ、KBW地方銀行株指数は3.7%下落し、昨年7月9日以来の安値で終了した。
「米国の銀行は、他の多くの業界のように関税の直接的な影響を受けるわけではないが、影響を受ける全産業への直接的なエクスポージャーがあるほか、影響が見られているもようの米経済、金利水準、資本市場にも直接的に関与している」と、ジェーソン・ゴールドバーグ氏らバークレイズのアナリストはリポートで指摘した。
KBW銀行株指数は2月の高値からの下げ率が20%を超え、弱気相場入りしている。
「マクロ懸念がこのセクターを完全に支配している」とジョン・マクドナルド氏らトゥルイスト・ファイナンシャルのアナリストは顧客向けリポートで指摘。現在のバリュエーション(株価評価)は、リセッション(景気後退)の確率を約45%織り込んでいると付け加えた。
中国の報復措置の影響は世界の株式市場に広がり、損失が拡大。S&P500種株価指数は4日に6%下落し、ナスダック100指数は弱気相場入りした。数十億ドル相当の合併・買収(M&A)や新規株式公開(IPO)も軒並み延期されている。
1週間後には銀行の四半期決算発表が始まる。JPモルガンとウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーが11日に発表する予定。
ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループが先月発表した決算では、投資銀行および資本市場部門の減収が響き、減益となった。米投資銀行オッペンハイマーのアナリストは先月、M&Aの回復が見られないことを理由にゴールドマンとカーライル・グループ、ジェフリーズの投資判断を引き下げた。
こうした警告サインは、予想を上回る規模の米関税が市場心理を冷やし、資本市場を混乱させる前に現れていた。今後の焦点は、見通しの変化を受けて各行が業績見通しを維持するか、それとも修正するかに移っている。
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原題:JPMorgan to Goldman Swoon in Worst Two-Day Rout Since Pandemic(抜粋)