中国で相次ぐ無差別殺傷 車暴走や刃物切りつけ、情報統制も 日本人被害2事件は死刑執行
中国北京市の小学校近くで15日、車が暴走し複数の負傷者が出たとする情報や動画がインターネット上で拡散した。市警察当局は車の接触事故で4人が負傷し運転手を拘束したと発表。中国では無差別殺傷事件が相次いでいるが、中には当局が情報統制したとみられる事案もある。
情報統制の可能性
今月6日、中国の一部メディアは山東省滕州市で4日に車が暴走してバス停に突っ込み、多数の人が巻き込まれたと報じた。警察は死傷者数を含む被害の詳細を明らかにしなかった。
4月22日には、浙江省金華市の小学校近くで車が暴走し児童を含む多くの人が倒れたと、インターネット上に投稿された映像などを基に台湾や香港のメディアが報じた。
台湾メディアは無差別で人を狙った可能性があるとの見方を伝えたが、中国当局は被害や捜査状況を公表せず、インターネットでは関連情報が表示できなくなった。
24年11月に3件集中
昨年11月には無差別殺傷事件が3件集中発生。まず11日に広東省珠海市の体育施設内で62歳の男が車で暴走し、35人が死亡した。男は公共安全危害罪に問われ、翌12月に死刑判決を受けて今年1月に執行された。判決では、男が離婚後の財産分与の結果に対する不満を募らせ、個人的な鬱憤を晴らそうと車を暴走させたと認定された。
16日には江蘇省無錫市の専門学校で、通っていた男が刃物で無差別に切りつけ、8人が死亡、17人が負傷した。試験に失敗して卒業証書を受け取れなかったことや、実習先での報酬に不満を持っていたという。男は殺人罪に問われ昨年12月に死刑判決を受け、珠海市の62歳の男と同じ日に執行された。
19日には、湖南省常徳市の小学校前の路上で男が車で人々をはねた後、車から降りて刃物で襲いかかり、児童18人を含む計30人に軽傷を負わせた。男は公共安全危害罪に問われ翌12月、執行猶予2年つきの死刑判決が言い渡された。投資の失敗や家庭不和などをめぐる鬱憤を晴らそうとしたという。
日本人男児刺殺事件
一方、中国で昨年、日本人を狙った可能性のある2件の凶悪事件はいずれも今年4月、死刑が執行された。
昨年9月に広東省深圳市で起きた日本人男児=当時(10)=刺殺事件では、44歳の男が日本人学校へ歩いて登校中の男児を刃物で刺し、男児は翌日に死亡した。男は故意殺人罪に問われて死刑判決を受け、先月21日、中国外務省が死刑執行を在中国日本大使館へ伝えた。
事件が起きた9月18日は、1931年の柳条湖事件が発生した日で、日本人を狙った犯行との見方があった。深圳市の地裁は今年1月の一審判決で、男がインターネットで注目を集めるために刃物を購入し、罪のない児童を殺害したと指摘した。ただ日本人を狙ったかどうかや詳しい動機は明らかにされなかった。
日本人母子切りつけ事件
昨年6月には江蘇省蘇州市で、日本人学校のスクールバスを停留所で待っていた30代女性と未就学の男児が52歳の男に切りつけられ、負傷した。犯行を止めようとしたバス案内係の中国人女性=当時(54)=が刺されて死亡した。
男は故意殺人罪に問われて死刑判決を受け、中国外務省は先月16日、北京の日本大使館に死刑を執行したと通知した。蘇州市の地裁は1月の一審判決で「借金苦から生きているのが嫌になり、子供を含む3人を殺傷した」と認定した。