エリック・トランプ氏が9月来日、メタプラネット総会出席-関係者

トランプ米大統領の息子であるエリック・トランプ氏が9月に来日する。トランプファミリーが暗号資産(仮想通貨)業界への進出拡大を図る一環で、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  非公開情報を理由に匿名を条件に話した1人の関係者によると、エリック氏は東京証券取引所スタンダード市場の上場企業で、ビットコインの投資・保有事業を展開するメタプラネットが9月1日に開く臨時株主総会にも出席する予定だという。

  メタプラネットは昨年、これまでのホテル運営事業を縮小する半面、ビットコインへの投資事業を拡大する業態転換を行い、18日時点の保有ビットコイン数は1万8888枚、購入総額は約2840億円となっている。エリック氏は3月、同社が設置した戦略助言チームのメンバーに就任した。

  トランプ大統領は2度目の就任以降、暗号資産市場の拡大を支持する姿勢を明確にし、7月には連邦議会を通過した米ドルと連動するステーブルコインの規制の枠組みを整備する「ジーニアス法案」に署名し、成立させた。

  ファミリー企業も暗号資産ビジネスへの傾斜を鮮明にしており、ソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルを運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは5月、財務資産としてのビットコインを購入する資金調達のため、株式と転換社債を発行すると発表。7月には約20億ドル(約2950億円)相当のビットコインと関連証券を購入した。

   最近では、バイオテクノロジー企業から暗号資産の決済企業に業態転換したラスベガスのALT5シグマがトランプ大統領や息子らが関与する分散型金融プロジェクト、ワールド・リバティ・ファイナンシャルのトークンを購入する資金の確保に向け15億ドル規模の増資を実施。トランプファミリーと暗号資産の関係が深まる中で、利益相反に対する懸念も生じている。

関連記事:トランプ氏の資産、ビットコインとの連動強まるー利益相反に懸念も

  エリック氏の来日は、28-29日に香港で開かれるビットコイン・アジア・カンファレンスへ出席した後、日本でもデジタル通貨を巡るニュースが相次ぐ中で行われる。JPYCは18日、国内で初めて、ステーブルコインを発行可能な資金移動業者としての登録を取得した。25-26日に東京で行われるデジタル資産フォーラム「WebX2025」では加藤勝信財務相ら日本政府関係者が講演予定だ。

  エリック氏が臨時総会に出席予定のメタプラネットの株価は6月中旬以降、時価総額を半減させたものの、依然として過去12カ月間の上昇率は9.4倍となっている。メタプラネットは今回の臨時総会でビットコイン購入に向けた資金調達の選択肢を多様化するため、発行可能種類株式に関する規定の新設などを決議する。

  英紙フィナンシャル・タイムズは先週、トランプ大統領の長男であるドナルド・トランプ・ジュニア氏と次男のエリック氏が支援するビットコインのマイニング(採掘)会社が日本で上場企業の買収を目指していると報じた。事情に詳しい関係者3人の情報を同紙が引用した。 

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